047 これから
めちゃくちゃ時間がかかり、王都を挙げてのお祭り騒ぎになったオレとシャーロットの婚約式から三日。
オレは、久しぶりに自室でのんびりとしていた。
今までは、時間ができれば即ダイエットだったからなぁ。こうしたゆったりした時間は久しぶりだ。
オレは、ダイエットを完了しようと思う。
今まで無茶してダイエットしてきた自覚はあるし、あんまり急激に痩せるのはよくない。これからは適度に運動しつつ、体型の維持に努めようと思う。
なにせオレはシャーロットにかっこいいと言われた男だからな!
できるだけ今の状態を維持したい。
それに、これからはダイエットに充てていた時間を有効活用していかないといけない。
まずはオレの立場の確認だ。
オレは、『絶対防衛圏2』の公式ページのキャラクター紹介ページに載るほどのキャラクターだ。そこにはそれ相応の理由があるだろう。
オレは、自分がいわゆる悪役キャラだと想定している。
キャラクター紹介がどう見ても好意的ではなかったし、仲間にしても味方の足を引っ張るぐらいしかできなそうだったからな。
おそらく、主人公をいじめて、返り討ちに遭うキャラクターだろう。
それだけで済むならばいいのだが、それだけでは済まないのが『絶対防衛圏~カチドニアの魔女~』だ。
この国、カチドニア王国には国難が迫っている。
『絶対防衛圏~カチドニアの魔女~』では、主人公であるシェリルの活躍がなければ、カチドニア王国は滅んでいた。おそらくそれと同等の、もしくはそれ以上の危機が迫っているはずなのである。
『絶対防衛圏~カチドニアの魔女~』でも、オレと同じような悪役キャラがいた。しかし、そいつは敵軍の強さを演出するために蹂躙されて殺された。オレにも似たような未来が待っていないとは言い切れない。もしくは、それ以上にマズい未来が待っている可能性すらある。
そんな未来の死亡フラグを破壊するために、オレは原作のエドワードくんが諦めてしまった魂の魔法に力を注ぎこんできた。
その結果、オレはシャーロットとの婚約をすることができた。
それにアーミーアントを殲滅することもできた。おかげでステータスが見れないので具体的な数値はわからないが、かなりレベルが上がり、ステータスも上がったと思う。
これは原作とは違うルートではないだろうか?
「だがなぁ……」
オレは原作のストーリーを知らない。
まだ未発売のゲームなんだから当たり前だね。
だが、この先の展開がわからないというのがかなり恐ろしい。知らないうちに死亡フラグに向かって突っ走ってる可能性すらあるのだ。怖すぎる。
というか、自分が悪役キャラというすら、オレの想像でしかないからなぁ。まぁ、十中八九悪役キャラだろうが。
「というか、主人公だよ。どこの誰なんだ……」
そう。オレは『絶対防衛圏2』の主人公すら知らない。これは致命的だ。
せめてサブタイトルが公開されていたら、少しは絞り込めたかもしれないのに……。これでは主人公が男なのか女のなのかもわからない。
『絶対防衛圏~カチドニアの魔女~』のストーリーをなぞるなら、主人公は身分が低いはずだ。だが、これすら確定情報ではない。
「シェリルがいるからなぁ……」
『絶対防衛圏~カチドニアの魔女~』の主人公だったシェリル。その孫であるシャーロットや、あの婚約式の時に見た不機嫌そうな少年が実は主人公だったというの可能性すらある。
「もう、わかんねぇなあ」
もうどうすりゃいいんだよ。
だが、主人公候補が絞られる機会がある。
それは、今からおよそ一年後にある王立魔法学園だ。
前作である『絶対防衛圏~カチドニアの魔女~』の設定を踏襲するなら、主人公はここに入学するはずだ。そして、さまざまなエピソードを通して、味方を作っていく。
たぶん、この学園パートは外さないだろう。
つまり、入学してきた生徒の中の一人が主人公だ。
まぁ、入学する生徒が何人いるのかも知らんが。その中からたった一人の主人公を探すのはかなり難しいだろう。
あとは……。
「あとはシャーロットの問題もあったか……」
オレは、シャーロットを主人公を助けてくれるお助けキャラのように思っていた。
だが、冷静に公式のキャラクター紹介ページにあったその紹介文を思い出すと、一抹の不安を覚えないでもない。
「実は……。ってなんだよ! 書いてくれよ!」
実は甘いものが好きとかそんな毒にも薬にもならない情報だったらいい。
だが、公式のキャラクター紹介ページで意味深に書かれていた文言だ。絶対にストーリーに関わってくる秘密をシャーロットは抱えているはず。
だが、それを聞き出すのはかなり難しいだろう。
死亡フラグから逃れようとシャーロットに近づいたが、もしかしたら悪手だった可能性すらある。
「もうわかんねえよ!」
わかってはいたが、情報が少なすぎる。
だが、普通にこの世界で生きる人間は、未来を知るどころか、この国に国難が迫っていることすら知らない人もいるはずである。それに比べればマシかもしれないが、中途半端に情報を知っているから余計にイライラしてしまう。
「もういい! わからん!」
そして、今日も変わらない結論を叫び、オレはお茶をグビッと飲み込むのだった。
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