第九話 開店前
第九話 開店前
めまいがした真はバス停にあるベンチに座ろうとした。
でもすぐにやめた。
起きた直前ならばちょっとボケてる真だけど、彼は基本的には健康な体をもっている。
精神的なショックでめまいがしただけだと自分自身で知っているし、そこまで考えている間に普通に戻ったからだ。
真は本当に大丈夫なんだろうと思いながらも、念のために両手を開いて一足で立って見る。
体のバランスが取れる。問題なさそうだ。
何台もバスが同時に停車ができるよう、ロータリー式になっているバス停の広場は真ん中にあった。
バス停広場の背景のように後ろに建物があって、両側にも建物がある。
向かって見ている方向が多分、南だと思うから、南がバス停広場の後ろ、東が左、西が右の方で目指している駅と商店街だ。
上の方が駅と路線があり、その下の場所を商店街にしている。
ちなみに真ん中にある南の建物の一階にはには真もたまに利用した銀行やファストフード店などの店があり、二階からはゲームセンターや居酒屋など、ちょっと遊び向きの店が揃っていた。
左にある東の建物はどこでもありそうなスーパーマーケット兼、ショッピングモールになっていた。
真はスーパーマーケットはともかっく、三軒の建物がいろんな意味で内容がかぶっている店が多い気がした。
でもある日、退勤時間くらいの時間代に駅に忘れてた買い物をしに来たら、その店があるのが当然、または足りないのではないか思うくらいの人で混んでいるのを見た。
需要と供給のことだから…。
その後からはそんなに気にしない。
本屋は駅の下にある商店街にある。
真は自分の財布の中を見た。
まだ十分な紙幣札がある。
もし、お金がありなかったら銀行のATMでお金をおろしてから行こうと真は思った。
コンビニのときにもそうだが、支払いせずに持って帰ることに抵抗感があるからだ。
「本を買う」と考えたからだ。
右にある駅の方へ真は足を運ぶ。
駅の下にある商店街に行く道は二つある。
一つは駅にある改札口の隣にある階段から下っていくこと。
もう一つは駅の入り口の反対側にある商店街の入り口から入ること。
でも、今の場所からは駅の建物自体を回して行ってから商店街の入り口に行くことになるから、改札口隣の通路うから下ることにした。
地上より上に路線がある駅だったので、入り口の階段がありだんだんと登って行った。
事実、駅の入り口と改札口は二階、駅のプラットホームは三階にある。
当然、商店街は一階ってことだけど、地形がちょっと坂になっているか一階に見えながら半分地下のようにも見える。
そのせいで反対側の商店街入り口が遠いわけだけど…。
「やっぱり」誰もないと分かった以上、気を重くしても自分のストレスになり、精神健康にもよくないと思って、真は楽しいとは言えないけど気軽な気分で行こうと思いながら駅の中に入った。
建物の中だから風も吹かないから駅の中は静かだった。
駅の中は電気が入っているようで、灯もついていた。
目や耳が慣れると、じーーと機械からの電気ノイズみたいな音と、うーーーーーんとする音がした。
じーーとする音はどこなのかわからないけど、うーーーーーんとする音は自販機から出た。
自販機も冷蔵庫みたいなものだから、似た音がするなと真は思った。
普通であれば道にある自販機の作動音など、聞こえるはずもない。
そのくらいに静かだ。
「とにかく改札口へ行こう。」
真は音も慣れるくらいになってから改札口の方へ行った。
改札口はいつもの通りだった。
中に入ってプラットホームで待っていると電車が来る気がするくらい…。
でも、バスのこともそうだけど、多分来ないだろう。
もし、来るのであれば、商店街が駅の下にあるから振動や音がするからすぐわかる。
その時は…。と真は思った。
そんな希望的な想像をしていながら改札口隣の商店街への階段口を見た真は自分も知らずに目が大きくなった。
商店街への通路にはシャッターが下ろされているままだった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
いきなり、読んで下さる方やブックマークが増えて驚きました。
たくさんの方々が読んでくれるのが実感できて嬉しいです。