魔族
ラージュ達が畑仕事をしていると、どこかから激しい爆音が聞こえて来た。
「女子供は一旦避難させろ、ラージュ、ウィレッド武器庫へ急げ嫌な予感がする」
次の瞬間、カンカンカンと見張り台から魔物が来た事を知らせる金が鳴り響いた。
ラドックの言葉にラージュとウィレッドは従う。
武器庫には他の自衛団も集まっていた。
急げ、武器を取れ、女子供は避難させろ!!
辺りは混沌としていた。
しかし皆、素早く準備をする。
「何が出やがった?ドラゴンか?それともキメラか?この音は尋常じゃねぇ」
「さあな、だが畑を食い荒らすような奴じゃなく、人を襲うタイプにちがいねぇ」
自衛団の男達が武器を携え、村の門に急ぐ。
ラージュ達もその後に続く。
村の門を閉め辺りを警戒する。
ラージュは見つける、馬が2頭走って来ていた。
その後を人型の羽が生えた魔物が追いかけている。
自衛団の一人がつぶやいた。
「マジかよあれは魔族だ!!」
美しい顔立ちの女性の姿をした魔物特有の赤い目をした魔族が、馬に乗ったきっしゃな青い髪をした少女と筋肉質で大柄な大きな剣を持っている茶髪の30代の男を追いかけていた。
自衛団達の緊張が一気に高まった。
「どうする?魔族の前に人がいてボウガンは無理だ。」
そこへ村長が指揮をとる。
「仕方ない馬に乗っている二人を保護する、戦士隊前へ!!門を死守しろ」
門の前に槍や斧、剣を構えたリベリトの村人達が村の壁面に展開。
門の間を開けて馬を通れるようにし、両前面に羽の形で村人が展開する。
村長が馬に乗っている旅人に手で村へ駆け込むように合図する。
二人の旅人がリベリト村へ駈け込もうとするが、その後を羽が生えた魔族が追う。
しかし、次の瞬間、羽の生えた魔族はドスンと見えない壁に当たった様に地面に落下した。
「投げやり、投げ斧準備!!」
村長が指揮を取る。
「何が起こったんだ?」
ラージュは魔族が急に落下したことに驚いてそう言った。
「おそらくは村長のエレメントですね」
ウィレッドがラージュの横でつぶやいた。
村長が何かつぶやき手を掲げる。
つぎの瞬間、魔族に向けて見えない刃の様なものが村長の手から発せられる、村長から発せられたエレメントによって、魔族が吹き飛んだ。
「すごい、村長がエレメントを使ってるのは初めてみたけどすごい」
ウィレッドはラージュの隣で興奮している。
村長が言う
「村へ魔族の侵入を許すな!!魔族を撃退する投擲!!開始!!」
その合図で投げやり、投げ斧隊が魔族への一斉攻撃を始める。
「俺たちの出番はねぇなぁ」
「でも被害はまだ出てない」
ラドックの言葉にラージュは返す。
しかし、この時、この魔族に気を取られ村人達はもう一匹魔族が近づきつつあることに気づかなかった。
「私の可愛い部下をよくもやってくれましたね」