創造的破壊の嘘
「デフレ下で、借金も返済できない企業は、生産性が低いので倒産させろ」この考えの元になっているのが、
「倒産させれば効率的な企業だけが生き残り、技術革新が起き
経済は急回復する」という
ヨセフ・シュンペーターの創造的破壊仮説です。
実はこの仮説1996年にカバレロ・ハマーさんに完全否定されています。
需要が減る不景気の下では何が起きるかと言うと
①生産性は低いが純資産を十分に保有している企業が残り
②生産性は高いが純資産が不足している企業は
生き残りも新規参入も出来ない
③結果創造的破壊は起きず、創造なき破壊が起きる
日銀審議委員の安達誠司先生も昭和恐慌前後の状況を研究し
デフレ期には会社の新規設立数は減少したとの結論を導いています。
つまり不況下では不動産や既存事業からの収入が確保されている
朝日新聞の様な企業は生き残り
お金をこれから稼ぐ必要のある起業家や新産業分野には非常に不利になります。
不況とは既得権を強化する経済状況なのです。
30年不況の間、日本に目立った技術革新が起きなかった理由が
これで分かりますね。
経団連等の既に一定の大きさに育った企業が消費増税に賛成するのは
不況になれば自分達を脅かす新興企業が生まれ難くなるからです。
では創造的破壊が起こる条件とは何でしょうか?
それは好景気の下で起こる人手不足倒産です。
他者より高い給与を払うには、他社より高い生産性が必要です。
人手不足による人件費が上がれば、自動化する為の設備投資が盛んになります。
忙しくなれば、人間に皿を洗わせる余裕は無いよね。
中華鍋は機械が振ればいい。
人手不足に対応出来ない生産性の低い企業は潰れても
仕事を失った労働者は直ぐに他企業に吸収されます。
好景気こそが技術革新の源なのです。




