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【書籍化】影魔法使いは悪役かませ犬のままで終わらない  作者: くーねるでぶる(戒め)


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19/42

019 告白

「ご心配いただき、ありがとうございます。ですが、魔力も回復いたしましたし、もう大丈夫ですわ」

「それはよかったです」


 具合を悪くして、だいたい一時間くらいか。比べる対象のデータが少ないのでわからないが、それで魔力が回復するのは早いのではないだろうか?


 さすが公式ページにも載っていた主要キャラ。やはりポテンシャルがちが――――。


「ん?」


 オレはこの時、ちょっとした違和感に気が付く。


 シャーロットは公式ページにも載っていた主要キャラ。おそらく、主人公の仲間になってくれる心強い仲間的な立ち位置だろう。


 そのシャーロットが試練に出してみせた見事な氷の盾。


 シャーロットが氷の盾を二回作ってダウンしたということは、あの氷の盾はシャーロットの魔力の約半分を注ぎ込んで作ったものだったのだろう。


 主要キャラが魔力の半分も投じるほどの魔法。それは必殺魔法といってもいいだろう。


 その氷の盾を、オレは難なく壊すことができた。


 しかも、オレにはまだ余裕がある状態だ。それに比べて、シャーロットは魔力不足でダウンしてしまった。


 この事実を冷静に考えると……。


 もしかして、この国の魔導士のレベルが落ちている……?


 いや、さすがにカチドニア王国全体の魔導士のレベルが落ちているとは思いたくない。


 それに、シャーロットはまだ十歳。これから才能を開花させる可能性がある。


 もしかしたら、そういうシャーロット強化イベントがあるのかもしれない。


 たぶん、そういうことだろう。


 大丈夫だよ、シャーロット。今は魔法が苦手でも、将来はちゃんと活躍できるようになるからね。


「その幼子を見守るような視線をやめなさい。うっとうしいわ」

「はて?」


 さすが王族というべきなのか、人の顔色を読むのは得意なようだ。ポーカーフェイスしているつもりだったのに……。


「それよりも、あなたもお座りなさい」

「はい。失礼いたします」


 オレはシャーロットの許可をもらうと、ローテーブルを挟んだ彼女の正面に座る。


 相変わらず、血の気を感じさせない白く透き通った肌だ。しかも、ものすごく顔がいい。世の女性たちの嫉妬の対象になるのではないだろうか。


 しかし、こんな美少女がオレの婚約者かぁ……。


 これは、隣に立つのはかなりのレベルを要求されるに違いない。間違ってもこんなまんまるなデブじゃないだろう。がんばって痩せよう。


 でも、隣に立てればそれで合格というわけじゃない。


 オレはシャーロットの婚約者だ。ならば、彼女を守り、幸せにしないとな。


 オレも貴族同士の結婚がすべて上手くいくとは思っていない。むしろ、父上や母上のような上手くいっている方が少数派なことも知っている。


 ひどいところでは、子作りの義務を終えると、お互いに愛人を囲って不倫するようなケースもあるみたいだ。


 でもさ、結婚するなら幸せになりたいじゃん。


 シャーロットがオレのことを好きになってくれるかはわからないけど、好きになってもらえるように努力するべきだろう。


 もちろん、オレもシャーロットを好きになるように努力するつもりだ。


 羨ましかったんだ。父上と母上が。幸せそうだった。


 それに、将来生まれてくるだろうオレとシャーロットの子どもも、両親の仲が良い方に決まってる。


 どうしても思い出してしまうのは、前世の父親と母親だ。その間に愛というものはなく、二人の愛の結晶であるはずのオレはいないことにされた。


 あんな気持ちを子どもに味わわせたくないのだ。


「…………」


 とはいえ、実際にシャーロットを前にすると、緊張してしまって上手く言葉が紡げない。


 オレが会話をリードしなくちゃいけない。シャーロットを楽しませないといけない。シャーロットに好きになってもらえるように努力すべきだ。


 それはわかってる。


 でも、具体的にはどうすればいいのかとなると……。前世でも恋人がいなかったオレには、女の子との会話デッキなんて一つもないのだ。


 早くしゃべらないと。


 そう思えば思うほど、何を話せばいいのかわからなくなってしゃべれなくなってしまう。


 このままでは供応役失格だ。シャーロットの婚約者としても失格だろう。


 ええい!


 とにかくしゃべらないと!


「あの!」


 気が付けば、自分でも驚くほど大きな声が出ていた。シャーロットの肩が少しだけ震えたような気がする。


 なんだかシャーロットの視線が冷たくなった気がする。


 でも、もう止めることはできない!


 このまま言ってやる!


「わ、私は、シャーロット殿下の婚約者に相応しい男になりたいのです。私は、シャーロット殿下を好きになれるように努力します! でも、それだけじゃありません。できれば、もし可能であればですが、シャーロット殿下にも私を好きになってもらいたい。そのためならなんでもします! シャーロット殿下が痩せろと仰せならば、痩せてみせます! 私は、あなたと本当の意味で夫婦になりたいのです。子どもに自慢できるような、そんな家庭を作りたい! でも、私一人では無理です。シャーロット殿下の協力が必要です。だから、その、えっと……」

お読みいただき、ありがとうございます!


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