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「それで、試合に関係はないけど、もう一つだけ質問していいかな」と図々しく尋ねると
「もちろんいいですよ、それで今度は何ですか?」と優しくお答えてくれたので、素直に本当に試合と関係がないサクラの事を訊いてみた。
「職員の中に佐倉望って言う若い女性はいませんか?」と尋ねると彼女は呆れていたが、最初は職員の数でも多いのか、名前からでは直ぐにはピーンと来なかったようだが、少し彼女は考えて
「そうそう、確か調査の係にいる人ですかね。私は管理なので彼女とは部署が違うのでそんなに仲良しって訳じゃないけど、たぶん調査業務が忙しい時にだけ手伝いに来る女の子ですよ」と教えてくれた。
「やっぱり、サクラはいたんだ」と少し嬉しくなり明るく呟くと
「知り合いの人ですか? 彼女美人だから人気あるみたいですよ。でも彼女の業務は今日の大会には直接関係がないので会場に来ているかしら」と教えてくれた。
「あっ、彼女とは少し知っている程度かな。それで、人気あるんだ。そう、美人だしね」と俺は嬉しかったが
「でも平助さん、残念でしたね。既に彼氏がいるみたいよ」と非常に残念な事までも教えてくれた。
「げっ、マジで。そんな事一言も言ってなかったけど」と本音をつい洩らしてしまった。
彼氏って誰だろう、俺かな、そんな筈はないよな。と変な質問ばかりして色々考えていたら食が進んでいなかったので
「さぁ、そんな事より試合に集中して下さい。ほら、もっと沢山食べて下さい」と勧められたが、試合前に嫌な事を聞いてしまい、朝から既にノックアウトされていた。
どうにか朝食を食べて部屋に戻ると既に8時半になっていた。
「さぁ会場へ向う時間だ」と赤いカバンを持ちホテルを出て、迎えの車にレイさんと乗り車を進めると初めて見る首都の街に驚いた。
「げっ、東京の都心と全然変わらない。前に来た田舎の街とはえらい違いだ」と高いビルや塔を見上げると、俺の乗った車の横を高級車やスポーツカーが何台も走っていくし、道路と並列してモノレールイも走っている。首都は中世のヨーロッパの地方都市に似ているのかと想像していたけど全然違う。現代そのものだ。
「驚いたようですね。近年首都も大分変わってきましたね。もちろん地下鉄もあるし、それに後数年にはリニアもできるんですよ」と彼女が教えてくれた。
「それに、流石ですね。平助さんは人と違って余裕がありますね。普通初出場の方は車の中で足が震えているんですけどね」と隣に座っていた彼女が俺の脚に手を置いて感心していた。
そう言われたので足を見てみると、気付かなかったが震えていなかった。
「あっ、本当だ。ぜんぜん震えていない」
そうだ、あの時の戦いとはレベルが違いすぎるからかな。所詮人対人、取って食われる訳でもないし・・と命をかけた数百年前の戦いを思い出していた。
そう考えると、相手が去年の優勝者でも、俺はこれまで何度も命をかけて戦ってきたんだ。そんな奴に負けるわけがない。と何故か勇気が湧いてきた。
車の窓から興味津々に街並みを眺めていると気付かないうちに大会会場に着いていた。会場には大きな看板が掲げられ、中継の車などが多く止まり、大会の大きさを表していた。
車から降りると入り口で首からセキュリティーカードを掛けられ個室の控え室に通された。その部屋の中には医者らしき人と本物の聖剣と盾、それに装備品がずらりと並んであった。
俺が椅子に座ると医者から機械を体に当てられて簡単な健康チェックを受け、それが終わると健康上に問題が無かったので、
「聖剣と盾は決まっていますが、装備品は自分の好きなものを選んで下さい」とレイさんから言われた。




