30 美味しいとこは委員長が
本日2話目
109階層では悲鳴が上がっております。
猿の魔物達が襲い掛かってきたら3人が試してみたい魔法を次々と撃ち始めた。
ただ今まで使っていた魔法は確実に倒せるための殺傷能力の高い魔法を好んで使っていたため、今練習に使っているのはそこまで殺傷能力の高くない魔法を撃ち放ってるため、あちらこちらで苦痛に嘆く猿の姿が見受けられる。
「魔物愛護協会に訴えられそう……」
そんなものはないけど。
「魔物とはいえ、ちゃんと止めを刺してあげないといけないわね」
「そうですね、さすがにこれはちょっとやり過ぎました」
よかった、2人にちゃんと常識というものがあって。
でも色々な魔法の練習ができたのは良かった、とはいえやはり今まで使っていた魔法が使い勝手が良いのも証明されたので、基本的には今までの魔法を中心に使うことになりそうだ。
進んでいるとボスのゴリラが出てきたが、若干顔が引きつっている気がする。
もしかするとここまで悲鳴が響いていたのかもしれないね。
岩を持って投げつけてくるが、障壁で弾くと泣きそうな顔になった。まるでこちらが苛めているみたいだ。
罪悪感を感じるのでさっさと倒してしまおう。
「「「サンダーランス!」」」
やっぱり普段から使っている魔法が一番しっくりくるよね。
ゴリラはまだ立っているが、体が痺れているのか動かない。なのでそのまま僕と委員長で止めを刺した。
「意外と弱くはなかったよね」
「魔法にも耐えてたし、ちゃんと戦っていたらもっと時間が掛かっていたかもしれないわね」
僕達に怯えていたのが大きかったね。さらに障壁で心が折れたっぽいし。
「魔法の選択は良かったですよね、練習していた魔法でしたらあまり効かなかった気がします」
この階層のボスクラスに下手な魔法を撃てば効果はないかもしれないし、油断は禁物か。
僕たちは階段を見つけ、次の階層へ下りていった。
◇
やっと110階層か、最下層もあと少し。
「この階層の魔物は何かな?」
「期待してもがっかりするだけよ」
いや、きっと凄い魔物がいるはずだ。
「いましたね、ライオンでしょうか?」
百獣の王のライオンだと……。これは期待できるじゃないか。
「当たりの階層だね、さすがに下層ともなると魔物の質も高くなるよね」
「でもあれは雄よね、ライオンの雄はあまり狩りをしないはずじゃないかしら?」
「聞いた事ありますね、ライオンの雄は大きくなると動きが鈍くなり、狩りには向かない体になるとか」
ん? つまりスピードがなくなるということか。
「それってただの的ってこと?」
「そうなるわね、組み付かれると力があるから厄介でしょうけど、近づかれる前に倒せばいいだけの話よ」
魔法を撃つだけの簡単な階層というわけだ。
「ですがあまりこちらを襲うつもりがないのか寝そべっていますね」
これじゃあ、ほんとにただの的だよ。
「やる気がないのか、舐められているだけなのか」
「とりあえず倒していきましょ」
「そうですね、囲まれると困りますし」
囲むつもりもないと思うけど、安全のことを考えると倒しておくのは正解だね。
「じゃあさっさと倒してボスのところに行きますか」
「ええ」
「はい」
「「「サンダーランス!」」」
ライオンを次々と倒していく。何頭かがこちらを攻撃しようと近づいてくるが、その前に倒していく。
魔法防御が高いのか、1発では倒れず2,3発当てないと倒れないのはさすがは百獣の王なのだろう。
あらかた倒すと、高さ3メートルほどのライオンが現れた。周りには10数頭の雌ライオンを引き連れている。
「ボスの登場か」
「仲間と登場というのは下層に来て初めてよね」
「そうですね、一緒にくるのでしょうか?」
「一緒に来たら大きいのは障壁で抑えて、回りのハーレムを先に倒すよ。もしハーレムだけがきたら普段どおりに」
「ええ」
「分かりました」
どうくるのかと様子見しているとハーレムだけがこちらに走ってきた。ボスはその様子を眺めているだけで、動く気配はない。
「「「サンダーランス!」」」
放った魔法が雌ライオンに突き刺さるがそのまま走ってくる。
障壁を展開し、こちらに近づけないようにすると雌ライオンが障壁にぶつかり動きを止める。
「「「レーザービーム!」」」
障壁にぶつかり倒れている雌ライオンを魔法で仕留めていく。全ての雌ライオンを倒すと、ボスがゆっくりと近づいてくる。その姿はまさに王者に相応しい風格を漂わしている。
でもこのパターン、前にもあったような……。
歩いていたボスライオンが急に走り出し、ジャンプで障壁や僕達を飛び越えて、僕達の背後に立つ。
慌てて後ろに障壁を展開しするが、ひょいっとその障壁の上に飛び乗るとそのまま天沢目掛けて襲い掛かってきた。
天沢が悲鳴を上げながら杖で身を守ろうとするが、その前に障壁を展開し襲撃を防いだ。
「障壁が見えているみたい、魔法は光魔法で応戦して!」
2人が光魔法を撃つとボスライオンは回避し、少し離れる。
「厄介よね、この距離からの魔法をかわすなんて」
「エクスプロージョンを放ちます、撃った後に障壁の展開をお願いします」
なるほど、広域魔法なら直撃は無理でも、ダメージは与えられるからね。
「わかった」
天沢の魔法に合わせて障壁を解除する。
「「エクスプロージョン!」」
なぜか委員長も合わせて撃つ。衝撃がくる前に障壁をドーム型に展開する。
爆発音が聞こえ爆風が障壁を撫でていく。
爆心地にはボスライオンが立っていたが、既に満身創痍のようだ。
「あれを食らって立っていられるなんてさすがだね、カエルとは大違いだ」
「カエルに対してはエクスプロージョン5発撃っていたじゃない」
「あ、あの、カエルの話はもう……」
天沢に変に気を使わせてしまったようだ。
「ちゃんと止めは刺さないとね」
「任せて、サンダーランス!」
「え?」
委員長の放ったサンダーランスが止めとなり、ボスライオンは横に倒れた。
最後の美味しいところを取っていくのはやはり委員長らしいね。
今回の戦いはさすがに肝を冷やしたよ、無色透明であった障壁の位置を見破ってくる相手もこの下層にはいるという訳だね。
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