空飛ぶ魔法
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「では、空を飛ぶ魔法じゃな」
「はい! 教えてください!」
「巫琴よ。人が空を飛ぶというのは、どういうイメージだと思う?」
「う~ん。それがよくわからないんです。人には羽がないから、鳥のように飛ぶことはできないし、ガスが入った風船みたいに浮くこともできない」
「ガスが入った風船? 何なんじゃ、それは?」
「あっ!? この世界には、それも無かったんだ!? えーと、この広い世の中には、そういうものもあるってことですよ」
「なんだか、ようわからんが、まぁ、よい。では、巫琴。宙に浮くことはできるか?」
「まぁ、そのぐらいだったら」
「では、やって見せい」
「はい」
浮かぶー、浮かぶー。宙に浮かぶぅー。
「どうですか? 30センチくらいなら、浮くことができます」
「ふむ。では、どこまで上に浮くことができるか、やって見せてくれぬか」
「はい。上に浮くだけでいいんですね。いきます」
この真っすぐに上に上がっていく感覚って、なんかエレベーターに乗ってるみたい。
「ふむ。なかなか高いところまで上がったの」
「これで、大体50メートルぐらいですけど! もっと高く上がれますよ!」
「では、そこから飛ぶことはできるかの?」
「だから、その飛ぶっていうのが、よくわからないんです!」
「では、巫琴がイメージする、一番速い空を飛ぶものをイメージしてみい」
一番速いもの、一番速い空を飛ぶもの……。
そうなると、やっぱり空を飛ぶ乗り物で、飛行機とか、ヘリコプターとか……だよね。
「あたしは、空を自由に飛べる飛行機! それをイメージして」
「行っきまーす!」
スゴーイ! あたし、空を飛んでる!
でも、目を開けてると、風で目が痛い!?
風を防ぐ、メガネでもあればいいのに。よーし、それも魔法で!
これで、バッチリOK!
「巫琴よ! そこから、なにか別の魔法は出せるかの!」
別の魔法、別の魔法……。
「それじゃ、光の矢の魔法やってみます!」
「エイ!」
ダメだ……。空を飛んだままだと、コントロールが定まらない。
「ちょっと、一度下に下りてきなさい」
「はい」
「どうじゃ、なにが悪かったのかわかるか?」
「地面の上にいるときと違って、足元が安定しない気がします」
「なるほど……。では、杖から魔法を出すのはどうじゃ」
「杖から、ですか?」
「要領は、さっきの光の矢の魔法と一緒じゃ」
「同じ、光の矢の魔法と同じ……」
「但し、狙う先と、魔力のチカラはコントロールせい。魔力の消費が激しいでの、最初はとにかく、小さく速くじゃ」
「はい!」
「行っきまーす!」
それじゃ、的を絞って、小さく3発!
「エイ!」
「やったぁーー! 大成功!」
「それでは、今度は空を飛びながら、やってみい」
「はい!」
「それじゃ、やってみますよ! 師匠!」
「うむ」
「エイ!」
「やったぁーー! 空を飛びながらでも、上手く的に当てることができました!」
「上出来じゃ」
「ありがとうございます! 師匠! これも師匠の教えのおかげです!」
「これで、アーサーのところに、胸を張って帰れるの」
「はい!」
「もぉー、師匠が運よくゴールデンタイムでいてくれて、助かりました! まだ聞きたい、大事なことが一つあるんですけど、いいですか」
「はぇーーっ。なんのことじゃ? もう少し、大きな声で言ってくださらんか」
「なんで、最後の最後のところで、元のおじいちゃんに戻っちゃうのよー!?」




