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勇者たちが帰ってきた!?現代日本に異世界の戦士が現れて大混乱!  作者: SodaKun


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8/8

学校の時間

災害発生前の、ごく普通の学校の日常

授業が始まった。時刻は午前8時40分。一時間目だ。一時間目は大抵、ホームルーム担当の先生が受け持つ。私たちの担任は日本人ではない。名前はサラ・ジェーン先生。ロンドン出身の先生だ。


「Hello, everyone. Please take out your English books. Today's chapter would be “A Thing of Beauty”. It is a poem written by John Keats」


私は時々思う。どうしてイギリス人の女性が日本で教師をしているんだろう、と。別にサラ先生が嫌いなわけじゃない。むしろ好きな先生だ。だけど、ロンドンの方が給料は高いんじゃないかって、どうしても気になってしまう。

……そんなことを考えているうちに、一時間目は終わっていた。友達と一緒にいると、時間の感覚が薄れる。

気づけば四時間目も終わり、騒がしい昼休みが始まった。うちの学校には食堂がある。だけど、多くの生徒はお弁当を持ってくる方を好んでいた。


「今日は最悪……。お弁当作るの忘れた……」


私はため息を吐いた。お腹がぐぅ、と鳴る。

このままだと授業が終わる前に倒れそうだ。食堂へ行けば何か食べられる。けれど――今日は財布を持ってくるのも忘れていた。南校舎の食堂は、味も悪くない。栄養面もしっかり考えられていて、生徒思いだと思う。三鷹市で一番の学校って言われる理由の一つかもしれない。

その時、誰かが私の肩に手を置いた。この手は――アロ。


「アロ?」


彼は優しく笑った。

その笑顔を見た瞬間、顔が熱くなる。ずるい。本当にずるい。彼は私の弱点を全部知っている。


「大丈夫か、まなか?」

「だ、大丈夫っ!」


私は必死に赤くなった顔を隠そうとした。でも、全然隠せない。


「明るく照らされた食堂は、生徒たちのオアシスだ!」


そう言いながら、彼は私の机にカップラーメンを置いた。


「えっ!? アロ、これ――」

「何も言うな。昨日は真中が俺に料理作ってくれただろ? 今日はそのお返しだ。俺、料理できないし」

「アロって英雄だね……」


今度は彼の方が赤くなる。

不意打ちだったらしい。


「その……真中」


「な、なに?」


一年も付き合っているのに、まだ付き合いたてみたいな空気がある。彼は優しくて、穏かで、私の名前を呼ぶだけで胸が苦しくなる。他の人に名前を呼ばれる時とは、全然違う。どうして神様は、こんなに優しい人に、こんな苦しい運命を与えたんだろう。

私たちは数秒間、見つめ合っていた。けれど、先に視線を逸らしたのは彼の方だった。何か言いたそうだった。でも、恥ずかしくて言えなかったみたいに。


「……いや、何でもない。昼休み終わる前に食べろよ。食べ終わったら教えて。カップ返さないといけないから」


彼はそう言った。

まるで守護天使みたい。いつだって私を助けてくれる。必要な時に、自然と現れてくれる。まるで私の心が読めるみたいに。


「……ありがとう」


私はまた顔を赤くしながら、ラーメンを食べ始めた。どうしてアロは私なんかと付き合ってくれたんだろう。

彼は完璧な人だ。優しくて、格好よくて、頼れて。私は特別な人間じゃない。……でも、いつか話さなきゃいけない。私の過去を。養父――小山弘樹のことを。私を引き取り、魔術を教えた男。魔術師。

放課後。時刻は午後4時。多くの生徒たちは部活へ向かい、帰宅部の生徒たちは鞄をまとめて帰り始めていた。私もその一人だ。


「まなか、もう帰るのか?」


部活へ向かう準備をしながら、アロが聞いてくる。彼は本当に強い人だ。病気をいくつも抱えているのに、出席率は100%。


「うん。アロは何か必要なものある?」

「ははっ。大丈夫。真中の顔見られただけで十分だよ」


……なんでそんなこと平然と言えるの!?

心臓が持たない。

私はただ、小さく頷くことしかできなかった。

私は校門を出る。


「アロって本当に特別……。私、馬鹿かも。一年も付き合ってるのに、まだキスすらしてないし……」


歩きながら、小声で呟く。


もしかしたら、彼は私から来るのを待ってるのかもしれない。私の家は学校のすぐ隣だ。

歩いてすぐ。その時。


「……え?」


最初は何が見えたのか分からなかった。でも次の瞬間、すぐ気づく。あのボーイッシュな雰囲気を見間違えるはずがない。


「レイ君?」


そこにいたのはレイだった。……だけど。彼女の前には男がいる。日本人じゃない。絶対に外国人だ。何を話してるの?


まさか――絡まれてる?


「レイ君、こんなところで何してるの?」


私が声をかけると、レイと外国人の男がこちらを向いた。

すると、その外国人は笑顔を浮かべたまま、その場を去っていった。


「レイ、大丈夫?」


私が聞くと、レイは「何言ってるんですか?」みたいな顔で私を見ていた。


「え? どうしたんですか先輩。あの人なら別に。三鷹駅までの道を聞かれただけですよ」

「あ……そ、そうなんだ」


完全に勘違いだった。変質者かと思ってしまった。


「それより玲、部活は?」

「今日はちょっと気分じゃなくて。帰ろうかなって」

「なら、一緒に帰る?」

「大丈夫です。ひとりで帰れますから」

この章をお読みいただきありがとうございました。SodaKun Out ☆!

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