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勇者たちが帰ってきた!?現代日本に異世界の戦士が現れて大混乱!  作者: SodaKun


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3/3

召喚

兄の謎めいた日記。謎めいた儀式。魔法の世界は日常の世界の中に隠されている。儀式を始めよう!

俺は床に円を描き始めた。


「兄貴の手記によると……まずは、アーティファクト全体を覆うように大きな円を描く」


完璧な円を描くなんて、ほとんど不可能だ。だが、本当の問題はそこじゃない。俺がその円を――“血”で描いていることだ。もちろん俺自身の血じゃないし、誰かを殺して手に入れた血でもない。


「兄貴、どこまで準備してたんだよ……。アーティファクトだけじゃなく、血まで用意してるなんて」


まるで最初から、自分が生きて帰れないと分かっていたみたいだった。


「本当に危険な仕事だったんだな……。まあ、それでも金は金だが」


なんとか円を描き終える。次は、円周上の五つの点を結んで星形を作る作業だ。五つの点は、人間の五体を意味している。両腕、両脚、そして頭。それらを結ぶことで、一つの星が完成する。まるで悪魔を呼び出す、邪教の儀式みたいだ。悪魔かどうかはともかく――この先に起こることが、普通じゃないのだけは確かだった。


「“五つの角に、自分の血を数滴ずつ捧げろ”……か」


俺は爪を噛み始めた。

噛むたびに爪は短くなる。短くなるほど、噛むのは難しくなる。そして――次の一噛みで、皮膚まで裂ける可能性が高くなる。結果は、その通りだった。指先から血が滲み出る。


「わざわざ術式で傷を作ったり、ナイフで自分を刺したりするほど、俺は狂ってないからな。そんなことしたら医療費が増えるだけだ」


俺の血が、五つの頂点へと落ちた。


「残るは――召喚陣を起動させるための詠唱だけか」


俺は深く息を吸い、目を閉じた。右手を前へ突き出す。さっきまで爪を噛んでいた、その右手を。そして強く拳を握り締める。俺は巨大な皮の上に立っていた。


血が、皮の上へぽたぽたと滴り落ちる。


「火、水、風、土。世界を構成する四元素。調和と均衡を司る者たちよ――」


その瞬間、暗闇の中で閃光が走った。

俺は目を閉じていたはずなのに、視界の中が真っ白に染まるほど眩しい。


「人類の守護者にして、悪を滅ぼす者――」


突如、全身を激痛が駆け巡った。血液が沸騰している。はっきり分かる。体中が熱い。顔から汗が噴き出る。


「英雄の中の英雄。大いなる天を終焉へ導きし者。神々の時代に終止符を打った者――」


そこで俺は驚いた。

今の詠唱は、兄貴の日記には書かれていなかった。なのに――まるで最初から知っていたかのように、自然と口から言葉が溢れてくる。

これは俺の意思じゃない。魂そのものが詠唱しているみたいだった。体内のマナが暴走を始める。

無意識のうちに、“マナコア”が動いていた。魔術師の身体には、“マナコア”と呼ばれる核が存在する。それは魔力の中心だ。形成される場所は人それぞれで、俺の場合は左手に存在している。魔術師は、その核を形成しなければ魔法を扱えない。マナが“水”なら、コアは“器”。水を保持するには器が必要だ。器がなければ、マナを使って魔法を行使することはできない。だからこそ、マナコアは魔術師にとって最重要の要素だった。

そして今――この儀式のためのマナ供給の負荷が、すべて左手に集中している。叫びたい。だが声が出ない。何も聞こえない。目を開けようとしても、瞼は動かなかった。感覚すら失われていく。

それでも――なんとか目を開けることができた。


「なっ――!?」


理解不能の光景が、そこにあった。俺がいる。

俺自身が、はっきり見える。だが位置がおかしい。本来、俺は円の中心に立っていたはずだ。なのに、“別の俺”が中心に立っている。それだけじゃない。別の頂点には、服を着ていない俺。さらに別の頂点には――骨だけになった俺。


「どうなってる……。あれ、全部俺なのか……?」


常識がれ崩ていく。

その時、俺は気づいた。自分が“星の頂点”の一つに立っていることに。足元を見る。……見えない。なのに、見える。自分が見えないのに、自分の存在だけは理解できる。

召喚陣が輝き始めた。黄色の光。巨大な皮が動き出す。いや――溶けている。違う。召喚陣の中へ吸い込まれているんだ。こんな現象、初めて見た。風が吹き荒れ、雷が迸る。黄色の光がさらに強くなる。

再び視界が白に呑まれた。

痛みが戻ってくる。体内のマナが暴走し、外へ溢れ出していく。この召喚陣が――俺のマナを吸収している。失われていた五感が戻ってきた。


「来い――! 我は汝を召喚する!!」


ついに言葉が口から放たれた。俺は輝く魔法陣の中心に立っている。

そして次の瞬間――すべてが暗転した。

数秒後、ようやく視界が戻る。


「はぁっ……はぁっ……」


呼吸が苦しい。

肺が焼けるようだった。気づけば、召喚陣は消えていた。

あの巨大な皮も――どこにもない。


「ハハハハハッ!! お前、運を全部使い果たして俺を呼び出したらしいなぁ? 新しいペットよ!」


耳を震わせるほどの大笑い。俺が召喚した“男”が、目の前に立っていた。全身から眩い光を放っている。そして同時に――左腕に激痛。


「なっ――!?」



新しい章を読んでいただき、ありがとうございます!SodaKunでした ☆!

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