中ボス戦
久々の更新です。
遅くなって申し訳ありません。
「ふぅ、こんなものかな?」
今日のボス戦に備えて俺は一人で狩りに出ていた。
この辺りはゴブリンが多く、錆びた銅の武器シリーズが集まっている。
「炉は…まぁ魔法で代用するか…」
あまりにもストレージが一杯になっていったから悩んでいるとふと俺はあることを思いついた。
鋳つぶして銅のインゴットに変えればよくね?と…。
しかし、俺には鍛治スキルは無いリアルの経験も無い。
兄が黙々と作っていたのを見たことがあるのと、興味本位でこのゲームの中で少しやった程度だ。
炉以外の道具は興味本位で前々から持っていたものである。
炉はいつも借りていて、携帯炉などは持ち合わせていない。
「火力が足りないな…」
鍛治系は少し苦手で前に少し調べたがやはり未だ無駄がある。
さらに、火力不足で銅が加工出来ないのかそれとも、炉では無いと金属系アイテムの加工は出来ないのか?
判断が付かない。
少し炎を強めると、やっと色が変わってきた。
そうして、少しずつ加工が出来るようになっていく。
俺はそれを見てもう一つ思いついたことがあった。
「そういえば…こういうのって『錬金』が定番だよな…」
一応、存在は確認されているがスクロール以外の入手が確認されていないスキルである。
一応は『錬成師』や『錬金術師』の職業もあるらしいが条件があるタイプの職業で初級の職業の鍛治師か魔法使いと土魔法使いの職業をある程度のレベルまで上げないといけない。
さらに、『錬金』のスキルを覚えていないとなれないとなるとなれる人は限られている。
「そもそもが錬金ってなんだろうな…」
錬金は確か公式の説明には無から有を作り出す魔法とは違い有から物を作り出すもの。だった。
となると、作用するのは既にある鉄から剣を作るみたいなもので…土魔法のように魔力から土の槍に変化させる訳ではない。
魔法は実際、目の前にあるものに直接的な干渉は出来ない。
強化や補強はできても操作などはできないのだ。
そう考えるとシビヤなゲームだなと思う。
あくまで無から有をという法則の元でしか働かないのが魔法である。
「あ、また失敗した。
でもまぁ、今のでスキルが入手できたからいいか…」
そうして、一個ずつ銅のインゴットを作っていく。
錆びはどうやら火でしっかりと取れるようだ。
**************
時間が経ち、俺は今現在街の商業街にいた。
露店が出ているがどこもあまり売れているようでは無かった。
場所によっては行列などができている。
「お、そこの兄さん何か買っていかないかい?」
露店の人が苦し紛れの声で俺に呼びかける。
丁度、銅を売りたかったし、丁度いいと思い寄ってみることにする。
どうやら、武器や防具、金属系アクセを売っているようだ。
「へぇ、中々…」
「やめてくだせぇ、前線組と比べたら俺たちの作ったものなんて、そんなに強くないからよ」
なるほど、あそこの行列は大方前線組か…。
初心者支援と言えば聞こえはいいが、初心者の生産職から考えると商売上がったりと言ったところか。
まぁ、俺としてはレベルが上がるまでの間は物理系ステータスはあまり上がらないから見合わない装備になるんだがな…。
「んじゃ、銅って幾らで売れるか?」
「これはまた、カモかと思いきやこっちが鴨られました」
この人、ノリがいいな。
「それで幾らだ?」
「そうですねぇ、初心者にとってはいい鍛治の経験になりますし…武器や防具としてはダメでも他のものだったら結構使えますし…銅のインゴットなら80くらいが妥当ですかね」
「いやいや、インゴットだぞ。
手間賃を考えれば120だろ」
足下見られている可能性を考えて俺は少し揺さぶりを掛ける。
「いや、手間賃をとはいえでも経験がこちらにはあまり入らない。
それに銅は使える場所があまり多くない。
80だな」
「それでも、銅は採掘ポイントが限られている。
回ったとしても初心者ではなく中級者以降だろう。
110」
「わかりました90で…」
「まぁ、いいか。
なら、こんだけ買い取ってくれ」
そう言って俺はトレード申請に10個の銅インゴットを出す。
「意外と多いな…。
ギリギリ足りた」
流石に銅のインゴットが10個もあるとは思っていなかったのか、少し小声で呟いていた。
そもそも、このゲーム内では銅とは武器や防具には使えないが代わりにアクセサリーとしての評価が高くなっている。
不思議とこのゲーム内には対応鉱石に応じて適正みたいなのがあり、銅は能力を付与するのに向いているらしい。
因みに鉄などは武器、防具としての評価が高い。
「あと、この剣をくれないか?」
俺は近くにあった鋼の剣を指した。
「こちらですかい?
こちらは転売品ですから2500くらいのところを3000ですかね」
妥当と言ったら妥当であろう。
通常の武器と比べても強い武器である。
しかし、一つ気になったことがある。
ーーーーーーーーーー
鋼の剣 R2
ATK+35
追加効果
STR+3%補正
製作者 イッシ
ーーーーーーーーーー
この作品の製作者…まぁ、偶然か。
でも、やっぱり打ち方が…。
「で、お客さんどうするんですか?
私としてもオススメで、通常ATK+25の鋼の剣を+35という値まで上げた一級品ですから」
「うーん、これいつぐらいに転売された?」
「えっと…いつだったかな?
確か二日前だった気がしますけど」
もし、この人が鍛治師を続けてるならもう少し強い武器があるかもな…。
「その人ってどこにいるか分かる?」
「いや、そこまでは分からないないろんなところで転々としてるらしいから」
本当に分からないといったご様子だ。
まぁ、仕方ないか。
「んじゃ、武器買いで」
「まいどあり!」
そうして、俺は剣を買って適当に素材持ち込みで防具を作って商業街を出た。
*************
「コシキさん、今日はお願いしますね」
「コシキくん、私からもよろしく頼む」
待ち合わせの時間になり、カスミとミミカは俺に気づくなり元気よく挨拶をしてくる。
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
俺達は軽く挨拶をしてからフィールドに出る。
目指すはラアルの森の最深部である。
「んじゃ、今の移動のうちにボスについて纏めようか」
「そうですね。
下手に作戦無しに突っ込んでも負ける未来しか見えませんし」
俺の意見にカスミはすぐに乗ってくれた。
ミミカの方はコクリと頷いており賛成であるようだ。
「まずはボスだが、名前はハイフォレストベアという熊系統のモブだな。
特徴としてはHPの三分の一が削れた後に風魔法を使うことと三分の二削れた後に怒り状態になって全ステータスアップ状態になる点だな。
あとはゲージがレッドゾーンに突入した後に来る連続コンボとパターンが増えることくらいか」
俺はベーター版でのことを思い出しながら次々と特徴を上げていく。
「となると、最初のうちは後衛で大きく削る作戦にした方が良さそうですね」
カスミは自分の魔法で使えるものを考えているのか真剣に考えているご様子だ。
「中盤は前衛で潰す形でいいのか?」
「まぁ、そういう形になるのかな?」
ミミカの質問に俺はベーターの頃ソロでクリアしていた為、事実対処方法が分かっていない。
「そうだ、なんなら中ボスのフォレストベアを討伐するか」
「「フォレストベア?」」
どうやら、二人は知らないようである。
まぁ、それも仕方ないことである。
ベーターの頃でも半数以上の人がそのモブの存在を知らなかったのだから。
出現場所は大体森の深部で縄張りを見つけなくてはならないのだ。
更に、大抵の場合その縄張りが結構プレイヤーの行動範囲外に作られており、知る人ぞ知る序盤の美味しいモブだった。
まぁ、フォレストベア系は防具などには向いているものの色んな属性の耐性が低くてあまり使われる事は無かったのもあってか経験値としては美味しいけど、素材としては美味しくないモブだった。
「まぁ、とりあえず付いてきてくれ」
俺はそう言ってフォレストベアが縄張りにしそうな場所を探す。
途中でラビット(兎)系統のモブや鹿などのモブを発見して討伐したりしていた。
因みにラビット系統はポーチの材料として有用で鹿は角の使い道が沢山あるので換金は高く付く。
悲しきことかなフォレストベアの方が確かに高くは売れるが所詮、誤差の範囲になってるんだよな…特にプレイヤーには。
「いた」
少し時間が経ち、やっとの思いでフォレストベアを見つける。
今回は早く見つかった方である。
俺も一度討伐したことあるが、なかなか見つからなくて結局、ボスの方に行ったんだよな…。
ていうか、一応中ボス設定なのに戦っている人が殆どいない事実な…。
「じゃ、戦闘準備」
そう言って俺は剣を抜く。
カスミは魔法の詠唱を始める。
先手はカスミに譲ろう。
「『マルチスピア』!」
5属性の槍がフォレストベアに刺さる。
ゲージの3分くらいは削れた。
俺達を敵としたて認識したフォレストベアは威嚇行動を取る。
俺はその間に魔法陣を書いていた紙を取り出す。
「作動…」
訓練の間で身につけた魔力を操作するという技術により、魔法陣を作動させる。
本来なら純魔力を放つ詠唱などがあるが圧倒的にコスパが悪いため、絶対に使用しないことを心に誓っている。
そして、今回発動させたのは純粋な身体能力などの近接系ステータスの強化である。
俺は大地を踏みしめて剣を振るう。
フォレストベアの威嚇の際に無防備に見せた腹を切り裂く。
この攻撃で一分、流石はボスモンスターと言ったところだろう。
強い武器、ステータス強化、スキルによる大幅強化を持ってしてもたったの一分か…。
「まぁ、俺はまだ近接系スキルより魔法系スキルの方が高いんだけどな」
再び紙を取り出して怒りを露わにしたフォレストベアが後ろを向く瞬間を狙って腹に貼り付ける。
「leuroum(遅延)venb(強化 小)」
俺が詠唱をした隙を突いて爪が振るわれる。
それに対して軽く後ろに飛んで避ける。
そして、追撃しようとフォレストベアが腕を振り上げた瞬間だった。
フォレストベアに貼った紙が爆発する。
「ミミカ、今だ!」
俺の合図とともに後ろからミミカが剣を振るう。
爆発とその影響で少し後ろに下がったタイミングでやられたせいか、フォレストベアのゲージは一気に一割三分くらいは減少していた。
あと一割でフォレストベアの攻撃パターンが少し増える。
俺は先ほどの勢いを残したままミミカとフォレストベアに攻撃する。
ミミカは躱しているが時々カスリはするようで少しずつだが削れていく。
俺に関しては上手くいなしてカウンターを仕掛けるので地味にヘイトが集中し始めていたりはしているがあくまで俺とミミカを同時にフォレストベアは相手していた。
ある程度削れて、残り一分で三割削る瞬間に俺達は後退する。
それに対して俺の方に無防備に追ってくるフォレストベアをみて、俺は口角が僅かに上がる。
「マルチスピア!」
再び放たれる5属性の槍がフォレストベアに突き刺さる。
僅かにたじろぐフォレストベアに俺は追撃を入れる。
これでフォレストベアの残りHPは7.4割と言ったところだろう。
この辺りから前後ろでの回避は使えなくなる。
あくまで避けるなら横などに避けるべきである。
フォレストベアは乱暴に腕を振るう。
俺は極力、その振るった射線から逸れるように動くがどうやらミスしたようで肩の辺りにカスる。
それだけで俺のHPの9割は持っていかれた。
俺は僅かに舌打ちをして回復の魔法を使用する。
これも魔法陣にあり、紙をすぐに取り出して使用する。
完全回復には程遠いが気休めにはなるだろう。
再び、フォレストベアが動き出すタイミングでミミカが後ろから攻撃して、そこからはパータンに入って、これを大体7回程繰り返した辺りで倒すことに成功した。
「コシキさん、勝ちましたね!」
カスミが勝ったところで一番早く俺の下まで来て嬉しそうに言う。
「これがハイフォレストベアの行動パターンでいいの?」
ミミカはドロップなどの確認を終えた後に俺に確認の為に聞く。
「まぁ、レッドゾーン突入した際の行動パターンの変化はこいつには無いが、概ねその通りの行動をするぞ。
そうだな…あとは風魔法の種類はもう少しボスの方が多いから気をつけてくれ」
「わかった」
俺は少し自分のHPを確認して、大丈夫そうだと考える。
ボスの時は防御系魔法の使用をする予定なのでなんとかなるだろうと考える。
「二人とも、次はボスで大丈夫か?」
俺は二人にそう聞くと力一杯、二人は頷いてくれた。
俺達は少し消耗品の確認を終えた後にボスエリアに向かった。
この中ボスを挟もうか悩みました。
本当に…。
因みに、ベータ版の頃からこの中ボスはあまり認識されておらず、大抵の場合はボスを先に倒されることが多かったので中々、慣れない人達(まだ第一の街に止まっている組)にまで情報が通っておらずボス戦で滞る原因となっている。
それでも、時々止まってる組の人達がボスを倒すことがあるので止まっている組は必死にレベル上げをしています。
では、いつも通りのを…
euroum
読み:エウローム
意味:遅延
venb
読み:ヴェント
意味:強化(小)
さてと、ここで少し自分の書いてる話の宣伝を挟みます。
現代異能者?いや、現代ローファンタジーの前世という過去を解き明かしていくバトル物!
https://ncode.syosetu.com/n3177ec/『Reincarnation First Memorise』
異世界もの!異世界に召喚されて世界の秩序を守る魔王という使命を持った少年は世界の行く末を変えれるのか?
https://ncode.syosetu.com/n4121ec/
『秩序の魔王の順応性』
とりあえず、この二つを宣伝させていただきます。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
面白いの思っていただけたなら幸いです。
よかったらブクマや評価の方もよろしくお願いします。