第二十一話 お隣さん訪問
第二十一話 お隣さん訪問
真はマンションについてから自分が忘れたことに気付いた。
帰りにスーパーへよることを忘れた。
それは慣れてない車の運転に集中していたからできたことだ。
今からスーパーへ行くこともできるが、マンションまでついてしまったから仕方がないと思って真は車を止めた。
真が住んでいるマンションの前は幅が広いとは言えないが狭くもない道だ。
ここに小型トラックを止めても、人や自転車は余裕に通れるくらいの幅はある。
普通だったらこんなに車を駐車場ではないところに止めると近所迷惑だろう。
しかし、一人になった今の真には近所迷惑など、気にするものではない。
車の鍵を抜いてポケットに入れたあと、真はトラックから降りた。
まず、トラックから自転車とカートをおろした。
自転車はいつものようにマンションの壁の方に置き、カートにホームセンターからもって来たものをトラックから運んで乗せた。
このカートを真がもって来たのは、このカートをマンションに置いといて、これからもって来た食材などの荷物を自分の部屋まで運ぶときに使うつもりだった。
ホームセンターからカートをもって来るときに寸法を適当に見てから大丈夫だろうと思ってもって来たが、もって来たものをすべて乗せたカートを押して、自分と一緒にマンションのエレベーターへ入ると、本当にぎりぎりまでの余裕が残った。
とにかく問題なくエレベーターにカートを入れたので良かった。
次からはエレベーターに入れるのか寸法をちゃんと確認しようと思った真だった。
部屋の玄関までに来て、カートに乗せていた荷物をクーラーボックスとカート以外はすべて部屋の中へ入れた。
部屋に入れるのには大きいので、カートとクーラーボックスは玄関扉の傍に置くことにした。
また出かけるときに使うはずだし、あの大きさのものを部屋を入れると部屋が狭くなる。
真はマンションの廊下にカートを散らかしておくのは気に入らないが、仕方なく妥協した。
でも、家の冷蔵庫がそんなに大きくないからクーラーボックスはもう一個部屋にほしいなとは思った。
次にホームセンターへ行く時に考えておこう。
部屋の時計を見たら午後4時が過ぎていた。
真は時計をみながら少し悩んだ。
スーパーへ今から行くかどうか…。
小型トラックができた今は自転車よりは速くスーパーへ着くのだろう。
スーパーまでの往復時間や食材を選ぶ時間を考えても6時前までは帰るのではないかと、真は思った。
何日くらいしか過ぎてないが、経験から学んだ真の時間予想は多分間違っていない。
でも、今すぐスーパーまで行くほど、忙しいことがないから考え直して今日はスーパーへ行くのはやめた。
その代わり、ホームセンターからもって来た道具を使って、お隣さんの家にお邪魔しようと思った。
しばらくして、真の手にあったのは70センチくらいの長さの中量感がありそうに見える、金属製の棒だった。
その棒の末には英語の「J」の形に曲がっていて、曲がっているところに凹みがある。
いわゆる「釘抜き」とか「バール」と呼ばれる釘を抜くための道具だった。
てこの原理を利用して釘抜きやそのほかにもいろいろと使える道具だ。
その「いろいろ」を今からのお隣さん宅にお邪魔するときにしようと思う。
ロックピックだったけ…。映画やRPGゲームの盗賊のように扉を開けるスキルがあればいいけど、真がそんな能力などあるわけがない。
これからもカギがかかっている扉はいくつでもあるはず、なので真はホームセンターへ行く時に探した道具の中で「扉を開ける道具」を探していた。
大きいホームセンターだったわけで、いろんなものは揃っていた。
溶接機、チェーンソー、切断機など…。
扉を開けるのができそうな工具類はいくらでもあった。
でも、これらは却下。
溶接機は使い方も知らないし、ガスボンベが一緒についていた。
サイズやその重さが相当なもので、いちいちもって移動するにはちょっときつい。
チェーンソーも溶接機まではないものの、重い。
燃料を使うけど、普通に見れるガソリンだったからそれは問題はなかった。
ある程度、ゾンビ映画とかの定番だからそれなりのロマンもあったし…。
しかし、チェーンソーで壊せる扉がどれくらいあるんだろうか。
少し疑問だった。
切断機については溶接機やチェーンソーよりは使いこなせそうなものだった。
真が使おうとする目的にはほかより切断機が一番あっていた。
両手で持つくらいに重いのを除ければ…。
悩んでいる真に切断機の横にあった釘抜き、バールが目に入った。
本来は釘を抜くための道具だが、野球バットくらいの長さ、重さも真が力を入れれば十分に振るのができるくらいの重さだった。
ハンマよりは身を守るにも、ガラスの扉などを壊すにも効率がいいと真は思った。
当時は知らなかったが、駅の商店街にあったガラスの扉を壊すときに、ガラスの破片が結構飛び散ったんだ。
怪我はしなかったが、服の中にもそのガラスの破片が入っていた。
バールにもいろんな種類があった。
サイズ、長さとかがそれぞれだったけど、真はその中で長さ70センチくらいのものを選んだ。
選んだガーンメタル色のバールは真が両手、片手でもってもちょうど良いくらいの重さだった。
道具としても、身を守る武器としてもちょうどよい。
そう思ってもって来たバールだったが、これならマンションの扉も開けるのではないかと真は思った。
真が住んでいるマンションは玄関ドアが金属製だったが、ノブについてある錠前以外はロックされるものが何にもなかった。
一階の入り口からセキュリティーがいいし、町自体がそんなに泥棒とかがあんまりない治安がよい方だったのも理由だろう。
人によっては大家さんとやり取りをして錠前を追加することがあるかも知れないけど、真が住んでいる階層には見たことがないし、錠前を追加するんだって金属製の扉はそのままだ。
真はスーパーやホームセンターの場合のように扉が簡単に開けているのは運がいいことだと思っていた。なので、扉を開けるスキルや道具が必要だと思った。
ホームセンターから道具を手に入れて今は実戦のみ…。
そこでだ。
外に出て、物を探す店の前で扉を開く練習をしてもいいけど、時間的な問題でスーパーに行くことをやめたて暇な今なら、練習を兼ねてお隣さんへの訪問(?)も悪くないと思った。
もうしかしたら、自分以外にも誰かがいるかなという疑問ももっていたし…。
とにかくそんな純粋(?)な理由でお隣さんにお邪魔しようとした。
でも、いくらなんでもそばに住んでいるミチコさんのお宅からするにはどうしても気が進まなかった。
何回もミチコさん宅のベルを押して確認はしたけど、やはり答えはなかった。
真は気が進まなかったミチコさん宅はほっといて、その代わりに一番奥にあるドアの方に足を運んだ。
ベルを押してみる。
ここも何回もベルを押しても返事はない。
何とか顔くらいは見たことがある人のお宅だけど、逆に言えばそのくらいの関係だったからミチコさんのお宅よりは遠慮なくバールをノブがあるところのドアと壁の隙間にバールを差し込んだ。
この扉は真との全く同じタイプの扉だった。
なので、構造も同じだった。
真は自分の玄関ドアを参考にしてバールを壁とドアの隙間に差し込むまでは良かったが、理想と現実はちがうものだろう。
差し込んだバールにいくら力を入れても全くバールが動くようすも、扉が開ける様子もない。
3-40分くらいの時間が過ぎて、やっと真は扉を開くことに成功した。
「 開けた」よりは「壊した」の表現が相応しいかも知れないが、とにかく扉の鍵を無力化(?)したことに意味が真にはあった。
開けた(?)扉を開けると真自身の部屋とはそんなに変わりがない玄関が見えてきた。
「誰かいませんか?」
と、人を呼んで見てもなんの返事もなかった。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
仕事に追われて、やっと週末になって休むことができました。
(涙)




