魔法使いの役目
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「いやぁー。やっぱり、エミリさんの作るご飯て、美味しいなぁーー!」
「巫琴ちゃん。ずいぶんと食べるわね。そんなに食べて、大丈夫?」
「大丈夫です! あとで、ちゃんと走りますから! とにかく、いまは体力です!」
「そんなに食べて、動けない豚にはなるなよ」
ガーーン! アーサー様、酷い。アーサー様が、ご飯はちゃんと食べろっていうから、食べてるのに。
「それにしても、野宿でも、これだけ上手いものが食べられるんだから最高だな」
「これも、みーんな、巫琴ちゃんの隠匿の魔法のお陰だけどね」
「大体、あんなデカい、石の壁。必要ないだろ」
うぅーーっ。あの石の壁の代わりに、食糧山ほど仕舞わされた。
まぁ、確かに、あの石の壁は、もう必要ないけど。あたしの最初の頃の努力が……。
しかし、隠匿の魔法が、隠したときの状態を保存し続けられるなんて、知らなかったなぁー。これだと完全に、冷蔵庫じゃん。まぁ、それなら、それでいいけど。
「でも、あれだな。よくよく考えたら、巫琴の方が、ワタシより、前衛に適しているんじゃないか?」
「いや。ダメだ。全方位に、目を向けるとなると、巫琴の役目は重要だ」
「それで、アーサー様。今更なんですが、あたしの役割って、何なんですか?」
「本当に、今更だな。お前、本当にわかってないのか?」
「はい。全然」
「……」
えっ!? アーサー様、もしかして、あたしに飽きれちゃってる!?
「いいか。こういうパーティーに於いての、魔法使いの役目は、常に冷静な援護者だ」
「その援護者といいますと?」
「戦いや勝負ごとに、絶対はないからな。だから、勝てるときには、確実に勝ちを拾って。もし負けそうなときには、仲間全員を連れて、逃げるのが、魔法使いであるお前の役目だ」
「それって、凄く重要じゃないですか!?」
「だから、それをいま説明してる!」
「そんな。怒らないで、くださいよぉー。あたし、泣いちゃいますよ」
「わかった。オレも少し強く言い過ぎた。だから、泣くな」
「そこは、命令じゃなく、謝って、お願いしてくださいよぉー」
「わかった。少し、強く言い過ぎてしまった。すまなかった。だから、泣かないでくれ」
「もぉーー。アーサー様が、そう言ってくれるなら、泣きません」
「あら。アーサーも、巫琴ちゃんには、タジタジなのね」
「本当だな。笑える」
「頼むから、これ以上はからかわないでくれ」
なんか、こういう雰囲気、楽しい。




