表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
31/129

31 もっと上手く

本日2話投稿

2話目18時

食事中のかたはご注意ください。


 111階層は今までよりも少し薄暗い。そしてなにやらカサカサカサという音が……。


「すごく嫌な予感がする」


「この予想は外れてほしいわね……」


「もしかして、夏に出る黒いあれでしょうか?」


 たぶんあれだよね。


「それってゴキ……」


「待って! それ以上は言わないで! 名前を聞くのも本当に嫌なの!」


 普段冷静な委員長がまじでびびっている。よほど嫌いなんだね。


「と、とりあえず広域魔法で焼き払いましょう!」


 今までは秋人がいるかもということで広域魔法は控えていたのに、今はこの階層からさっさと出たいがために、躊躇を捨てたらしい。

 僕もあまりこの階層にはいたくない。


「分かった、そうしようか」


 僕がそう返事すると2人は即座に魔法を撃った。


「「エクスプロージョン!」」


 爆風避けに障壁をドーム型に展開すると、爆風を逃れたゴキ改めGがこちらに押し寄せてくる。普通サイズでも気持ち悪いのに、全長が1メートルほどあり、それが羽を広げ飛んでくる姿はまさに黒い悪魔だ。

 障壁にへばり付いてくるGに悲鳴を上げながら魔法を撃つ。


「「「レーザービーム!」」」


 僕達は半狂乱になりながらも魔法を撃ち続けた。


 トラウマになりそう……。ドーム状の障壁全体をGに囲まれ、透明なせいでGのお腹や足を見ながら魔法を撃つとか、悪夢以外何物でもない。

 夢に出てこないことを祈ろう。


 2人も叫びながら魔法を撃っていたため、今は疲れてぐったりしている。だけど一刻も早くこの階層を出たいがために、重い足を必死に動かしている。


 周りには多くの死骸が転がっているが、誰もコアを取ろうとは言わない。言われても断るけど。


「やっぱりボスもいるよね」


「………」


「………」


 2人とも何も言わない、疲れているのか、ボスを想像したのか。おそらく後者であろう。

 だけどボスは当然現れる。


「「エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプローージョン!」」


 僕が「え?」っと驚くほど早く連続して広域魔法を撃ちこんだ。

 煙がなくなるとその場所には巨大なGがひっくり返っていた。

 近くを通るのも嫌なので通路の端っこを通り抜け、次の階層に向かった 


 悪夢の111階層を越え疲れ果てた僕達は112階層で休むことにした。

 普段は料理しながら会話したりするのだが、疲れのせいか、Gのせいかあまり会話も食欲もなく軽く食べてそのまま眠った。



 ◇



 迷宮15日目


 このペースで進めることが出来たら明日の夜には最下層に到達するかもしれないね。


「今日も張り切っていきますか」


 気合をいれテントから出ると2人が既に魔物と戦っていた。

 ああ、だから今日は起こされなかったのか。


 魔物はムカデのようで障壁に取り付いてこようとするが、2人が魔法で迎撃している。

 ムカデか、Gじゃなくて良かった。

 2人も僕に気がついた。


「おはよう、朝から襲撃されているの。でもあれでなくて良かったわ」


「あ、おはようございます。ムカデはあまり好きではないですけど、あれよりマシですよね」


 やはり昨日のGのインパクトが強くてどうしても比べてしまうんだろうね。

 あの光景は早く忘れたい。


「おはよー、朝からなんだ。僕が代わるから朝ごはん食べたら?」


「そうさせてもらおうかしら、天沢さん、少し休憩しましょ」


「分かりました、あとをお願いします」


 2人と交代して魔物を撃ち始める。光魔法にも相手を一気に殲滅する魔法があれば楽なのにな。

 2人の食事が終わり、僕も食事をし、食後の運動に魔法撃ち込んであらかたのムカデを片付けた。


「やはり魔物はこうあるべきだね」


「そうよね、強くてもいいけど、気持ち悪いのは駄目よね」


「あれは夢見が悪くなりますからね」


 普通ムカデは気持ち悪い部類に入ると思うけど、感覚が少し麻痺しているのかもね。

 歩きながら、そろそろボスが出てくるなと思って警戒していると、めちゃくちゃ長いムカデが2匹見えてきた。大体ボスは大きいのだけれど、その中でも一番大きくて全長50メートルほどある。


「あれは強そう。捕まれば終わりだし、ここから広域魔法を撃ち込んで、障壁防御でいこうか」


「あいても2匹いることだし、安全にいくべきよね」


「はい、あそこに秋人君はいないでしょうからそれがいいと思います」


 2人の賛成も貰ったので、ボスに気が付かれる前に、お馴染みのエクスプロージョンで倒してしまいましょ。


「「「エクスプロージョン!」」」


 2匹のムカデに当たるように撃ち込む。爆音が鳴り、爆風がくる前に障壁を展開しておく。

 すると障壁にガァン! と何かがぶつかる音がした。


 爆発の煙がなくなると障壁の前には2匹のムカデが威嚇するようにこちらを見ている。


「生きてる、というかピンピンしてるし!」


「ボスライオンでも瀕死だったのに、光魔法で押し切りましょ」


「そうですね、これだけ大きいと近接戦闘は危険ですからね」


 それしかないね、1匹だけでも厄介なのに、2匹もいるもね。

 障壁を壊そうとしているのか体を障壁にぶつけてくる。がァンがァンの重力感のある音を響かせ、こちらにプレッシャーをかけてくる。


「魔法攻撃で押し切るよ、撃って撃って撃ちまくれー」


「「はい」」


「「「レーザービーム!」」」


 魔法防御が高くても、こっちも高いステータスで撃ち続けたらさすがに倒せるだろう。

 レーザービームを何十発目かに1匹目のムカデが倒れた。そのままもう1匹に対しても撃ち続け、倒すことができた。


「こんなボス、普通は倒せないよね、少なくとも1パーティーで倒す敵じゃないと思う」


「いくつかのパーティーを同時に送り込んで倒すしかないんじゃないかしら」


「でも上手く連携できないと勝てませんよね、弱点を攻めたりする方法もあるかもしれませんね」


 弱点は頭だったけど、動いている頭に上手く魔法を当てるのは難しいし、近接で近づくのも危険だし苦労するだろうね。

 とりあえずみんなで無事に倒せてよかった。やっぱり力押しは確実ではあるけど、少し疲れるね。


 次の階層の階段を見つけて下りていく。

 次はもっと上手く戦わないとね。


お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ