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願い  作者: 大和
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前夜(中編)

第10章「前夜」(中編)


 日向守様は,“四国征伐”取り止めを願う為,再び安土城に向かわれました。


私 「日向守様,私にも何か出来る事,申し付け下さい。」


光秀 「大和,その申し出は有り難い。が,“四国”は明智家(わたし)の問題。貴方は,備中への出陣に備え控えておれ。利三も此れより,備中への出陣に備えよ。」


私  「日向守様,安土に向かわれるのですね。」


光秀 「左様。親方様を御説得致す。」


 すでに,“羽柴筑前守秀吉”様は播磨国三木城攻めにかかり,“別所長治”様を降伏させ東播磨の勢力を制圧,続いて西播磨の勢力も抑え,此により信長公は播磨国(現,兵庫県中西部)を勢力下に治めます。

 毛利勢への攻撃を開始する為,播磨国と隣接する因幡国(いなばこく)への進攻を開始。

 因幡国(現,鳥取県東部)の鳥取城に攻め入り,毛利方として鳥取城の城主となられた“吉川経家”様は兵糧攻めに敵わぬと見て降伏と事態の収集の為,自らを切腹を申し出,鳥取城は陥落。 

 筑前守様は毛利勢力を抑え西に進攻,数多くの武功をあげておられました。


 [三木の干殺し,鳥取の(かつえ)殺しとも言われ,羽柴軍は兵糧攻めで戦ったとされます。どちらも食糧を断たせて敵を空腹に追い詰める戦法をとり,戦の場とは言え,稀に見る程の餓えがどれほど悲惨なものかを物語る壮絶な戦いだったそうです。]


ーーー安土城ーーー 


織田信長 「日向守,すでに筑前守は“播磨国”を治め,毛利勢力の“因幡国”に攻め入り,“美作(岡山県北東部),備前(岡山県南東部),備中(岡山県西部)国”と進攻しておる。が,“備中高松城”を落とせず,援軍を乞うてきた。そこで先に御主の軍勢を備中に向かわす。畿内の平定も治まった頃故,儂も支度を整え次第,出陣致す。良いな。」


光秀 「(親方様,自ら御出陣を・・・。)御意」


織田信長 「備中を治めた後,“石見,出雲”に攻め入り,切り取って領地とせよ。」


光秀  「(“丹波,近江坂本”は致し方無し。然れど,四国派兵は止めねば・・・。)恐れながら・・・」


織田信長  「四国は三男の“織田信孝”を総大将,“丹羽長秀”を副将とし派兵する。以上。」


光秀 「恐れながら,“丹波,近江坂本”を失うは承知。然れど,“四国征伐”は取り止めて下され。長曽我部殿は織田家に服従し,親方様の御意志に従ってこられたはず,何とぞ,派兵の取り止めを御願い致します。」


織田信長 「・・・,先に頭を下げたのは長曽我部(あやつ)の方。畿内が治まり,中国を治めれば,四国も必要となる。四国を治める長曽我部元親の存在は脅威と見た次第。今,潰さねば儂の邪魔となる!!」


光秀 「然れど,長曽我部殿の御意志も心得て申し上げます,今一度,御考え直し下され。」


織田信長 「日向守,御主,儂に楯突くか!?」


光秀 「滅相もござらぬ。天下布武の為,長曽我部殿の御力,必ず必要となります故,和平にて再度の交渉を御願い致します。」


織田信長 「日向守,“祝賀での失態”,此までの武功を思い許す所存であった。が,御主もここまでと見た。」 

 

光秀  「・・・。」


織田信長  「四国派兵は決定。取り止めは無し。日向守,何か申す事はあるか!?」


光秀  「何とぞ,取り止めを・・・。」


織田信長  「くどい!!,日向守,下がれ。」


 信長公は日向守様の頭を何度も蹴られ,やがて血を嘔吐。

 嘔吐した血で大間が汚れた事に又,激怒。

 日向守様は意識朦朧(いしきもうろう)の中,ようやく“近江,坂本城”に御戻りになられました。

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