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公園でさっそくヒカリから貰ったトンファーを軽く振り回してみると
「軽い、軽い、何と使いやすいんだ。これで剣の攻撃が防げるなら今までの重くて動きが悪くなる盾が何だったのか」と感動した。
「それに不要になればこのホルダーに入れると両手で剣が使えるぞ」と聖剣を呼び出し手にして、ホルダーにトンファーを入れて動いてみても、足に付けたホルダーが邪魔にはならずに軽快に動けるので
「よし、結構動けるな。後は直ぐに実戦で試したいな。どうしようか、そうだアラタにメールだ」と、明日朝から剣道場で稽古に付き合ってくれとメールをすると「待っているぞ」と返信が来た。
「さぁ、もう少し試してみるか」とトンファーを手に取り馴染ませていると、
その時、2つの黒い影が俺に近寄ると無言でいきなり木刀で襲い掛かってきた。
俺は左手に持っていたトンファーで受け止めて、反射的に右手の聖剣を相手の頭に振り下ろすと「ゴッン」と音がして1人の男がそこに蹲った。
「しまった、おもちゃの聖剣は人への直接な攻撃は無力するのか」と思っていると
もう1人が同じく木刀で襲い掛かってきたので、今度は聖剣で受け止めて、トンファーを腹にぶち込むと、その男は地面に倒れて腹を押さえてもがいている。
「金ならないぞ。今度は手加減しない」と俺がそいつらに本気で脅すと
「ひけ」と2人の男は暗闇の中にあっさりと消えていったが、夜の公園で襲われたのはこれで2回目だった。
それにあの男達は以前に俺を襲ってきた奴らだったが今度は竹刀じゃなく木刀かぁ、奴らも本気で俺を襲ってきたって事か。でも、俺に何か怨みでもあるのだろうか。それとも別の目的でもあるのだろうか。
夜の練習が終わって、家に戻ると直ぐにお風呂に入って自分の部屋のドアを開けるとパジャマ姿のヒカリが待っていた。
公園での出来事を話そうかと迷ったが、余計な心配をすると嫌なので今日は黙っておこうと決めた。すると彼女は、
「はいはい、お待ちしておりました。お風呂上りに薬を塗るんでしょ。お薬はどこにあるの?」と彼女は南から借りてきた薬を何も知らずに明るく俺の背中などに薬を塗ってくれていたが
「今まで、背中とかどうしていたの、手が届かなかったでしょ?」と不思議そうにしていたので、俺にはまったく後ろめたい所はなかったけど
「ごめん、毎晩、南に塗ってもらっていました」と正直に言うと
「謝らなくっていいわよ。じゃ、明日にでも彼女にお礼を言っておかないとね。どうせ私がいなくなったらまた頼むんでしょう」と優しく答えた。
俺もパジャマに着替えると、狭い部屋に2人で座り彼女を後ろから軽く抱きしめ、久しぶりにさわやかなヒカリの香りを嗅ぐと心が落ち着き、さっきの話の続きを始めた。
「それで長期派遣のための準備って、召喚設定とか帰還設定とか言うやつか」と俺が尋ねると
「えっ、どうして平ちゃんがそれを知っているの」と不思議そうにしていたが
「だって、高校生の従妹で秋から長期で俺の家に住むのは転向とか編入だろう。
どうせ、君は朝起きられないので学校には行けなし、どう考えても無理でしょう。
じゃ、今度は俺の姉とか妹かで来るのかな。でも、それだと、母さんがかわいそうだよ、どうせ最後には記憶を消すんでしょ」といきなり問題点を指摘してしまった。
彼女は召喚設定を俺が知っていたと言うよりは問題点を指摘されたのに驚き
「平ちゃん、この頃異世界の人に会ったの。どうして関係者の記憶を消すって知っているの」と的を当てた質問を俺にしたので、そこは本当は上手くごまかさなければいけないのに、俺は今まで貯まっていた怒りや不満の方が先に出てしまい
「君達はいつも都合が悪いことは消してしまうんだろう。俺達の気持ちも考えずに」と彼女に初めてきついことを言ってしまった。
「だって、しょうがないじゃない。異世界の事を皆に知られたら拙いし。でも、どうしてそんなことを急に私に言うの」と彼女は困惑していたが、俺は淡々と
「俺は記憶を消された被害者だからさ」と悔しそうに答えた。




