正体を見破る魔法
いやー。見つけましたよ、探してた魔法。そこにたどり着くまで、百冊近く読んじゃったけどねー。
ついでに本をあっという間に読める魔法も見つけちゃったーー!
相手の正体を見破る魔法!
あたしって、ツイてる~!
だだ……精神的負担が大きくなるので、この魔法の使用には十分な注意が必要って最後にある。どゆこと?
取りあえず、この魔法に攻撃力は無いみたいだから、安心して練習できるのはいいよね。
呪文は……。杖の頭から出すイメージで……。師匠に……
「エイッ!」
おぉー。なんかプロジェクターの光当ててるみたい。
あぁー! 師匠って、ホントはすごい魔法使いなんじゃないのぉー! 見た目が全っ然違う。
なんか本当に老練の強い魔法使いみたい。
でもなぁー。いつもは耳の遠いおじいちゃんだもんなぁー。残念。
取りあえず、もう何人かで試して練習しよーっと。
♢
この魔法、掛けてる魔法使いにしか見えないっていうのは助かるー。
誰にも気づかれないで練習できるもんねー。
最初はあのおばさんでやってみよー。
「エイッ!」
えーーっ!? あのおばさん、すっごい悪い顔してるー!?
それじゃ、次はあの男の人。
「エイッ!」
あぁー!? すっごいいやらしい顔してるー! これが使用上の注意ってことー!?
う~ん。魔法って便利だけど、そーんなに都合いいものでもないんだよねー。
無限に出せるものでもないし、思ったとおりになんでもできるわけでもないし。
そこは元居た世界と、なんも変わんないなぁー。
取りあえず、この魔法の照射距離がどれぐらいか、心を無にして確かめておこう。
早くこの取りあえずってのが、無くなればいいのに。
あたし、こーんな一生懸命になにかやるような人間だったっけ?
テキトーにそれなりにこなして、テキトーにまわりに合わせた人生過ごしてたはずなのに……。
戦争のある世界……。日常に命の危険もある世界って、こんななのかなー……。
「あのぉー。ちょっとよろしいでしょうか?」
えっ!? イケメン! この村に来てからはじめてのイケメンですよ! こんな人もいたんだー!
「はい! なんでしょうか?」
「あの、実は前からあなたのことが気になってましてー。そこでお声掛けをさせていただきました。村長の甥のアルフレディと申します」
あたしのことが気になってたイケメン! この現実を忘れさせてくれる~!
「はい。それで?」
「それで一度、お食事でもどうかと思いまして。いかがでしょうか」
ここは乗っかる? 乗っかんない? それはもちろん、乗っかるでしょー!
「はい。ぜひとも」




