Alternative 3
【人の顔】
それは額があり、眉があり、睫毛に目、鼻に口、そして輪郭をまとめ顔となる。
あとはシワやホクロ、傷など等といったものもあるだろうか。
それが人が持つ顔というのが大体の生物がもつ共通認識だろう。
当然その認識は私にも確かにある。
だが目に映るそれは謎の靄によって隠されている。そんな靄があれば前など見えるはずなどない。
だけど隠されている当人にその靄を意識している様子はない。
何故だろうか…。普通であればその異常なモノを見れば疑問や不快感、そして恐怖が湧き出るはずなのだが、疑問は出るもののそれら二つに近い物は湧いてこない。
むしろ何故か徐々疑問も薄れ無くなっていき、それが異常ではなく、普通であるように感じて来ている気がする。
そういえば両親はいくつかの赤い乱線があったような気がするけど彼女の顔にそれは見えない。
その女性はある部位がとても豊満なプロポーションで男性は好きそうな見た目だ。それにしてもなんで看護服の上に白衣…?
「あらあら、そんなにも熱い眼差しを向けられちゃうと、お姉さん困っちゃうなぁ」
そうモジモジとしながらその女性が近づいてくる。
何を言っているのだろうかと首を傾げながら見ていると。彼女も「ん〜?」と人差し指を恐らく口元に立てて考えような仕草をする。
「あ、そういえば私は毎日様子を見に来ていたけど貴方からしたら久しぶりだし、いっぱい会話をしていたとかじゃないから忘れちゃったのかな?なら、もう一回挨拶をしないとね」
彼女は軽く服装の乱れを直し手を後ろに組む。
「あなたの担当係になってるセルベラよ。よろしくね。アルフレッドくん。もう忘れちゃダメよ」
そう自覚があるのか、自身のその豊満な胸をアピールするように突き出して挨拶をする。
「よろしくお願いします…」
アルフレッド…それが私の名前なのか…。でもなんだろうこの違和感。その呼び名に全く馴染みが無い。
それにセルベラさんは面識があり、私はこの人と初対面ではない気がするのだが…やはり全く思い出せない。
「なにか考え事してるところ悪いのだけど、今何か体に違和感とか無いかな?変に疲れてるとか、気だるいとか」
「疲れてるとかは特に無いです」
「なら動いても大丈夫そうかな〜。それじゃあ検査しに行こっか」
「検査?」
「っそ。覚えてるか分からないけど。一週間ほど前に目覚めた時に直ぐに吐き出したの覚えてる?」
…あれは、やっぱり夢じゃなかったのか…。それに一週間も眠っていたのか…。結構と言うよりかなり長い事眠っていたな。
「何となくは…」
「あの後すぐに色々と調べたけど、それまで通り特にこれといった異常は無かったんだよね。それから今日まで毎日定期的に検査しても異常無し。それで今からその検査の時間なんだけど大丈夫?」
「ああ、はい。大丈夫です」
「じゃあ行こっか」
そう手馴れた手際で私は起き上がらさせられ検査をする為に部屋の外へと一緒に出て行く。




