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番外編 こどくなバレンタイン

本編とはルートが別なので一切関連性がありません。

 



 

 2月14日――


 ――それは恋人の日――――


 男女どちらがアピールするかは国によって様々だが、異性にプレゼントを渡し、アピールを推奨している日である。

 こと日本においては女性が、恋人にチョコ(手作り、高級)を贈り、見返りに高価なバッグや服を要求する――――


 おっと失礼。


 愛を物にして表現する日だ。


 また恋人が居ない者は狩人の如く、《イイオトコ》というなの獲物を追い回す日でもある。


 もっともその反動に<上司・先輩>、<同僚・同級生・下級生>、または<恋敵達ライバル>を過激派にさせないために、義理・友チョコなどといった必要経費が掛かってしまうが……。


 男においても、貰えた数がステータスとして周りに勝ち誇るようになる。

 普段勉学、運動、仕事で他者に負けていても、この日だけはそんなのは関係ない。

 チョコの数だけが男の価値とでもいうような風潮になっている。

 もちろん重要な仕事を放り投げるようなことはしないが……。



 しかしコロナは、この異世界においてかつて0だったという黒歴史も関係なく、平和な1日を送れると思っていた。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「緊急依頼……ですか?」

「はいそうです。この日だけは、探索者サーチャー傭兵ソルジャーにかかわらず、あらゆる全ての戦闘を行える者に強制的に発令されます」


 コロナは今日も仕事をしようとギルドに通い詰めていた。

 日々毎日報酬が高くなっていくことで面白さを感じており、やりがいを感じ始めていたのだ。


 受付嬢カーチャンは皆、美しく、可愛らしい人もいれば色気で思わず『ぼ、ぼくは、も、もう!!』と、情熱の限り暴走しそうになるのを抑えるのが精一杯だった。

 そんな彼女達に、「がんばってくださいね」と送り出されるなら、日々の疲れが貯まっていたとしても気力がみなぎってしまう。

 それに自己能力ステータスも色々と向上し、まさにギルド様々であった。


 中には固有能力ユニークスキルなど持つ者もいるが、そのような物を持っていないコロナには関係のないことだ。

 一歩ずつ一歩ずつ進んでいけばいいのだから。

 多少気になる階級ランク名はあれど、それにさえ耐えてしまえば魅力的なボーナスがある。

 これにならない手はないといえるだろう。

 現在コロナは【ニート】だ。

 だからといって働いてないわけではないのだから、気にする事もない。



 そんなある日――2月14日のこと。

 いつものように仕事を探していたが、依頼板を見ても何も依頼がなくどうしたものかと思っていた。

 そしたらアーシャが突然話し掛けられたというわけだ。


 彼女はコロナに気を砕いてくれており、もしかしたら今日はチョコを貰えるのではないかと妄想してしまっていたくらいである。

 だけどここは異世界。そんな習慣はおそらくないから、それはありえないことだろう。


 そんな彼女は普段窓口に待機しており、こちら側にはやってこないはず。

 受付嬢カーチャンは窓口付近にいる、という相場が決まっていた。



 彼女は俺たちギルドに所属している者にとっては憧れのまとだ。

 このように仕事以外で1対1で話し合っていると嫉妬されるところだが、周囲はそれを気にしている様子はない。

 むしろ、忙しそうに動き回って周りに声を掛けている。

 いつもとは違うギルドの様子に困惑しているとアーシャが続けた。


「本日2月14日はバレンタインなのです」

「ば、バレンタイン…だと……」


 コロナはこの世界にも恐怖のソレ・・があったのかと驚愕してしまう。

 しかも、彼女が懐からチョコを取り出す様子もない。

 今年も『0』に輝くのかと、暗い気持ちになりかけたが、彼女の前でその様子を見せるわけにもいかない。

 そんな男の意地で、正面を向いて彼女の話を聞く姿勢になった。


「はい。チョコという黒く小さな魔獣が集団で襲撃をしてくるので、これを撃退する日をそう呼びます。

 階級ランクに関係なく、どれだけチョコを倒したかが重要です。

 撃退数の多い者がどれだけ階級ランクが下の者でも、しばらくの間は上位者のように扱わなければなりません。例外なく、どんな上位者でも」

「チョコ……」

「はい、チョコです。

 ドロップアイテムは一切ないのですが、倒すと自己能力ステータスの方にカウントされていく不思議な仕様なため、神の試練とされているのです。

 ですので、これはギルドに所属していない者でも、戦闘を行えるのであれば退治しなければいけないのですよ。

 もしそれを破ると神の天罰なのか、天職に《不誠実者》と表記が現れ、一年間自己能力ステータスにマイナス補正されてしまうそうです」


「……そ、そうか。それなら是非俺も頑張らないとな」

「はい、がんばってください」

「じゃあいってくる」





 この日、コロナはモテナイ君という黒歴史を払拭するため、チョコに対して八つ当たりをした。

 その暴れ様は見ている者を震え上がらせ、思わず周囲が、「やつはチョコに怨みでもあんのか!!」と悲鳴を上げてしまうほどだった。


 そしてコロナが暴れているところから、少し離れたところから声があがった。


「「「「やばい、集めすぎた。巨大ヤンデレ化するぞ!!!」」」」


 コロナはヤンデレと聞こえ、そちらを思わず振り向いてしまう。

 ヤンデレは回避しなければ命にかかわると、サブカルチャーを通してコロナは実感していたからだ。


 しかしこの世界の巨大ヤンデレとは、魔獣《チョコ》の種族固有のスキルで、非力な存在である1匹チョコが周囲のチョコを取り込み合体していくスキルである。



 その様子を端から見ていたコロナは思わず呟いてしまった。





蠱毒こどく…………」




 


                  END


 

 

 

 

 

まともなバレンタイン物などと、いつから錯覚していた。




ごめんなさい。言ってみたかっただけなんです。

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