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奥手な勇者の恋の相手はモンスター  作者: ゴーヤウリウリ
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3-4-2

3-4-2

「どうだ、少しは形になってきただろう。これで秒殺だけは避けられそうだな」と俺が笑うと

「おいおい、初めから負ける気なのか」とアラタも笑っていた。

「そうじゃ、ないけど。秒殺は今までのお前との練習が無駄になる。それに練習してくれたヒカリが見ている前で、余りにも格好が悪すぎる」と正直に言うと

「じゃ、去年の俺はどうなるんだ、完全に秒殺だったぞ。それも床に片膝ついて棄権したんだ、それを全国放送で曝したんだぞ。俺は直ぐにこちらの世界に帰ってきたから後は知らないけど、放送を見ていた奴等にいい笑い者になったのかもしれん」と悔しそうにしていたが顔は明るかった。


 俺はアラタが不快な顔をしないで明るく自分から去年の試合を言い出したので

「しめた、俺から聞き辛かったんだよな、これでもう少しは試合の話が聞ける」と思い

「相手の振りはどうだった。聖剣にヒビが入るような強い力なのか」と尋ねると

「今から思い返すと、あれは力だけじゃない。人間の力などで聖剣にヒビが入るわけが無い。たぶん力とは別のものかもしれん」と意味ありげに答えたので

「何だその別なものとは」と俺は尋ねた。


「俺も未だよくは分からんが、当然相手は魔導を使える。お前が聖剣を呼び出さずに起動させたように、彼も呼び出さずに魔導の力で自分の力を好きな時に増大させるのかもしれない。そう考えれば今までの彼の戦い方や俺の聖剣にヒビが入った事に納得がいく」と推察して話すので

「そう言えば、ヒカリが相手は魔導を一気に放出するのではなく小出しにするタイプかもと言っていたけど、それと関係があるのかな」と尋ねると

「そうか、そう言う事か。やはり奴は大技を使わずに一振り一振りに魔導を使って攻撃してくるんだ。だから振りを上手く避けても衝撃を受けるんだ」とアラタが納得した。

「魔導を好きな時に使える、もし、そうなら、やつは真の勇者って事か」

「そうだろうな、大会を4連覇しているんだから、並みの勇者じゃないって事は確かだ」と2人して彼の凄さを感じ恐怖を抱いた。


 2人の話を聞いていた楓が何か思い当たる節があったのか

「そういえば、去年のアラタさんとの試合の放送はずっと画面の乱れた酷かった気がします。他の試合ではそんな乱れはなかったけど、決勝戦だけは映りが悪くて」と教えてくれると

「ずっと画面が乱れたのか、相手が小出しに長く使った影響が出たのかもな、

そう考えると姫が教えてくれたように相手は魔導を小出しにする攻め方か。

そうするとお前が早めに大技を出して彼を倒さないと、試合が長引けばお前は不利だ」と忠告した。


「じゃ、俺はどうすればいいんだ。相手を早めに倒すなんて到底無理だし、俺が逃げ回って試合を長引かせても不利だし、これで俺の負けは決定的だな」と落胆していると

「すまん、お前を勇気付けようとした事が裏目に出てしまった」とアラタはすまなそうな顔をしたので、

「そう気にするな。相手は4連覇中の真の勇者に対して俺は千ポイントの噛ませ犬、最初から勝とうなんて無理なんだよ。それに少し相手の手の内が分ったので気が楽になった。後は出たとこ勝負の時の運だな、相手も調子が悪い時もある筈だ」と答えた。


 それから、またアラタとの立会いが休憩を挟んで何度も続いたが、お昼前になったし、明日の大会に疲れを残すとマズイので今日はこれで武道大会前の練習は終了した。

「急に大会事務局から連絡があるかもしてないのでスマホを必ず持っていけよ、

それと万が一の事もあるので賞金の振り込み先のポイントカードも忘れるな」と俺が家に帰ろうとするとアラタが教えてくれた。

「そっか、異世界にいる者同士だとスマホが使えるのか」と一瞬あちらの世界でサクラに連絡でもと思ったが、今度会うのは1年後と約束したし、彼女も大会関係者だから俺の出場は知っていて、会場にいるかもしれない。それに会場にはヒカリがいるので何かあっては困ると俺からは連絡はしないでおこうと決めて家に帰った。



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