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僕が主人公じゃないの!?  作者: 阿兼 加門
第1章 主人公を求めて
23/129

23 ゴブリンキング?


 76階層への階段を下りるとそこはジャングルだった……。


「こういうタイプの階層もあるのか……」


「いったいどういう原理なのかしら?」


「天井がありませんね、空が見えてます……」


 上を向けば迷宮内なのに明るい空が見える、迷宮物にはよくあるパターンだけど、実際に見ると感動するね。

 76階層は断崖に囲まれた広大な空間だ。太陽は見えないがまるで太陽があるかのように光が空から差し込んできている。どういう仕組みなんだろ?


「よし、今日はここで休むよ」


「そうね、そろそろいい時間よね」


「分かりました、では食事の準備をしますね」


 自然もあるので、まるで本物のキャンプのようだ。


「迷宮特有の薄暗さがないとテンションも上がるね」


「ええ、料理も久しぶりに明るいところで食べられるわね」


「なんかアウトドアみたいで楽しいですよね」


 これで魔物が出なければ最高なのにね。

 料理の香りに釣られてかギャギャギャッと魔物の鳴く声が聞こえてくる。


「まったく、もう少ちょっと気を利かせてくれないかなー」


「本当に無粋よね」


「では食事の前の運動といきましょう」


 茂みがガサガサと揺れ、ゴブリンが顔を出す。

 僕達を見て嬉しそうにニヤつくと、大きな声を出し始める。


「ギャッギャッギャーー!」


 まさかこの階層でゴブリンとか出てくるんだね。

 仲間のゴブリンがどんどん集まってくる。


「……まさかこれほど集まってくるとは思わなかったよ」


「凄い数よね、見えているだけでも100匹はいるかしら」


「木や茂みで見えないものもいますから、実際にはその倍はいそうですよね」


 そう、周りはジャングルなので木や草がいっぱい生えてて、目視では捉えきれない。

 僕の空間把握だと半径100メートルほどを確認できるが、それだけでも250匹はいそう……。


「最低でも300匹はいると思ったほうがいい、しかも弓や魔法も使えるやつもいそうかな」


 杖は鈍器として持っているだけかもしれないが、注意は必要だろう。


「この階層のゴブリンなら魔法の1つも使ってきてもおかしくはないわね」


「それでしたら安全にいきましょう、障壁で囲い光魔法で攻撃して確実に倒しましょう」


 守護者部屋後の始めの階層だから様子見でいくべきだね。


「よし、天沢の案でいこう。数が多くて大変だけど、ボーナスステージだと思って撃ちまくるよー」


「いいわね、ボーナスステージ。たっぷり稼がして貰おうかしら」

「300匹いるのでしたら最低でも100は倒したいですね」


 ボーナスステージと聞いてテンションが上がる2人。

 もう立派な戦闘狂だね。

 障壁を周囲に展開し僕も戦闘のスイッチを入れる。


「展開オッケー、さあ野郎ども狩りの時間だー」


「野郎じゃないわ」

「野郎ではありません」


 あれ? こういうノリはだめなんだ……。


 ゴブリンに向かって次々と光魔法を撃ち込んでいく。

 こちらの攻撃に怒ったゴブリン達が武器を持って襲い掛かってくるが、障壁に阻まれ入れない。

 その戸惑っているゴブリンを1匹ずつ確実に倒していく。

 離れた位置から魔法や矢が飛んでくるが、全て弾かれている。


 戦いながらこれが76階層か? と考える。

 確かにゴブリンの数は多いがそれだけだ。20本以上の矢が同時に飛んできたりもしたがそれだけだ。ときたまでかいゴブリンや鎧を着たゴブリンなどが襲ってくるがそれだけだ。3メートルを超える凶悪そうなゴブリンが現れるもむしろ格好の的になっていた。

 

 凶悪そうなゴブリンが倒されると、ゴブリン達は慌てて逃げ出し始めた。


「……え? 魔物が逃げるの?」


「こんなことは初めてよね、私も初めて知ったわ」


 そう言いつつも、逃げるゴブリンの背中を魔法で撃つ委員長。


「そうですね、今までの魔物は全滅するまで襲い掛かってきましたから」


 やはり撃ち続ける天沢、逃げていくゴブリンに正確に当てているのはさすがだ。


「あの凶悪そうなゴブリンがボスだったのだろうね、また新たなボスが決まると襲い掛かってくるのかもしれないけどね」


「鑑定したけどあのゴブリンはゴブリンキングと言うらしいわ、ゴブリンの王様ね」


 ゴブリンキング! あれってラノベじゃイベントとかで出てくるやつじゃないか。こんなついでみたいに倒される魔物じゃないはずだよね。


「確かに強そうでしたね、大きいのでつい魔法で攻撃してしまいました」


 ついで倒されるゴブリンキング、お前の勇姿は忘れないからね。

 あ、素材はインベントリに入れておこ。


「この階層以降は群れのボスがいるかもしれないね」


「それならそのボスを倒せば他の魔物は逃げ出すのかしら?」


「攻略を早く進めるならそれもありですよね、ですが今回のようになかなか姿を現さないのかもしれませんよ?」


 周りにはゴブリンの死骸や血が飛び散っているので料理の道具を片付け、場所を移動する。


「いっそ広域魔法で全て吹き飛ばすという手もあるけど?」


「それは駄目よ、どこに黒氏君がいるのか分からないのだから」


 あ、秋人を探しにきてるってことを忘れてた……。

 確かにこの階層は、視界がよくないので秋人がいても分からないよね。


「そうですよね……」


 なぜちょっと残念そうな顔をしてるんだ?

 秋人が見つかれば嬉々として広域魔法を使いそうだね……。

 適当な場所を見つけ食事の準備を始める。


「明日はまずは階段を探そう、次の階層もジャングルだと階段探しに時間が掛かりそうだよね」


「目印があればいいのだけれど……」


「王都から出たときのように障壁を足場にして、上空から探すのはどうでしょうか?」


 それはありかも。


お読み頂きありがとうございます。

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