おまけ 悪役令嬢は姉に感謝を捧げ…られない
ー隣国 王城の一室ー
「ひどいわぁ~ローズもお父様も。この国に来て下さる筈だったのにい~」
「仕方ないよ、リリアンヌ。あの人に言われたらお義父上も断れないよ。それに彼の国はやっと反乱が収まり、これからの国だからね。お義父上にとっては安定しているこの国よりもやりがいがあって張りきっているんじゃないかな?」
「でもお~この間ローズが来た時も、あの子は行き先を言わなかったのよ~。まさか魔国に行くなんてえ…」
「ローズマリーが選んだ男が魔国の新王だなんて僕も思わなかったよ。だけど、アーレスバッハ一族が魔国に行ってローズマリーが王妃になれば、この国と魔国との交流もスムーズに行くし友好関係も深まる。何と言っても魔王は僕等の義弟になるのだからね」
「それはそうだけどお~うちの一族が来てくれればもっと発展して素敵な国になったのにい~」
「大丈夫さ。僕の奥様はアーレスバッハ一族きっての才能の持ち主だからね。君さえ居ればこの国は安泰さ。もちろんそれだけじゃないよ?君がアーレスバッハで無くても僕は君の虜なんだ。僕のご主人様はリリアンヌさ」
「あらあ~フィルったらあ、ほんとにそう思っているのお?」
「もちろんさ!ローズマリーが来なくて寂しいのは分かるけど、君には僕とこの子がいるだろ?愛しているよリリアンヌ」
「そうなの~私もフィルを愛しているわぁ。貴方とこの子のいる国を守るわ~お父様とローズマリーには負けないわ~」
「ありがとうリリアンヌ!二人でローズマリーの幸せを祈ろうじゃないか。落ち着いたらまた会いに来てくれるさ。その時はもう一人くらい家族が増えていても良いと思わないかい?」
「あらあら~2ヶ月前に一人増えたじゃないの~足りないのお?」
「うん、そうなんだ。僕は君が足りないんだよ。良いだろ?」
「ンン~ン」
ー隣国の上空にてー
「ねえ、ちょっとだけでも姉様に会って行きたいわ」
「駄目だ。一刻も早く国に戻る!」
「良いじゃない、このドラゴンなら魔国まで直ぐに着くわ。少しくらい寄り道しても大したこと無いわ!」
「駄目だと言ってるだろう!だいたいこのドラゴンを何処に降ろすんだ?城の屋根にでも降ろすのか?」
「そ、それは不味いと思うけれど…そう、そうよお父様を待っていなくてはいけないわ!屋敷の引越しや、みんなをまとめて連れて来るのをお父様一人にやらせるなんて酷いわ!せめてお姉様の所で待っていてあげなくは!」
「…ローズ、お前は俺の事嫌いなのか?嫌いなんだな?でなければ寄り道なんて言い出す筈が無い!」
「な、何を言っているのジルベルト!私が貴方を嫌うなんて、天地がひっくり返ったとしてもあり得ないわ!」
「それは本当か?ならばこのまま魔国へ急ごう!」
「だから何でそうなるのよ⁉お姉様に一目会って魔国へ行く事を黙っていたお詫びとご報告をしたいだけなのに!」
「…んだ」
「え?何ですの?聞こえませんわ?」
「だから!もう待てないんだ!散々我慢させられたんだぞ?一刻も早くお前を俺の物にしたい!俺の腕の中で啼かせたいんだ!寄り道なんてしていられるか!さっさと行くぞ!」
「な、な、何て⁉」
「それともお前は俺の物になりたく無いのか?ん?正直に言えよ」
「…ですわ」
「んん?聞こえないぞ?」
「んっもう!良いですわ!さっさと行きますわよ!向かうのは魔国、終着点は貴方の腕の中…ですわ!」
皆様のお陰でここまで来る事が出来ました。
【勢い重視の実験作】をたくさんの方が読んで下さり、評価して頂いた事は作者の一生の宝物です。
本当にありがとうございました。
皆様に心からの感謝を捧げます。