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式部省の呪詛係

作者:浮田小葉子
最新エピソード掲載日:2026/03/23
 平安京。
 中流貴族ながら才覚に恵まれ、若くして検非違使尉となった藤原真薫は、ある高官の不審死事件を担当する。遺体や現場を丹念に調べた真薫は、死因が呪詛ではなく毒殺であり、背後に貴族社会の権力争いがあることを突き止める。
 しかし、上層部が求めていた結論は「呪詛による怪死」だった。真実は政治的に都合が悪すぎたのだ。
 真薫は「空気が読めない」として疎まれ、検非違使庁を追われる。官位を大きく落とされ、式部省少録として怪異雑掌――通称「呪詛係」へと左遷される。

 呪詛係の仕事は、怪異や呪詛を理由に事件を処理し、波風を立てない報告書を作ること。そこに真実は求められない。
 それでも真薫は諦めなかった。表の報告書とは別に、事件の真相を記した裏帳簿を密かに作り、積み重ねていく。いつか、この記録が意味を持つ日が来ると信じて。

 呪詛係で真薫が組まされることになったのは、陰陽寮の異端児・安倍定明。
 政治的な「呪詛」の認定には興味を示さず、本物の怪異や怨霊の存在を誰よりも重く見る陰陽師だ。陰陽寮が「呪詛ではない」としたい案件でも、「確かに怨霊はいる」と口にしてしまうため、厄介者扱いされている。

 理で怪異を否定しようとする真薫と、理屈よりも現場の異変を信じる定明。
 考え方は正反対だが、二人は次第に気付いていく。
 都で起きる怪異の多くは、人の恐れと欲が生み出した偽物だが――中には、決して見過ごしてはならない「本物」が紛れていることを。

 呪詛と政治、真実と都合の狭間で、真薫は問い続ける。
 正しさは、いつ報われるのか。
 そして、真実を知ることは、誰のためであるのかを。
序章
真実の代償 前編
2026/02/03 17:00
真実の代償 後編
2026/02/03 17:00
第一章 怨霊の宴
二 白衣の影
2026/02/05 17:00
四 井戸の毒
2026/02/07 17:00
五 学問の刃
2026/02/08 17:00
六 父と子
2026/02/09 17:00
七 裏帳簿
2026/02/10 17:00
第二章 陰陽寮の闇
一 塗籠の死
2026/02/11 17:00
二 呪詛返し
2026/02/12 17:00
三 北野の密談
2026/02/13 17:00
四 怨霊の名
2026/02/14 17:00
五 人形代
2026/02/15 17:00
第三章 偽りの呪詛
二 旧友
2026/02/18 17:00
四 月下の逢瀬
2026/02/20 17:00
第四章 届かぬ手
三 父と息子と
2026/02/25 17:00
五 願いと選択
2026/02/27 17:00
六 兄の願い
2026/02/28 17:00
第五章 束の間の日常
七 偽りの平穏
2026/03/09 17:00
第六章 過去からの谺
一 雨の訪問者
2026/03/10 17:00
三 文殿の名
2026/03/12 17:00
五 裏帳簿
2026/03/14 17:00
六 三角形
2026/03/15 17:00
七 会えぬ約束
2026/03/16 17:00
八 中宮の選択
2026/03/17 17:00
九 記録は続く
2026/03/18 17:00
第七章 見えぬ糸
一 些事の夏
2026/03/19 17:00
三 粗雑な呪詛
2026/03/21 17:00
四 兄の忠告
2026/03/22 17:00
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