21 一方的な攻撃
本日2話目です。
57階層は前の階層とは逆で下り坂の一直線だ。
「……やっぱり悪意を感じる」
「今度はどんな手でくるのかしら?」
「でも、今回はダンゴムシいませんよ?」
確かに今いるところが一番上だけど周りにダンゴムシはいない。
前回は上からだから今回は下から? それとも裏をかいてまた上から?
「魔物も見えないし、絶対怪しいよね…」
「何かに偽装するタイプかもしれないわね」
「天井に偽装しているとかですか?」
……見える範囲にはおかしな点はない。
「とりあえず進もうか…」
「ええ、私も色々と鑑定しながら進むわ」
「後ろも注意しないといけませんね」
坂を下っていくと一部おかしな床がある。見た目はほかとほぼ同じだけど、妙に違和感を感じる床だ。
「落とし穴かな?」
「鑑定では他の床は【床】と出ているけれど、ここだけ【石】と出ているわ」
石? 罠とみるべきだよね。
「魔物ではないのですね、壊してみますか?」
うーん、どうしよう。
「天井や壁はおかしなところある?」
委員長が周りを丹念に調べていく。
「ないわ、床だけよ」
「障壁を下に敷いて、その上を歩くというのはどうでしょう?」
それなら下を気にせず進めるか、よし採用。
「うん、その手で行こう。何が起こるかわからないから周りには注意してね」
「いい案ね、ばかばかしい罠に時間を無駄に費やす必要はないものね」
「ありがとうございます」
天沢の案通り障壁を床の上に展開する。所々にあやしい床があるが、展開し続けて無視して進んだ。
◇
58階層への階段を下りると、薄暗く広大な空間が広がっている。今までのような迷路型ではなく広い空間に5メートルほどの幅の道だけがあり、道を逸れると落ちるようになっている。
暗くて落ちるた先は見えないが、きっとろくでもない結果が待ち受けているだろう。
天井も高くなっており、今までは高くても最大20メートルぐらいだったが、ここは100メートルほどありそうだ。
「今までとは雰囲気が変わったね」
「そうよね、ここからはこのタイプになるのかしら」
「ですがこのタイプは私達に有利ですよね、障壁を足場にすれば道に関係なく進めますから」
「そうだね、展開しつつ道に沿って進もうか」
迷路タイプの迷宮の壁を壊しながら進むみたいな裏技だよね。
「少し暗いけど明かりは必要かしら?」
「では私が光魔法で明るくします。ライト!」
天沢が光魔法を使うと、野球のボールのような玉が僕達の上をフワフワと浮いて、周りを明るくする。
歩いててもついて来るから便利だ。光魔法は迷宮と相性がいいよね。
「ライトって結構明るいね」
「魔物からこちらの位置が丸分かりよね」
「消したほうがいいですか?」
「魔物が近づいてくるタイプなら大丈夫、逆に遠距離のタイプならいい的になるかな」
「とりあえず落ちる心配もないのだし、このままで行きましょ」
「分かりました」
僕達の周りは明るいけど、それ以外は暗く、魔物がどこにいるのかがよく分からない。
「ライトボール!」「ライトボール!」「ライトボール!」
ちょっとライトボールを周囲に何発か飛ばして反応をみる。
「何をやっているのよ……」
委員長から呆れた声が返ってきた。
求めているのはこれじゃない……。
「魔物を探しているのでしたらフラッシュはどうでしょう、指向性を持たせれば魔物の影が映るかもしれませんよ」
そういう使い方もできるんだ。
「ありがとう、やってみる。フラッシュ!」
試しに上に放ってみる。
するとかなりの数の魔物の影が天井に映った。
「大きな蝙蝠かしら」
「レーザービームで攻撃しますか?」
「そうだね、届くならこちらから攻撃しよっか」
「仕方ないわね」
嬉しそうな顔をしてるの見えているよー。
「ではいきます」
「「「レーザービーム!」」」
レーザービームを何発も撃ち放つ。
突然の攻撃に驚きパタパタと飛び回っているが、こちらに気づく様子もなく、次々に撃ち落とされていく蝙蝠達。
嬉しそうに魔法を放つ僕達。
なんだろう、蝙蝠に同情してきた……。
「……なんか一方的だね」
「目が見えてないのかもしれないわね」
「そうですね、夜行性タイプの蝙蝠じゃないでしょうか」
今までの魔物はこちらに攻撃の意思があり襲ってきたけれど、攻撃されなかった相手は初めてなためかちょっと罪悪感が残る……。
「……終わったね」
「魔物は敵よ、迷宮での甘い感情は危険を招くわよ」
ばれてる。そうだね、僕の油断で2人が傷つくのは嫌だししっかりしないと。
「では階段を探しましょう」
2人とも割り切ってるよね。
「そうだね、行こうか」
「ええ」
「はい」
僕も気持ちを切り替えて行こう。
お読み頂きありがとうございました。




