あとがき
突然ですが最近世界史にはまっています。以前まで興味を持っていたのは日本史だったのですが、今ではいろいろな国の歴史を調べることの面白さに気づきました。
新しい国の文化や宗教観の成り立ちなどを知った時に、自分がそれまで持っていた価値観がいかに狭かったかに気づく瞬間がたまらなく好きだというのが大きい理由ですね。
まぁそういう経緯であるときビルマ――今ではミャンマーと呼ばれている国の歴史を学んでいる時にビルマ王朝の最後の王女について知りました。
それが今回のヴァラ王女のモデルになったファヤ王女の話です。
ですがこの王女の場合は完全なバッドエンドの話ですね、簡単に言いますとイギリスによって滅ぼされたビルマ王朝の王女がイギリスの士官と強制的に結婚させられ、一生貧しい暮らしを強いられるというのが彼女の経験した悲劇です。
せめて彼女にとって結婚生活がうまくいっているようにと願わずにはいられなかった私ですが、そこでふと、
(いや、待てよ。もしこれが結婚生活がうまくいっていた場合それは果たしてハッピーエンドなのか?望まない結婚をさせられてハッピーエンドと言えるのか?)
(もし望んだ結婚だとしたら?)
と自分の中でのハッピーエンドという概念のゲシュタルト崩壊が起き、その感覚を忘れないうちに発作的に作品を仕上げてしまいました。
もちろんあくまでこれは創作された小説であって、ヴァラ王女も実在の人物・団体とは一切ryですが、案外「優しい世界」というのも現実にどこかに存在していて欲しい……とこの歳になっても甘い考えを抱いてしまっている自分に気がついて、案外自分も歳を取っていないな、などと考えてしまいます。




