トレーニング開始!
はい。長編の章を書き始めました。我ながら誇りに思います!私はやっぱりちょっと変わった作家ですからね!
漆黒の、洞窟のような訓練場に、鋼鉄と鋼鉄がぶつかり合う轟音が耳を聾くように響き渡った。それは、お伽話のバラードに歌われるような英雄的で音楽的な響きではない。手首を揺さぶり、腕の骨の奥深くまで振動を伝える、耳障りで醜い"鈍い音"だった。
「もう一度だ、お嬢さん」
ランスロットが命じる。その声は息を乱しておらず、緊張の色さえなかった。
私は息を荒くしながら、不格好な唐竹割りで突き進んだ。ランスロットは足並み一つ崩さない。彼はただ自身の刃を傾け、梃子の原理が最も強く働く鍔の近くで私の剣を受け止めると、それを虚空へと受け流した。その勢いのまま私は前方へと引きずられ、ダンジョンの床に積もった古びた塵の上でブーツが滑る。私はよろめき、石床へ顔面から突っ込む寸前でどうにか踏みとどまった。
「貴女の均衡は、体幹ではなく完全に目線に支配されている」
ランスロットは私に間合いを空けるために一歩下がりながら、そう指摘した。彼は片手で軽々とブロードソードを構え、その切っ先を床へと向けている。
「本物の戦場において、平坦な地形など滅多になく、光が味方してくれることも稀だ。重心を通じて地面を感じることを学ばねばならぬ」
「言うのは簡単よ……」
私は喘ぐように言い、額から汗と何世紀も前の汚れが混ざったものを拭った。両肩が焼けるように熱い。訓練用の剣の、擦り切れた粗末な革のグリップの下で、私の手のひらにはすでに水ぶくれができ始めていた。
「あなたには何世紀分もの筋肉の記憶があるでしょう。私なんて……体育の授業さえまともに経験したことがないのよ」
パースリーは階段のふもとにある小さな岩に腰掛け、まるでテニスの試合の観客のように、その大きな瞳を私たちの間でせわしなく往復させていた。ランスロットの刃が私の肌の数インチ以内に迫るたび、この屋敷しもべ妖精はびくついたが、忠実に沈黙を守り続けた。
「筋肉の記憶など、時間に洗練されたただの習慣に過ぎぬ」
ランスロットは、忍耐強くも譲らない口調で言った。
「貴女にはその肉体的な素質がある、お嬢さん。貴女と私の相性が、私の身体能力を人間の基本水準にまで引き下げているのだ。今の私は、貴女以上の生身の筋力も速さも持ち合わせてはおらぬ。それなのに、貴女は私にかすり傷一つ負わせることができずにいる。何故だ?」
私は答えなかった。顔をしかめ、両手で柄をしっかりと握り締めると、再び彼に向かって突っ込んだ。今度は、彼の脇腹を狙った水平の薙ぎ払いを試みる。
ランスロットは受け流さなかった。彼は私の間合いの内側へただ一歩踏み込み、私のスイングが本当の速度を得る前に距離を潰した。彼の板金鎧の胸当てが私の肩にぶつかり、その接近を私が認識するよりも早く、彼の刃の腹が私の腰を鋭く叩いた。骨が折れるほどの強さではなかったが、猛烈に痛んだ。
「痛っ!」
私は悲鳴を上げ、後ろへと飛び退いた。
「躊躇っている」
鉄製の松明が揺らす微かな炎の下で、ランスロットは表情一つ変えずに告げた。
「貴女は自分の動きを敵に教えてしまっている。一撃をどう繰り出すかではなく、その一撃がもたらす『結果』について三手先まで考えているからだ。 剣を振る時、貴女は最後の数瞬で力を引いている。息が止まっているぞ」
「当たらないように必死なのよ!」
私は言い返し、ついに不満が爆発した。
「違う」
ランスロットは静かに反論した。彼の響き渡る重低音が、漆黒の壁に反響する。
「貴女は『私に当てないように』しているのだ」
その後に訪れた沈黙は、重苦しかった。松明の不規則で不安定な炎が、洞窟の中に歪んだ長い影を落とし、隅に佇む一対の騎士の像をまるで物言わぬ裁判官のように見せていた。
ランスロットは武器を完全に下ろし、その切っ先を石床に預けた。
「始めてから一時間が経つ。私の構えに意図的な隙が生じた明確な機会が、少なくとも三度はあった。その度、貴女は攻撃的な刺突ではなく、防御的な後退を選んだ。何故、自身の内にある刃を恐れる?」
革の柄を握る私の力が緩んだ。私の手は震えていた。疲労からだけではなく、突然、冷たい塊が胃の奥に形成されたからだ。私は鈍く、傷だらけの鋼鉄を見つめた。それは、たった一つの目的のために設計された武器だ。道具でも、小道具でも、ましてや玩具でもない。
「だって、本物だから」
私は呟いた。その声は、広大な地下監獄の中で信じられないほど小さく響いた。
「剣は常に本物だ、お嬢さん」
「あなたには分からないわ」
私は言い、彼の強烈で真剣な眼差しを見つめた。
「普通の人間は……私たちはこんなことしない。武器を持ち歩いたりしないわ。他の人を見て、どこを切り裂こうなんて考えない。あなたを見る時、あるいは敵の魔術師や他のミュトスと対峙することを考える時……私は恐怖でいっぱいになるの。死ぬのが怖いだけじゃない、ランスロット。誰かを傷つけるのが怖いのよ。もし私が持てる力のすべてを振り絞ってこの剣を振るって……それで、誰かを殺してしまったらどうなるの? そんなものを背負いたくない。私は怪物になんてなりたくないのよ」
パースリーは岩の上でもじもじと身を動かし、その喉から同情に満ちた小さな、悲しげな鳴き声を漏らした。
ランスロットは怒った風ではなかった。鼻で笑うことも、私を弱いと責めることもなかった。代わりに、深い、厳かな静寂が彼を包み込んだ。彼はまるで、千の忘れ去られた戦争の記念碑のようであり、微かな松明の光が彼の鎧のラインに深い影を刻んでいた。
「崇高な精神だ」
ランスロットは静かに言った。
「命の尊さを慈しむのは、健全な魂の証。それこそが守護者と暴君を隔てるものだ。私は貴女の恐怖を嘲笑いはせぬ、お嬢さん。むしろ、その心があるからこそ、私は貴女をより深く尊重するのだ」
彼は私に向かってゆっくりと一歩を踏み出し、その甲冑のブーツが床に規則的な音を立てた。
「だが、貴女が引きずり込まれた世界の現実を理解せねばならぬ。戦場とは、感情を持たぬ存在だ。貴女の道徳を認めもしなければ、中途半端な一撃で命乞いをする者に慈悲を垂れることもない。鋼鉄が引き抜かれた瞬間、選択という贅沢は消え去るのだ」
彼は数フィート先で足を止め、その視線を絶対的で、恐ろしいほどの明確さで私の目へと固定した。
「戦争において、中間の地平など存在せぬ。歩みの途中で交渉などできはしないのだ。そこにあるのは、残酷で二者択一の真実のみ。殺すか、さもなくば殺されるかだ。その間に挟まるものなど、何一つない」
私は生唾を飲み込んだ。首筋の冷や汗が、氷のように冷たくなっていく。
「そんなの……そんなの、凄惨すぎるわ」
「悲劇だな」
ランスロットは毅然と同意した。
「だが、それこそが生存の法則だ。もし貴女の存在を消し去ろうとする敵と対峙し、己の潔白を保ちたいという私欲から躊躇えば、それは聖なる行いなどではない。ただ自らの死を選択しているだけだ。そしてより悪いことには――貴女の命に依存して生きる者たちの死を、貴女自身が選択していることになる」
彼は再び剣を掲げ、古典的な上段の構えをとった。光が刃の端を捉え、彼のバイザーに鋭い銀色の線を走らせる。
「もし敵を傷つける覚悟を定められぬのであれば、敵はその優しさを、貴女の心臓を貫く刃として利用するだろう。敵の生存を優先することで、自らの命を不名誉に扱うてはならぬ。さあ、武器を上げよ。生きる意志を私に示して見せよ」
彼の言葉が、私の内なる防壁を打ち砕いた。それは優しい説教などではなかった。門前で誰かが躊躇ったがために、いくつもの帝国が崩壊する様を見てきた騎士が突きつける、過酷で冷徹な真実だった。彼は正しい。冬夜さん、ラインハルト、私たちが置かれている危険――これはゲームではないのだ。
熱く激しいアドレナリンの激流が、血管の中の疲労を塗りつぶした。私は血の滲む手のひらで柄をきつく握り締めた。足を踏ん張り、足の裏で石のざらついた感触を感じながら、剣を掲げた。
「良い」
ランスロットが低く呟いた。
「呼吸を制御せよ。考えるな。動け」
私は鋭い叫び声を上げて突っ込んだ。今度は躊躇はなかった。刃がどこに着地するかなど気にしなかった。血も、その結果もどうでもよかった。ただ彼の防御を打ち破りたかった。私は一連の素早い連続攻撃を繰り出した――左からの斬撃、素早い方向転換、そして彼の胸に真っ直ぐ狙いを定めた刺突。
初めて、ランスロットが実際に防戦の気配を見せた。地下室は、金属と金属が激しくぶつかり合う連撃の調律――キン、カン、そして閃光!――で満たされた。彼は最初の二撃を、正確かつ無駄のない動きで受け流したが、私の刺突によって、彼は構えを立て直すために半歩下がることを余儀なくされた。
隙が見えた。彼の右脇腹が剥き出しになっている。私は残された全ての力を振り絞り、自分の不満、恐怖、そして生き残りたいという必死の意志を一息に込め、決定的な一撃を放った。
しかし、ランスロットが"生ける伝説"と呼ばれるのには理由があった。
人間にまで弱体化していても、彼の戦場における本能は完璧だった。彼は私の攻撃を受け止めようとはしなかった。代わりに、私の前進する勢いそのものを利用したのだ。彼は低く身を沈め、私の重い刃を肩の上へと受け流すと、踵を軸に鋭く旋回した。
自分が外したことを認識するよりも早く、彼の剣の柄頭が、私の胸のど真ん中を捉えた。
肺から空気が、息の詰まるような喘ぎと共に弾け飛んだ。世界が激しく傾く。衝撃の凄まじい力によって、一瞬だけ私の足が地面から浮き、次の瞬間には重々しい音を立てて石床へと叩きつけられていた。剣は感覚のなくなった指から滑り落ち、暗闇の中へと転がっていった。
私は仰向けに大の字に倒れ、ダンジョンの漆黒の天井を見つめながら、肺に空気を取り戻そうと必死に胸を上下させた。全身の筋肉が悲鳴を上げ、視界には灰色の霞が泳いでいた。
影が私を覆った。ランスロットが私を見下ろして立ち、滑らかで決定的なクリック音を響かせて剣を鞘に収めた。彼はガントレットに包まれた手を私へと差し伸べ、その表情を再び忠実な守護者のものへと和らげていた。
「見事な一歩だ、お嬢さん」
彼の声が、広大で静かな洞窟に優しく反響した。
「貴女は手加減をしなかった。それこそが、我々が築き上げるべき土台だ」
パースリーはすでに岩から飛び降り、私に向かって駆け寄ってきていた。
私は意識を失った。
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




