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願い  作者: 大和
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祝賀(中編)

第8章「祝賀」(中編)


ーーー丹波亀山城ーーーー


光秀 「各々(おのおのがた),此度の戦,“滝川一益“殿が“甲州の武田勝頼”を討ち取った。誠にめでたく,織田家が武田を倒した事により,親方様の名は天下に知れ渡る!!」


家臣一同 「織田家信長公の勝利,殿(光秀)の御活躍おめでとうございます。」


 この後,十兵衛様の重臣達が集められ,そこに私も呼ばれる事となりました。


光秀 「此度の勝利を祝い,“安土城”にて祝賀が催される。親方様より,祝賀の御膳を任された。織田家重臣達が集められ,親方様が口にされる御膳である。」


秀満 「親方様が口にされ,織田家重臣達が食す御膳とは中々の重圧(プレッシャー),してその御膳は如何なさる!?」

 

光秀 「妙案を練ったが思い浮かばず,重臣達(そなたら)と意見を交えたい。」


秀満 「殿(光秀)は古来の伝統,文化を重んじられる。やはり,京の伝統御膳に領地の名物と四季に合わせた作物などは如何かと!?」


利三 「京の御膳は天皇家も御召しになられる。親方様も食されましょう。」


光秀 「京の御膳は儂も考えた,が此度は織田家の祝い,親方様も京で政務にあたる際は朝廷をわきまえ食される,しかし京の御膳より庶民の味付けを好まれる御方故,進退を極めておる。」


利三 「なるほど,祝いの席で親方様が食し口に合わねば・・・,まして重臣達もおられる。」


光秀 「左様。親方様の口に合わねば自決は避けられん。」


秀満 「しかし,上手く事を成せば出世は確実。これを好機と見て良いかと。」


 人生の危機は,捉え方で好機の瞬間(タイミング)となりうる。逆境を捉え方で良くも悪くもすると“明智秀満”様は申され,十兵衛様もこれを好機と捉えておられました。

 マイナスに考えれば切りがなく,プラスに捉えて道は開かれる,私も賛同し,改めて議論は続きます。


光秀 「大和,貴方はどうか!?」


私  「私ですか・・・,信長公が口にされ,織田家重臣達が食す御膳。失態は十兵衛様の面目(いのち)に関わる事・・・。」


光秀 「親方様が口にされ,重臣達が食すとあらば難しいのは確かである。しかし,貴方は“八上城”を降服させ,“福智山城”を築城した,誠に窮地な所に勝路を見い出してきた。奇天烈(キテレツ)な発想,貴方に頼みたい。貴方の戦(祝賀の御膳)を見せてくれ!!」


秀満・利三 「大和,重臣達(われら)からも頼む。貴方の力が必要。重臣達(われら)に出来る事,協力致す!!」


私 (「失態は明智家の存続に関わる,がやるしかない。」)

  「御意!!」


 こうして私は,織田家の勝利を祝う“祝賀の御膳”を任される事になりました。

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