美人僧侶の正体
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「ふん♪ ふん♪ ふん♪ 王子様と、アーサー様とふたりっきり♪」
「なんだ? 随分と楽しそうだな?」
「そりゃ、もちろん♪」
アーサー様の胃袋も掴んだことだしー、これでこれからは……。もぉー、楽しいことばかり想像しちゃう♪
「よくわからんが、もうすぐ目的の村に着くぞ」
そうでした!? そこには、恋のライバルが!? って、立ち止まってる場合じゃなーい!
「ちょっと、アーサー様! 待ってくださいよぉー!」
「だったら、早く歩いてこい!」
「もぉー! イジワルぅー!」
ようやく、村に到着! 疲れたぁーー!
さて、今夜はゆっくり……。
「アーサー様、今夜はどこの宿に泊まるんですか?」
「宿には泊まらん。ここに来る途中に話した僧侶の幼なじみの教会だ」
ガーーン!? いきなり恋の対決!?
「なにしてる! こっちだ!」
「はい、はい!」
どうか、顔は美人でも、身体はゴリラでありますように……。そして、出来れば性格はブスでお願いします。
「ここだ。入るぞ」
「はぁーい」
どうか、お願いします!
「ガーーン!?」
思わず声が出てしまうほどの、すっごい美人!? 身体も見るからに、ナイスバディで、全然ゴリラじゃない!?
だったら、性格は?
「アーサー、随分と遅かったのね? 心配したわ。食事の用意はしておいたから、温かいうちに食べてね」
全然、性格ブスじゃなぁーーい!? 思ってたのと、全然違う~!?
だったら、料理の腕は? アーサー様は、あたしのお弁当もおいしいって食べてくれた!
では、一口。
「おいしい~!」
もう、勝てるところないよぉー!?
「ところで、あなたの名前は?」
「巫琴です~。お姉さんのお名前は?」
「わたしは、エミリよ」
「エミリさんですかぁー。名前から、キレイそうですね……」
「どうしたの? あまり元気がないわね?」
「勝てない……」
「何に?」
「何って……」
「ハハァーン。アーサー、また余計なこと言ったわね?」
「な、なんのことだ!?」
えっ!? アーサー様、ちょっとビビってる?
「アーサー! ちょっと裏まで、面貸しな!」
「はい……」
えっ!? アーサー様、どうしちゃったの? なんか奥の部屋に連れていかれた!?
ここは聞き耳を、最大限立てて。
「お前、あの娘に、あたしの秘密バラすんじゃねーぞ! わかってんな?」
「さて……その秘密とはなんのことでしょうか?」
「惚けんな! あたしが実は、男だってことだよ!」
えっ!? 男!? 噓!?
「だから、魔王討伐の暁には、『男女転換の魔法』で、念願の女になれるのでは?」
「そうだよ! だから、お前たちと魔王討伐に行くことにした」
「だったら、問題はないのでは?」
「駄目だ! どこからわたしの意中の相手にこの秘密がバレるやもしれない」
「大丈夫ですよー……。あの娘は、そんなコじゃない」
「信用できるのか?」
「いや……」
「こっちを見ろ!」
「大丈夫! あの娘は、信用出来る!」
えーと、よくわからないけど、エミリさんは、実は男の人で、アーサー様じゃない人を好きってことで、いいんだよね?
だったら、問題ないじゃーーん! あーーっ、無駄に心配して、損しちゃった♪
「ランラララ♪ ラン♪」
「ごめんなさいね。食事の途中に抜けちゃって」
「いえいえ♪」
「お前、なんだか機嫌がよくなったな?」
「そーですかぁー♪」
これでアーサー様は、取りあえず、あたしだけのもの!




