国王様に会う前に
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「それにしても、いよいよ明日。国王様と対面するんですねー。そう思うと、緊張ちゃいますー」
「巫琴よ。その国王様に会うときなんだが、一つ注意しておきたいことがある」
「なんですかぁー。アーサー様、もしかして、あたしがなにか国王様の前で、粗相しちゃうと思ってますー。大丈夫ですよ。心配いりません。そこまでバカじゃないですから」
「いや。そうじゃない。そのことは、特に心配していない」
「ホントですかぁー。あたしのこと、信じてもらえてますぅー」
「それはもちろんだ」
「もぉー。アーサー様ったら、そんなにはっきり言われたら、照れちゃいますよぉー」
「なぁ、巫琴。茶化さないで、ちゃんと聞いてくれ」
「はい。すみませんでしたぁー」
「あのな。国王様に、魔王の討伐を依頼されたのは、おそらく、オレたちだけじゃない」
「そーなんですかぁー!? 全然知らなかったですぅー。勇者様は、アーサー様一人だと思ってました」
「それは、名乗ろうと思えば、誰でも名乗れるからな」
「そーなんですかぁー!? まさか、アーサー様は、自称勇者ってことはないですよねー」
「なんだ? その自称っていうのは?」
「だって、誰でも名乗れるっていうから」
「大丈夫だ。オレは魔物を倒せる、本当の勇者だ」
「そーですよねー! アーサー様は、本当の勇者ですよねー! 良かったー!」
「なんだか、そういう言い方をされると、ちょっと引っ掛かるな」
「そんな細かいところは、気にしないでくださいよー。アーサー様が、ホントーの勇者で嬉しいだけですから。それで、その注意しておきたいことってなんです?」
「それはな。国王様の前では、少し大人しくしていてほしいんだ」
「そんな!? やっぱり、アーサー様。あたしのこと、信用してくれてないじゃないですかぁーー!? 酷いですよぉー。泣いちゃいますー」
「いや。そうじゃないんだ!? 落ち着いて聞いてくれ。これは、自分たちを守るためでもあるんだ」
「どーいうことですか?」
「それはね。巫琴ちゃん。その他の勇者パーティーの中には、信用できない者もいるかもしれないってことよ」
「どーいうことですか、エミリさん?」
「それはな。うかつに目立って、寝首を搔かれないようにしておきたいということだろ」
「ん? どーいうことですか、ライムさん?」
「敵は、魔王軍だけじゃないかもしれないってことだ」
「だから、アーサー様。どーして、そこであたしが大人しくしてる必要があるんですか?」
「巫琴ちゃんはね。良くも悪くも目立つ。注目の的になるから。ということよね。それでいいわね、アーサー」
「ああ。そういうことにしといてくれ」
「なんだか、よくわかりませんけどー! そういうことなら、大人しくしてますねー」
注目の的かぁーー。あたしって、そんなに目立つ存在だったのか♪




