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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
32/129

32 やっぱり足


 ムカデの次はサソリですか。

 分類的には似たようなものなのかな?


「サソリの弱点って何か知ってるかな?」


「聞いた事ないわね、私のサソリの知識は夜行性ということと尻尾に毒があることぐらいしかないわ」


「私もたまにテレビで揚げて食べてるのを見たことがあるぐらいです」


 揚げるのは無理だけど、高温で焼くことなら魔法で出来るけど、なんか違う。


「じゃあまずは炎と雷のどちらの魔法が効きやすいか検証しておこう」


「ボスに備えるわけね、サソリは俊敏なのもいるみたいだし、広域魔法で片付けるのが一番でしょうけどね」


「ムカデは強敵でしたがサソリはそのさらに下の階層ですから、もっと強い可能性もありますよね」


 ムカデは何も考えずに戦ったから苦労した、だから今度は相手の弱点をついて楽に勝とう。

 でもこの辺りにいるサソリの弱点は頭なんだよね、普通すぎる。ムカデと違い頭が動き回らないのが救いかな。


「弱点は頭だから天沢のヘッドショットが効果的かもよ」


「頭が弱点じゃない魔物なんているのかしら?」


 言い換えると弱点らしい弱点が無いってことだよね。


「ではボスは頭を重点的に狙えばいいわけですね」


「うん、それでお願いするよ。それにしてもサソリの形ってかっこいいよね、尻尾からレーザーでも出したらもっとかっこいいっ!?」


 サソリがこちらに尻尾を向けた瞬間、尻尾の先が飛んできた。

 慌てて回避し、魔法で撃退した。

 サソリ本体が飛んで襲ってくるかもと警戒はしていたけど、まさか尻尾の先が飛んでくるとかさすがは異世界。


「サソリの尻尾は飛ばせるのね、知らなかったわ」


「ですが尻尾を飛ばしてしまうと尻尾が無くなりますよね」


「飛ばした尻尾を拾って付けるとか、またすぐに生え変わるとかかも」


「拾って付けるって玩具じゃないのだからあるわけないでしょ」


「そうですよ、そんな変な魔物いませんよ」


 尻尾飛ばすのも十分玩具っぽいよ。

 初見の魔物はこういうのが怖いよね、思い込みで予想外のところから攻撃がくると判断が一瞬後れそうになる。


「じゃあ一度尻尾を飛ばした後どうするか見てみる?」


「そうね、魔物の生態を知るのにいいかもしれないわね」


「面白そうですね、どうするか見てみたいです」


 サソリを見つけると離れた位置に立って、剣を構えてじっと待つ。するとサソリが僕のほうに尻尾を向け飛ばしてきた。その尻尾を弾き飛ばして様子を見ていると、黒かった体の色が赤くなり、こちらに襲い掛かってきた。


 あれ? 尻尾は?

 横に跳びながら飛び掛ってきたサソリの鋏を斬り落とし、胴体を斬り上げた。


「赤くなると頭だけでなくて、全身が弱点になっていたんだけど……」


 怒ると弱くなるパターンなのかな?


「赤くすればいいのね、離れた位置から攻撃するのがいいのかしらね」


「魔法で攻撃して障壁で受け止め、赤くなったら攻撃ですね」


 なんかいけそう、そう油断してるといつも苦労するのだけどね。


「ボスはそれでいこう、後は臨機応変に意見出しあう感じで」


「ええ、分かったわ」

「分かりました」


 さあこい、今回の僕達は今までの僕達とは一味違うよ!


 ……あれ?


「赤い?」


「赤いわね」

「赤いです」


 ボスのサソリは全身が真っ赤だ。始めから赤くて、弱点は頭だけなんだけどどうすればいいのかな?


「……なんか納得いかない」


「ええ、もしかすると尻尾を飛ばした後は色が変わるかもしれないから予定通りいきましょ」


「そうですね、まだ分かりませんし」


 予定通りか、こんがり焼きサソリにしてあげる。


「「「エクスプロージョン!」」」


 魔法を撃った後ドーム型の障壁を展開する。爆音の後爆風が吹き荒れ、煙が去るのを待つ。


 煙がなくなり爆心地を見ると、サソリがひっくり返っている。

 警戒して待つが動く気配がない。


「……あれ? 倒した?」


「……そのようね」


「なにかあっけなかったですね」


「……なんか納得いかない」


 警戒して損した。


「そういうものよ」


「あはは」


 上手くいかないね……。



 ◇



「ゾウだよゾウ! 動物園以来だ」


「ライオンも途中にいたじゃない」


「大きいですよね、弱点はどこでしょう?」


 弱点って、どうしてそんな殺伐としたことを言う子になったのだろ?

 委員長が「あなたのせいでしょ」と目で言ってる気がする、何故だ?


「ゾウは体が重いから、それを支える足を攻撃すれば動きを封じ勝てるはず」


「それって大体の魔物にも言えることよね」


 あれ? 普通のことを言っただけ?


「ど、どんまいです。あ、動きが遅いのでしたら背後に回って戦うのはどうでしょう?」


 ……慰められたし。


「それはありかも、ゾウは攻撃力が高そうだからあんまり正面からは戦いたくないよね」


「離れて魔法を撃てば勝てないかしら?」


「そうですね、大きいですから当てやすそうですよね」


「とりあえず戦ってみよっか、変わった行動を取るかもしれないし」


「そうよね、鼻から水をかけてきたりはするかもしれないわね」


「それはありそうです」


 今度は鼻が飛んできたりしてね。


 ゾウに向かってまずは魔法を撃ってみるか。


「ファイヤーランス!」


 ゾウの顔に当たると痛そうにし、体をゆっくりこちらに向けてきた。僕に鼻の先を向けると、鼻から氷の塊を飛ばしてくる。

 障壁を展開し防ぐと、そのままゾウが突進してきた。ドーーンと障壁にゾウがぶつかった音が鳴り響く。

 思っていた以上に突進のスピードが速い。氷を障壁で防御ではなく回避していたら突進されていたかもしれない。。

 ボスクラスの攻撃力があるのだろう、衝突した音も凄かった。まともに食らうのは危険だろう。


「サンダーランス!」


 委員長が隙を見て打ち込む。真っ直ぐゾウの左足に直撃すると、ゾウは膝をつく。すかさずゾウの背後に回りこみ蛇腹剣で斬り刻むと、そのままゾウは倒れた。


「強いですよね、ですが足を狙うのは正解でしたね」


「そうだよね、間違ってなかったよね!」


 委員長が普通に足を狙って驚いた。やっぱり足は狙い目だよね。


「そうね、上手く倒せたわ」


「足さえ止めてしまえば魔法でも倒せそうですね」


 ゾウに集中砲火を浴びせる光景が目に浮かぶ。


「そ、そうだね……」


「魔法でも試しておきましょう」


「はい、ボス戦で上手く戦えるようになりそうですね」


 怖いよ、この2人。


 ◇


 はい、ボスが出てきました。マンモスです、牙も立派で凄く強そう、だけど可哀想。だってこれから蹂躙されるのだから……。


「せっかくのマンモスなのに感動することすらできないなんて……」


 マンモスがこちらにこようとするが、


「「サンダーランス!」」


 両足に突き刺さると膝をつくマンモス。すぐさま立とうとするが次々と魔法が突き刺さり上手く立つことができない。立てなくなったところで背後に回り背中を攻撃する。


 ああ、やっぱり予想通りになってきた……。


 マンモスも立ち上がろうと頑張るが、その度に足に魔法が突き刺さりまた膝をつく。

 生まれたての小鹿を見ているようでちょっと応援したくなったのは秘密だ。

 そのまま立つことができないまま倒れていった。


「これがマンモスの最後か……」


「じゃあ次の階層に行きましょうか」


「そうですね、今回も楽に勝てましたね」


 そして忘れられていくんだね……。


お読み頂きありがとうございます。

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