隠匿の魔法
ダメだ……。師匠、いつものボケボケモードになってる。
「師匠ー! 戻ってきてー!」
「はぇー」
「なーんか、いい魔法なかったかなー。師匠のような、ボケボケが治る魔法? そんなもの無ーーい!」
そんな都合のいい魔法なかったよねー。しょうがない。まだ読めてない魔法書読むかぁー。あっという間に本を読める魔法を掛けて……。
って、それが掛からない!? どゆーことー!?
掛け方が間違ってる? えーーっ!? 覚えてないし、その本がどの本に書いてあったのかも憶えてないよー!
仕方ない。まだ読んでない棚から読んでいくかぁー。えーと……。
ふむふむ。違う! あたしが探してるような魔法じゃない!
ん? あたしが探しているような魔法? どんな?
あーっ。取りあえず片っ端から読んでいくかかぁー。
ん? 若返りの魔法? 10歳まで。ただし、10分間限定。
なんだぁーー。こんなの意味あるぅー? たった10分間若返るって、、おばさんが写真撮るときしか使えないじゃーーん!?
それとも、その10分間だけ10歳若返って、戦うとかー? 10分? 10分!?
「あぁーーっ! 師匠ー!」
師匠! 師匠! 師匠!
「居たーー! あの、師匠! 若返ってください! 若返りの魔法を掛けますねー」
「エイっ!」
「おぉーっ、若返ったぁー。師匠もイケメンに……。って、そんなわけないよねー。おじいちゃんが、ちょっと若いおじいちゃんになっただけ」
「って、お前はさっきから、なにを一人でブツブツ言っとるか」
「おぉーっ! 10歳若返って、頭の中も10歳若返ったぁー!」
「あのぉー、師匠! 早速ですが、教えてほしいことがあるんですけどぉ」
「なんじゃ?」
「四次元ポケットとか、スモールライトみたいな魔法ってありませんか?」
「四次元ポケット? スモールライト? なんじゃ、それは?」
「あぁー。そんなひみつ道具みたいなの、こっちの世界の人がわかるわけないよね」
「えーとですねぇー。わかりやすく言うと、物を小さくして仕舞っておける魔法です。ついでに出すと元の大きさに戻るとか……、大きくなるとかぁーだったら凄く助かるんですけどー!」
「なんじゃ、そんなことか。あるぞよ」
「あるんですかぁーー! すぐに教えてください! 10分しか時間がないんです! もうその10分もない!? 早くぅー!」
「なにをそんなに慌てとる?」
「だって、1回この魔法を掛けたら、そのあと7日間は同じ魔法が掛けられないんですよぉー!? だから早く!」
「よくわからんな?」
「いいから、師匠! 早くぅー!」
「わかった。この魔法は、魔法書を読んだだけでは理解できない難解な魔法じゃ。よーく見とれ。隠匿の魔法じゃ」
「おぉーーっ、テーブルも椅子も小さくなってる」
「よいか、この魔法は感覚よりも呪文が大事じゃ。だからといって感覚をお座なりにするでないぞ」
「消えた!? 小さくなって、消えた!? 師匠! テーブルと椅子はどこへ?」
「秘密の空間じゃ」
「秘密の空間って、もうそのまま四次元ポケットじゃん! って、出入口があるわけじゃないから、ポケットじゃないよねー」
「師匠! どうやって元に戻すんですか?」
「ホイ!」
「うっそぉー!? 出すときは杖を振っただけで戻ったぁー! これなら本当に使えるかも! それでどうやって中に入ってるものを見分けるんですか?」
「見分ける? 隠すのも出すのも一度に同じものだけじゃ」
「えーーっ!? それだったら、四次元ポケットとと違うぅーー!?」




