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願い  作者: 大和
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前夜(前編)

第10章「前夜」(前編)


ーーー四国 土佐ーーー


 “斉藤利三”様は四国に渡られ,“長曽我部元親”様との交渉に望まれていました。


長曽我部元親  「斉藤殿,長旅の程,御足労。暫し,ゆるりとされよ。」


斉藤利三  「有り難き御言葉。我が主,“明智惟任日向守”よりの書状をしたため,参った次第。」


長曽我部元親 「明智殿も苦しい御立場と御見受け致す。」


斉藤利三 「御理解の程,有り難く存じます。」


長曽我部元親 「”四国征伐“,誠,信長公の御意志か!?」


斉藤利三 「!?」


長曽我部元親  「すでに,この元親に,“信長公 四国征伐を決められたし”との一報が届いておる。」


斉藤利三 「誠の事!?そのような御話は皆無,戯れ言に過ぎませぬ。」


長曽我部元親 「斉藤殿を介し,明智殿が信長公と元親の中をまとめて下さるは,深く感謝致しておる。」


斉藤利三 「此れまでの親方様の御無理,長曽我部殿は御聞き入れ下さり,我が主“明智惟任日向守”も御喜びの御様子。」


長曽我部元親  「もうよい。」


斉藤利三  「長曽我部殿,・・・。」


長曽我部元親  「『四国は切り取り次第,領地とされたし』との御約束。然れど,領土を広げた長曽我部軍(われら)を,信長公は“脅威”と見た御様子。『治めた領地,全て献上されたし。逆らうは,軍備を持って此を討つべし。』との書状,織田家より先に届いた。」   


斉藤利三  「織田家の家紋・・・,長曽我部殿,御待ち下され。」


長曽我部元親  「斉藤殿,幾度か四国(元親)との交渉,誠,御苦労な事。」


斉藤利三  「御無礼は承知。長曽我部殿,その御心,深く御察し致す。然れど,親方様は最早,天下人。逆らえば,領地没取に留まらず,御家断然も必死。何とぞ,我慢頂きたい。何とぞ我慢を・・・。」


長曽我部元親  「明智殿の優しき御心に,今日(こんにち)まで堪えて来た。然れど,信長公は御約束を破棄。一方的な御決断。その横暴振りは堪えかねん。“来るなら来られよ,長曽我部元親が御相手致す。”と返答されたし。」


斉藤利三  「踏み留まる事はできませぬか!?」


長曽我部元親  「斉藤殿,御免。此が元親の意志故に,明智殿に御伝え下され。此れまでの御苦労,誠に感謝致すと。」


斉藤利三  「(最早,説得は御無理の御様子・・・。)わかり申した。我が主,“明智惟任日向守”に御伝え致す。」


長曽我部元親  「御頼み申す。」


 四国より戻られた斉藤利三様は,事の次第を報告。


ーーー近江 坂本城ーーー 


斉藤利三 「先に,“四国征伐”の一報,長曽我部殿に届いていた次第。それを受け,長曽我部殿,我慢も限界の御様子。最早,長曽我部殿は信長公を迎え討つとの御意志。説得は出来ぬ事と・・・。」 


 日向守様の御決断が迫られていました。


光秀 「誠か,先に“四国征伐”の書状を送るとは・・・。(親方様,長曽我部殿と争ってはなりませぬ。)利三,御苦労であった。長曽我部殿の御意志は最もである。儂から,親方様に“四国征伐の取り止め”を御頼み致す。」


 時に天正10年5月下旬,備中への出陣は6月と決定。 

 まだ少し時間がある故,日向守様は信長公に“四国征伐の取り止め”を願うべく最後の御説得に参られます。

 

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