キャラ作成
お待たせしました。
そろそろ連続更新を終了して別の方に行く予定です。
要望があればこの話は早まりますけど…。
俺は軽く飲み物を飲んだ後、仰向けになりVR機器を着ける。
まだ、二時間以上本サービス開始まであるがキャラメイクなどは先に済ませておきたい。
俺は手動式のスイッチを起動して力を抜く。
彼がスイッチを起動したに関わらずなぜゲームが始まらないかは簡単なことだった。
このVR機器には二つのスイッチがある。
一つは手動式の電源スイッチ。
もう一つは電源を入れた後に考えることによって作動するスイッチの二つである。
なぜ、そのようなことをしているかは一年前に開発者達が言っていた。
バッテリーの問題と一つのスイッチでは誤作動を起こしかねないのでそういう時用に外の人が切れるように手動式スイッチがあるらしい。
まぁ、裏ではデスゲーム系の話が流行った所為で安全ですよと伝える為だそうだ。
そして、俺はゆっくりと深呼吸をした後にゆっくりと登録したキーワードを考える。
スタートゲーム
我ながらダサいキーワードだと思うが変えるつもりはない。
直後、俺は視界が真っ暗になる。
瞼は閉じているので普通は真っ暗だ。
しかし、あくまでそれはリアルの話である。
最初の接続から入っているのだろう。
故にまだ何も起きずに真っ暗なままなのだと思う。
そして、俺の視界の中心が光ったと思うと一人の少女が現れる。
『こんにちは。
お久しぶりですね。』
「おう、久しぶり。
覚えていたのか?」
『はい』
「ありがとう、それにしてもいつ見てもAIには見えないな。」
『お褒めいただき光栄です。』
そう、彼女はAIである。
しかし、それを思わせない程の彼女の人間みたいだった。
この会社はAIには結構力を入れたらしいがベータテストの時はこの場所でしか実感できなかったのだが…。
「それで、おしゃべりはしたいが、まずやることをやってからで。」
俺がそう言うと彼女は頷き、俺の目の前に現在設定されている容姿と画面が現れる。
まず、最初にやることはキャラの容姿である。
俺は現実の自分に近い容姿に変えていく。
それが終わると俺は決定と書かれた部分を軽く指で叩く。
『キャラの容姿設定が終わりました。
続いて初期装備と補助スキルの贈呈です。』
初期装備は最初にある程度の見た目と色などを変えることが出来る。
補助スキルというのはゲーム内では手に入りにくいスキルをランダムに三つ渡すというのだ。
因みに前回の俺のスキルは『物理補正』『AGI補正』『入手経験値二倍』の三つだった。
物理補正のスキルがかなり優秀だった記憶が俺にはある。
とりあえず、重装備は好きでは無いので軽めの服のような見た目にする。
黒、白、青の染色を綺麗に施して完了する。
武器は剣にして綺麗な銀色に染める。
綺麗な染色は後々売れることがあるから良い。
ここまではベータの時と同じだ。
問題はここからだ。
『では、次にスキルです。
こちらの箱から引いて下さい。』
俺は息を呑み、目の前に現れた箱に手を入れる。
そして、一つの巻物を取り出す。
スキルスクロールだ。
俺はそっとそれを開く。
一瞬、光り出しスクロールは消える。
『おめでとうございます。
スキル『魔法補正LV1』が手に入りました。』
俺は欲しいものが手に入り内心でガッツポーズをとる。
彼女は一息吐くと再び吐くように促す。
俺はもう一度箱の中に手を突っ込み取り出す。
先程より明るい色をしたスクロールが出てくる。
俺は躊躇なくスクロールを開きスキルを入手する。
開いた際の明かりは一向に慣れそうに無いが我慢する他無い。
『続いては『必要経験値10倍EX LV1』ですね。』
これはよく知らないからなんとも言えないが大丈夫だろう。
EXってついているし…多分。
また、彼女は一息吐いて促す。
俺は最後の一個ということもあり、大きく深呼吸しながら箱の中に手を入れる。
そっと何かを掴んだ感触がする。
俺はゆっくりとそれを取り出す。
先程と同じ明るめのスクロールである。
俺は一度目配せをした後にスクロールを開く。
いつも通り、光を発し俺は目を瞑る。
そして、俺が目を開けると同時に声が聞こえる。
『おめでとうございます。
『分配EX LV1』を入手しました。』
その声とともに俺は安堵の息を漏らす。
俺が欲しかったスキルが手に入り俺はとても嬉しかった。
『それでは、最後にベータテスターボーナスでもう一回、引いてもらいます』
「ちょっと、待て。
それ、後で批判が来るぞ!
別に俺は得した気分でいいけど。」
差別だ!とか言って超批判する人間が想像できるのだが…。
『そこは安心して下さい。
元より、本サービスは四つ渡す予定だったので新規の人は《新規ボーナス》とか言ってやっていますから。』
そういうことか、と思い俺はパパッと引いた。
一番最初に出たのと同じような色彩だったが気にせず俺は開く。
一瞬の光の後、俺はジッと彼女を見る。
『………』
「………」
『…………おめでとうございます!
『限界突破LV1』が手に入りました!』
なんか凄そうのがきたなと思うと同時に俺は一つの思ったことがあった。
「なぁ、一つ言っていいか?」
『何なりと』
「なら、遠慮なく言わせてもらおう。」
どちらにしろ言う予定だったが…。
こっちの方が気が楽だ。
「今の間は何だ!
今の間は!」
俺がそう言うと彼女はにっこりと笑う。
そして、綺麗な笑顔のままこう言った。
『ムードを出したまでです。』
もうこの人、本当にAIなのかな?
最早、AIを人として認識し始めたいる主人公であった。
読んで頂きありがとうございます。
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