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俺は隣のドアを叩くとサクラの返事が聞こえたので、部屋に入ると彼女はパソコンを叩いてレポートを仕上げていたが
「ごめん、カバンの約束を破ってしまった。でも、余り思い出せなかった」と正直に話すと
「いいんですよ、みんな私達が悪いんですから」と許してくれたが
「ただ俺の隣にはいつも君が居てくれたんだろう。
写真の中の俺が楽しく笑っていたよ。俺にはそれがやっと分かったよ。
ごめん、遅くなって。君を苦しめて。もっと早く思い出せればよかったのに」と謝ったが
「ありがとう、やっと貴方の思い出の中に私が居たのを見つけてくれて」と少し喜んでいた。
「レポートが終わったら、呼んでくれる。それから本当のデートだ。
そして、2人の写真をいっぱい撮ろうよ。ずーっと2人の思い出になるように。
そして決して誰にも消させやしないように」と彼女を誘うと
「はい、もうすぐ終わりますので待っていて下さい」と彼女は答えた。
その後、彼女がレポートを書き上げて、大会事務局に送信したので
「悪いけど夕飯は要りません。少し遅くなります。心配しないで下さい」と母に書置きを残し、2人で夜の遊園地、海浜公園、タワー、地下街等々時間が許す限り楽しく遊んで、スマホのメモリーが無くなるまで2人の楽しい写真を撮りまくり、それを直ぐにコンビニで印刷し、2人だけの2冊のアルバムを作った。
そして、ヘトヘトになり夜遅くなって家に帰ったが、母は起きて待っていてくれていて「早くお風呂に入って寝なさい」とだけ言うと怒らずに床に就いた。
お風呂に入った後、また俺が隣のドアを叩くと彼女の返事が聞こえたので、部屋に入ると彼女は異世界に帰える準備をしていた。
「すみません、今日はお薬塗れなくて」
「君は、気が利きすぎだ、もう少し気楽にしろよ」
「5日間が短すぎました。もう少し時間があればどうにか」
「それを言うなよ、君のせいじゃないんだから。
それに、2人が消えてしまう訳ではないじゃないか。きっとまた会えるさ。
もし今度の武道大会に出られたなら、また会えるかもな。
それから、今度ヒカリに会った時には後1年は絶対に俺を噛むなと言うよ、
もし噛んだら俺は毎日ニンニクの利いた唐上げを食べるぞっと脅してな」と俺が笑うと
「それでも、もし、彼女が噛もうとしたら」と真剣に訊くので
「その時は容赦なく彼女を真実の剣で切る」と、俺にはそれが本当にできるか分らなかったが本気で約束した。
彼女は無言で頷いていたが、
「だから、君にまた会って俺の記憶が全て戻るまでもう1年待ってみないか」
「じゃ、1年後は私が決める番ですね。平助に会いに来るかどうか」
「悪いがそうしてくれないか、今の君に俺は何もできそうもないから。
それと、アルバムを忘れるなよ。
俺は毎日アルバムを見るから、欠かさず見るから、ちゃんとサクラが写っているか毎日確かめるからな」
「ずーっと私を忘れないで下さいね。私も、ちゃんと見ますよ、毎日毎日」と彼女が答えると、俺は何故か彼女を抱きしめていた。
それからの事は、よく覚えていないが、朝方、窓を閉めている筈なのに、冷たい風を感じたかと思うと俺の横にいる筈のサクラの感覚がなくなった。
俺は起き上がってそれを止めようとしたけれど、なぜか体が動かなかった。
その時、彼女は異世界に送喚されたんだろう、でもきっとまた会えると思いながらまた寝てしまった。




