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やらかしの98

休日につき、連続投稿です。

「ここが、水龍と言う店か。」男が店に入ってきて言う

「はい、いらっしゃいませ。」華厳が、それに応える。

「カツカリーをくれ。」

「辛さはどういたしましょう?」

「ん? 辛さ?」

「はい、初めてでしたら普通を、辛いのがお好みならまず中辛をお試しください。」

「では、中辛をくれ。」

「はい、お待ちください。」


「ふむ、特別、変わったところがない店だな。」その男がぶつぶつと言う。


「お待たせしました。」そう言いながら、華厳は男の前にカツカリーを提供する。

「おぉ、これがカツカリーか。」そう言いながら、その男がカレーをスプーンですくい、口に入れる。

「はうぁ!」思わず声が出てしまった。

「なんだ、これは。」そう言いながら、口に運ぶスプーンが止まらない。


 たっぷり、カリーを堪能してから、我はそこにいる魔族に言う。

「あぁ、ケイジと言う者はどこにいる?」

「はい、ケイジ様なら、向かいの孤児院にいらっしゃいます。」

「え?」

「孤児院で、作業をしておられます。」

「おぉ、そうか。」我は、それを聞いて金を払うと店を出た。

 店のすぐ前が、孤児院の敷地らしい。

 多くの子供たちが、そこで何らかの作業をしていた。


「ケイジ兄ちゃん、芋の収穫が凄かった。」

「おぉ、お前達が頑張った結果だな。」

「へへへ、頑張った。」

「よくやった。」

「へへへ。」

「ケイジ兄さま、麦の収穫もいつも以上です。」

「おぉ、お前たちも頑張っていたよな。」

「ふふふ、褒めてください、ケイジ兄さま。」

「おぉ、よく頑張ったな。」

「ふふふ、ありがとうございます、ケイジ兄さまのおかげです。」

「なに、俺は、お前たちに、俺の知っている事を伝えただけだ、その後のことはお前たちの力だ。」

「へへへ、ケイジ兄ちゃんのおかげだぜ。」

「ふふふ、その通りです!」

「今年は、バハローも良く繁殖しました。」

「おぉ、それに、ランナー鶏や、ロック鶏も良い具合に繁殖できました。」


「おぉ、それは何よりだ。」俺は思う。

(ヤミノツウの孤児院は、俺がいなくても回りそうだな。)

(そういえば、ベカスカの孤児院も、ちゃんと回っているよな。)


「よし、拠点を移そうか。」俺が言う。


「え? ケイジ様?」華厳が狼狽えて言う。

「拠点を移すと?」

「あぁ。」


「其れは何故?」


「いや、いつまでも孤児院の部屋を借りているわけにはいかないだろう。」

「いえ、いつまで居て頂いても、一向にかまいません。」モブが俺の前に来て言う。

「いや、孤児たちも増えてきたし、そう言う訳にもいかないだろう。」

「では、どちらに?」

「この裏だ。」

「え?」

「この孤児院の裏の森も、俺が買っているからな、少し開拓してそこに家を建てようと思う。」

「あぁ、そう言う事ですか。」華厳が納得した顔をする。

「俺が、他の場所に行くと思ったか?」

「はい、少しだけ。」

「どこに行っても、紫炎に頼めば一瞬で来れるんだが。」

「あぁ、そうでした。」華厳が頭を掻きながら言う。


「出かけてくるぞ。」

「ちょっとまったぁ!」さっき華厳の店でカレーを食っていた男が手を上げた。

「ん?」

「せっかく会いに来たのに、それはないだろう。」

「いや、どちらさん?」俺が問う。

「おいおい、お前が会いたいと言ったから来たのに、それは酷いだろう。」その男が言う。

「は?」俺はそこにいる男を見る。

 肌の色が、若干緑がかっているので、おそらく魔族だろう。

 レベルは350、今まで会ったどの魔族より高い。

 纏っている魔力も高そうだ。

 俺は、頭の中にあるアーカイブをサーチする。

 そして、口にする。

「どちらさん?」

「なぁ?」

「?」

「我だよぉ。」その男が言う。

「だから、どちらさん?」俺が答える。

「ちょ、おま、ガランに我に会いたいと言っただろう?」

「あ? ガラン?」俺は考える。

「あぁ、破壊神ガランか。」

「おぉ、お前はそいつに、我に会いたいと言ったよな?」


「え?」

「いや、なんだその反応。」

「あ~、なんだっけ。」

「おい。」

「いや、ごめん、脅威じゃないのは記憶に残らないんだ。」

「なんだと?」

「あ~、レベル350の魔族さん、俺に敵対できそう?」

「我がか? いや無理だ。」

「あ~、それを解ってくれるなら、歓迎するよ。」

「は?」

「名前は?」

「名前? 我のか?」

「おぉ、先に名乗らないとな、俺はケイジだ、宜しくな。」

「我は、バラン、龍王バランだ。」 

「ありゃ。」

「なんだその反応は。」

「国王が、一人でこんな所をうろついてて良いのかよ。」

「おぉ、お前は、我が国王と知っても態度を変えないんだな?」

「あぁ、不敬罪にでもするか?」

「いや、我はお前を気に入った、そのままでいいぞ。」

「そりゃどーも。」

「で、我に会いたい理由はなんだ?」

「あぁ、お前が人間に加護を与えたせいで、北の方で領や町の幾つかが消えた。」

「加護?」

「あぁ、そう言ってたそうだぞ。」

「我は、人間族の者に加護など与えておらんぞ、いや、その前に、魔族が加護を与えることは不可能だぞ。」

「え? そうなの?」

「加護を授けられるのは、精霊様か、魔神様だけだ。」


「あ~、バラン。」

「なんだ?」

「ちょっと付き合ってくれるか?」

「あぁ、かまわんが。」

「紫炎、バランを虚無の部屋に。」

「はい。」一瞬でバランが消える。

「ザードの領へ。」

「はい。」

 俺はそこを潜る。


「おぉ、検問と領を取り囲む塀が出来ているな。」

「紫炎、バランをここに。」

「はい。」

「おぉ、ここは何処だ?」一瞬で変わった景色を見てバランが驚愕している。

「合わせたい奴がいる、付いて来てくれ。」そう言いながら検問に向かう。

「あぁ。」周りをきょろきょろ見回しながら、バランも俺の後ろに続いた。


「あぁ、この領は復興中で、まだ中には入れないんです。」門の所にいた兵士らしい男が言ってくる。

「あぁ、ではザードに伝言を頼めないか?」

「え? 領主さまへ? 領主さまのお客様ですか?」

「あぁ、そうだ。」

「それは申し訳ありませんでした、おい、誰かご案内しろ。」

「はい。」そこにいた男が答える。

「ご案内します。」そう言って、その男が歩きだす。

 俺たちは、その男の後に続く。

 あちこちで、建物の修復や建築を行っていた。

 果樹園らしきところは、駄目になった樹木を切り倒して苗を植えているようだ。

 領内には、意外に人間の数が多いように感じた。


「こちらが領主さまのお屋敷です。」そう言って、男がその屋敷に入っていく。

「領主様、お客様をお連れしました。」その男が屋敷の奥に声をかける。

「おぉ、ご苦労でした、作業に戻ってください。」屋敷の奥から声がする。

 案内してくれた男は、俺たちに礼をすると門の方に駆け出した。

 俺たちが、屋敷の門の前で待っていると、その男が出てきた。


「おぉ、ケイジ様、その節はお世話になりました。」

「あぁ、中々良い具合に復興しているようだな。」

「はい、お言い付けの通り、領を塀で囲い、入口には検問を置き、私が攻めてしまった町や村の者達に謝罪をして、我が領に移住していただきました。」

「うん、良くやっているな。」

「もったいないお言葉、精進します。」

「領兵は、今訓練中なので、有事の際には私が出ることにしています。」

「その時は、俺に声をかけろ、助けてやる。」

「は、仰せのままに。」

「で、バランを連れてきた。」

「は?」

「バランを連れてきた。」

「ケイジ様、屠っても?」

「ほぉ、我を屠ると?」

「待て、待て、お前ら。」

「はい、ケイジ様。」

「ケイジ、我は不服だ。」

「バラン。」

「なんだ?」

「お前は、人間に加護を与えたのか?」

「さっきも言ったが、魔族は人間に加護を与えられない、人間に加護を与えられるのは、精霊様か、魔神様だけだ。」

「なぁ。」

「と、言う事だ。」

「それは本当か?」

「ほぉ、我を疑うのか、ではザードと言ったか? お前がここにいるケイジに加護を与えてみよ。」

「え?」

「お前も順位がある魔族なのだろう? であるなら人間への加護、やって見せよ。」


「出来ない。」

「では、そう言う事だ。」


「すまなかった。」ザードがバランの前で土下座する。

「よいよい、不問に処す。」バランがカラカラ笑う。


「ザード、心の閊えは取れたか?」

「はい、ケイジ様、おのれの未熟さを痛感しています。」


「バラン、付き合わせて悪かったな。」

「あぁ、気にするな、だがこの見返りはなんだ?」

「飲むか?」

「おぉ、良い見返りだな。」バランがニカリと歯を見せる。

「おぉ、ではザード、お前も付き合え。」

「あぁ、それは構わないが、どこで?」

「紫炎、華厳の店へ。」

「はい。」

「おぉ?」

「ふふふ、凄いな。」

「俺に続け!」そう言いながら俺はそこを潜る。


「華厳、ラガー3個、あと海老パオの焼きと蒸し3人前な。」

「はい。」

「あと、シャオマも3人前。」

「はい。」

「あと、煮卵と、炙りチャーシューも3人前な。」

「はい。」

「おい、ケイジ、何を言っているんだ?」

「あぁ、バラン、もう直ぐ判る。」

「ラガーお待ち。」

「おぉ、皆の前に置いてくれ。」

「はい、承り。」そう言いながら、ラガーのジョッキを俺達の前に置いていく。

「では、バランもザードもジョッキを持て。」

「え?」

「おぉ。」

「で、ジョッキを軽く合わせてこう言うんだ。」俺はジョッキを上に持ち上げる。

 ほかの二人もジョッキを持ち上げる。

「乾杯!」そう言って俺はジョッキを二人の持つジョッキに合わせる。

 そして、ジョッキをあおった。

「ぷは~、美味い!」

 二人は固まっていた

「おいおい、ジョッキを合わせたら、一気に飲め。」俺が二人に言う。

「あぁ。」

「おぉ。」二人が始動してジョッキをあおる。


「ぷはー、美味いなこのラガー。」バランが言う。

「ふはは、冷やし方が違うからな。」俺が答える。

「初めて飲んだが、美味いな。」ザードが言うが、

「最初は苦いだけだろう?」俺が突っ込むと。

「あぁ、でも爽快感はあった。」ザードが言う。

「喉が大人になれば其の美味しさがわかるよ。」

「そうなのか?」

「あぁ。」


「海老パオの焼きと蒸しお待ち~。」

「シャオマもお待ち~。」俺達の前に料理が並ぶ。

「アヤ、説明よろ。」

「はい、ケイジ兄さま。」そう言いながら、アヤが料理の食べ方をレクチャーする。


「パオは、酢に胡椒を・・・・・・」

 俺は、普通に、醤に酢とラー油を小皿に入れる。

「なんだ、ケイジそれは説明の最初の奴か?」バランが言う。

「あぁ、俺にはこれが標準なんだ。」


「成程、美味い、だがケイジ、我はカリーが食べたい。」

「ケイジ様、私もカリーは初めてです。」ザードが言う。


「飲みには、不要なんだがな。」

「カツカリー中辛,2個、頼む。」

「はい、承り~。」


「カツカリーお待たせ。」そう言いながら店員が二皿を置く。

「おぉ、さっきも食ったが、食欲をそそる匂いだ。」そう言いながらバランがスプーンを持ってカリーを食い始める。

「おぉ、これは凄い匂いだ。」ザードもスプーンを持ってカリーを食べる。

「うをぉ。」ザードが固まった。

「美味い。」ザードが言う。

「だろうなぁ。」俺が言う。


「実は、うどんや蕎麦にも合うんだがな。」

「なんだそれ、聞いたことがない料理だ、我に提供しろ。」

「悪いな、まだ作ってない。」

「ん? お前なら作れると言う事か?」

「可能だ、うどんは今すぐにでも、でも蕎麦はそれを探してからだな。」

「ケイジ、食べさせてくれ。」バランが俺の肩を持って言う。

「あぁ、俺の頼みを聞いてくれたらな。」

「頼み?」

「あぁ、国王前婚をしたい。」

「ほぉ、ここ数十年やっていないアレをか。」

「あぁ。」

「我への貢ぎ物はなんだ?」

「そうだなぁ、ハイコカトリスの頭、羽、爪が良いか?」

「はぁ?」

「其れとも、マスターボアの毛皮が良いか?」

「おいおい、ケイジ、何言ってるんだ?」

「あれ? それじゃ不服か?」

「いや、そのどっちも、領土を与えて爵位を授けるレベルのものだぞ。」

「ふ~ん。」

「おい、ふ~んって、まさかお前?」

「あぁ、マスターコカトリスとグレートマスターボア、マスターミノタウルスでも良いぞ。」

「おい、ケイジ、お前俺を騙しているのか?」

「お前を騙す理由は?」

「いや、国王前婚をしたい?」

「しょうがないな。」俺はコンロをそこに取り出す。

 魔石をコンロにセットしてコンロを起動する。

「おい、何してるんだ?」


「あ~、証明?」俺はマスターボアの肉の塊を取り出し、数枚を薄切りにする。

 コンロにミスリル製のフライパンを置き、その上にマスターボアの肉を置く。

 もちろん、油なんかひかない。

「ジュワ~。」肉の脂が溶け、凄まじく良い匂いがあたりに漂う。

「塩だけで良いな。」俺は肉を両面焼くと、塩を一つかみかけて皿にのせる。

「さあ、焼けた、食ってみろ。」俺は二人の前に焼けた肉を乗せた皿を置く。

 バランとザードが其れを口に入れる。

「「はうぅ。」」二人ともフリーズした。

 俺も残りの肉を口に入れる。

「なっ!」イエローボア以上の衝撃が口の中に広がる。

 脂のうま味、それ以上の肉汁、咀嚼するたびに感じる心地よい歯ごたえ。


(死んでもいい。)そう思うほどの味の暴力。

「ケイジ、マスタークラスは食べたらだめだな。」バランが気を取り直して言う。

「んじゃ、国王前婚は、マスターコカトリスの唐揚げと、照り焼き、グレートマスターボアのトンカツ、マスターミノタウルスのローストミノタウルスとすき焼きで良いか?」

「おい!」バランが俺に突っ込む。

「貴様、我を殺す気か?」

「え~、別にそんなことしなくても、いつでも潰せるし。」俺は普通に答える。

「くそ~、事実なだけに何も言えん。」

「ケイジ様、どれも聞いたことがない料理です。」ザードが言う。


「あぁ、あてに良いか。」そう言いながら、俺は机の上に金鶏の唐揚げと照り焼き、オークのトンカツ、ローストマスターバハローを取り出す。

「肉はレベルが下がっているが、すき焼き以外の料理だ。」

「おぉぉ、すべて見たことがない料理だ。」バランが驚愕して言う。

「私も、知らない料理だ.」ザードも同じように言う.

「食べても良いのか?」バランが俺に聞く。

「勿論。」

「おぉ、これは。」金鶏の唐揚げを食べたバランがまた固まる。

「ふおおお。」ローストバハローを食べたザードも固まる。

「「美味い!」」

「おぉ、お粗末様だな。」

「ケイジ、これは何という料理だ?」バランが俺の両肩を持っていう。

「唐揚げ、照り焼き、トンカツ、ロースト料理だ。」

「まったく聞いたことがない。」

「そうか、この辺りでは普通だぞ。」

「ケイジ様、町の復興にこの料理を使わせてくれないか、もちろん対価は払う。」

「あぁ、ザード、好きに使って良いぞ、もちろん対価は不要だ。」

「おい、俺の国でも使って良いか?」

「好きにしろ。」

「なぁ、ケイジ、この料理なら天下を取れるぞ。」

「興味ない、それに、これが終わりじゃない。」俺は微笑みながら言う。


「な、これ以上の物が有ると?」

「あぁ、そうだ。」


「降参だ。」

「ん?」

「国王前婚、受けた。」

「おぉ、良かった。」

「いつにする?」

「そうだな、新居も作りたいし、一月後では?」

「おぉ、予定を開けておこう。」


「よし、そうと決まれば。」バランが言う。

「?」

「飲み会の続きだ!」


「華厳、焼肉、ミノタウルスで。」

「承り~。」

「ミノタウルスの焼肉だと?」

「あぁ、俺が採ってくるからな。」

「ぐぬぬ、ケイジ、俺に仕えないか?」

「断る。」

「ならケイジ、ミノタウルスの肉を提供しろ。」

「いや、お前の派閥、第13位、火焔竜マグマがマシクフのダンジョンを管理していて、そこで狩れるぞ。」

「え?」

「マグマに提供させれば良いだろう。」

「あ~、その派閥なんだが。」

「?」

「俺の管理下にない。」

「あ?」

「腹心のボルガに任せっきりでな。」

「お前、ポンコツだな。」

「そう言われると面目ない。」

「はぁ、まぁ対価によって考える。」

「マジか、何が良い? 地位か? 領土か? Gか?」

「どれもいらないな。」

「なんだと、では俺は手に入れられないではないか。」

「ん~、まぁ、後で考えておく。」

「きっとだぞ。」


「ケイジ様、私にも。」ザードが言う。

「対価が払えるなら良いぞ。」

「おぉ、頑張る。」


 

 結局、翌朝まで宴は続いた。

後半部分を少し改変しました。

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