やらかしの84
調子に乗って
連続更新。
「初めまして、私、聖帝国、神聖協会所属、オリアナ・ポセイダル・エルガイムと申します。」白装束の女が挨拶する。
「はぁ?」
「こちらに、労咳のお方がいると聞いて、馳せ参じました。」
「労咳?」ログマが言う。
「結核のことだ。」俺がこっそりと耳打ちする。
「あぁ、其れならここのケイジぐほぉ。」俺はログマに蹴りを入れた。
「あぁ、すみません、俺は今帰る所なので、お暇させていただきますね。」そう言いながらドアを潜ると、エルガイムに手を掴まれた。
「え~っと、何でしょう?」俺が言うと
「貴方は保菌者かも知れないので、此処にいてください。」
「あ~、俺は鑑定を持っているので、俺は感染していません。」
「え?」
「ついでに言うと、そこのご家族も感染していません。」俺が言う。
「な? そうなのですか?」その女が傍にいた男に聞く。
「お待ち下さい。」そう言いながらその男が小さな魔法陣を展開する。
「はい、その人は感染していません。」そこにいた男が言う。
「な、では、あなたとあなたは、自由を認めます。」
「あぁ、ではログマ、また明日な。」そう言って、跳ぼうとした俺をログマが止める。
「何だよ?」
「この姉ちゃん達、怖いから付き合ってくれ。」
「いくら払う?」
「10Gで。」
「ちっ、仕方ないな。」
「あ~、お姉さんたち、この家には労咳患者はいないぞ。」俺が言う。
「なんで、そう思うのです?」
「さっきも言ったが、俺は鑑定が使える。」
「成程。」
「んじゃ、帰って良いか?」俺が言うが
「いえ、ちょっと聞きたいのですが、ここには労咳の残留が有るのです、何故全員治ったのですか?」
「あぁ、俺が治した。」面倒くさいので正直に答える。
「はぁ?」エルガイムが驚愕する。
「貴方が?」
「あぁ。だから帰って良いか?」
「いえ、お待ちください。」
「嫌な予感しかしない。」
「どのような治療をしたのですか?」エルガイムが俺に詰め寄る。
「それを聞いても、俺に質問しないことを誓ってくれ。」
「え?」
「精霊様に誓ってくれれば、其れを話す。」
「解りました、精霊様に誓って貴方に質問をしません。」エルガイムが言う。
「あ~、労咳は、結核菌が体内で繁殖しておこる病気だ。」
「はい、その通りです。」
「だから、ラキュアで病原菌を死滅した。」
「ラキュア?」白装束の男が言う。
「あぁ、ラキュアだ。」俺が言う。
「キュアの上位呪文はマキュアです。」エルガイムが言う。
「あ? 中級呪文だぞ、それ。」俺が言う。
「いや、伝説にはありますが。」白装束の男が言う。
「俺は、使える。」そう言うと、二人は黙る。
「そして、ライフで欠損部分を修復した。」
「それも伝説の魔法です。」
「え? そうなの?」
「はい、その呪文を行使した事例がありません。」
「あれ、俺、何回も使ってるぞ。」
「なんと?」
「そして、ラディで全員の体力を回復した。」
「え? マディではなく?」エルガイムがわなわなと震えながら言う。
「だって、マディじゃ一人しか全快にできないじゃないか。」俺が言う。
「え、ラ? 言い伝えにある、最上級の?」白装束の男が狼狽える。
「その後、クリーンでこの辺りを消毒したから、二次感染もしないだろう?」
「え? 法術で浄化するのではなく、魔法でですか?」
「え? あぁ。」
「あの、貴方のお名前は?」
「え? あぁ俺はケイジだ。」
「では、ケイジ様、オルドナ・ポセイダル・エルガイムの名のもとに、貴方を拘束します。」
「はぁ?」
「抵抗しないことをお勧めします。」エルガイムが言う。
「はぁ、おい、ログマ、恨むぞ。」
「いや、俺は関係ないだろう?」
「お前が引き止めなければ、こんなことにならなかったのにな。」
「いや、いや、いや、違うよな。」
「ふぅ、エルガイムさん?」
「はい、何でしょう?」
「断る。」
「え?」
「断ると言ったんだ。」
「それは、私に敵対行動をとると?」
「あぁ、あんたが俺に敵対行動をとるならな。」
「ふぅ、仕方がないですね。」
「いや、拘束される理由が解らん。」
「騙りの罪です。」
「は?」
「有りもしない魔法を騙り、そこの方を騙した罪です。」
「え? いや、ケイジ様は確かにその呪文を使ったぞ。」ログマが言う。
「貴方は騙されているのです!」
「え?」
「有りもしない呪文で、あたかも治療をしたように見せ、法外な治療費を請求されているのでしょう?」
「いや、治療費は1Gだ。」ログマが言う。
「え?」
「1Gだ。」
「では、治療自体を行っていないのです。」
「あ~、エルガイムさん、何で俺に罪を着せたいんだ?」
「貴方が、詐欺行為を行っているからです!」
「おい、そこのあんた、このお姉さんを止めてくれないか。」俺は傍にいた白装束の男に言う。
「いえ、聖女様のお言葉は絶対、貴方こそ神妙にしなさい。」
「うわぁ、まさかの聖女キタコレ!」
「貴様ら、マスターに対し無礼であろう!」指輪からサランが飛び出してきて言う。
「なぁ? サラマンダーの主体?」ログマが硬直する。
「炎の精霊様が、何故ここに?」白装束の男も驚愕する。
「私は、ここにいるマスターに身も心も捧げた、マスターに害するなら、其れは私の敵だ!」
「あぁ、サラン、穏便にな。」
「はい、マスター。」そう言いながらサランが一歩下がる。
「エルガイムさん。」
「何でしょう?」
「貴方が、俺を詐欺師呼ばわりする根拠は何でしょう?」
「有りもしない、魔法を使うと虚偽したからです。」
「有りもしない?」
「えぇ、ラ系の呪文を使うものなど、今までいませんでした。」
「え? 伝説に有るのに?」
「それを使っていたのは、数百年前に現れた勇者様だけです。」
「でも、あるんだよな?」
「ラヒール!」俺が唱える。
「なぁ、これは癒しの光!」エルガイムが驚愕する。
「あぁ、気持ちが良い。」白装束の男が言う。
「おぉ、気分がすっきりした。」ログマも言う。
「簡単な病気ならこれで治っているぞ。」俺が言う。
「いえ、何かの目くらましです。」エルガイムが言う。
「おいおい、現実だっただろう?」俺が肩をすぼめながら言う。
「聖女である、私にさえ使えない呪文、何故あなたが使えるのですか?」怒気を込めてエルガイムが言う。
「あ~、俺は精霊様の加護を頂いているからな。」
「はぁ?」エルガイムが俺をゴミを見るような目で見る。
「そこまでですか?」エルガイムが、低音でつぶやく。
「え?」
「精霊様まで、詐欺に使いますか!」エルガイムが俺に掴みかかる。
「ちょ、お待ちください!」白装束の男がエルガイムを止める。
「何故邪魔をするのですか?」
「お待ちください、聖女様、かのお方は本物です。」
「はぁ?」
「ベカスカに現れた、精霊様のご加護を受けた者、サラマンダーとリバイアサンの主体を隷属し、魔王も数体をその許に侍らせている者がいると。」
「何ですか、その常識はずれな者は。」
「それが、ここにいらっしゃる、ケイジ様です。」
「な!」
「エルガイムさん、俺は何をすれば、貴方に信用されるんですかね?」
「ポーター。」エルガイムが白装束の男を呼ぶ。
「はい聖女様。」
「私のために、その腕をください。」
「はい喜んで!」ポーターは躊躇せずに、自分の剣で左手を落とす。
「おいおいおい!」俺はその腕を拾うと、ポーターの傷口にそれを付け、ライフを唱える。
「ライフ!」
一瞬で、手がくっ付き元に戻る。
「申し訳ありませんでした。」エルガイムは奇麗に土下座する。
「数々の御無礼、この身をもって貴方にお仕えいたします。」
「いや、要らない!」
「え?」
「要らない、今まで通り巡業して救いを求めている人に施しをしてくれ。」
「いえ、ここで出会えたのも、精霊様のお導きでしょう。」
「違う、紫炎、スナへ。」
「はい。」おれはそこを潜る。
「あぁ、素晴らしい、私は何と世間知らずだったのでしょう。」エルガイムが両手で頬を抑えて悶絶する。
「聖女様?」
「ふふふ、スナとおっしゃいました、そこへはせ参じましょう。」
「仰せのままに。」
「ふぅ、きっとここに来るよな?」
「おそらく。」
「よし、ヨイチに口裏合わせを頼もう。」
「しかし、大分奇麗になっているな。」俺は周りを見ながら言う。
スタンビートが収まり、周りにはいくつかの施設が出来ている。
「いくつかの施設には、看板も掲げられているな。」そう言いながら、歩いて見て回る。
(スナ魔物王国)
(スナお花牧場)
(スナ心ランド)
(スナ極上ランドパーク)
「何だろう、いろいろ駄目な気がするのは。」そう思っていると、後ろから誰かに抱き着かれた。
「お会いしたかったです、ケイジ様。」ヨイチがいた。
「どうですか? ヨイチ、頑張りました!」
「おぉ、子供たちが喜びそうな施設だな。」
「ふふふ、明日は私の夜伽の日です、ご褒美をくださいませ。」
「あぁ、善処する。」
「で、今日はどのような?」
「あぁ、あと少ししたら、聖女がここに来る。」
「聖女?」
「あぁ、きっと俺について聞かれるだろうから、遥か北にある「霊峰レソオ山」に修行に向かったと言ってくれ。」
「はい、お任せください!」そう言いながら口付けしてくる。
「お土産も頂きました、お任せください。」
「あぁ、宜しくな。」
「はい。」
「紫炎、ヤミノツウの孤児院に。」
「はい。」俺は潜る。
「おぉ、そこにいるのはケイジ君ではないか。」
「は?」俺がその声の方を見ると、ドレース一家がいた。
「あぁ、ドレース様、お久しぶりです。」
「おぉ、ケイジ君、よそよそしい言い方は止めてくれ。」
「いえ、そう言う訳には。」
「いやいや、良いんだよ、其れより、今回は君の新作を食べに来たんだ。」
(新作? 何だっけ?)
俺は思う。
(最近、華厳に解禁した料理。)
唐揚げ4個(ランナー鶏) 50B
ロック鶏の照り焼き 50B
ローストバハロー塩 70B
ローストバハロー漬け 70B
卵サンド 100B
カツサンド 150B
サラダサンド 100B
ポテトサラダ 50B
オークかつ定食 100B
ロック鶏唐揚げ定食 100B
ロック鶏を、ランナー鶏は、金鶏に変更可、時価。
「あぁ、其れか。」俺が思うが、ここはお暇させてもらおう。
「ドレース様、ランナー鶏の唐揚げ丼をお勧めします。」そう言いながら俺は消える。
「おぉ、ランナー鶏の唐揚げ丼を4人前だ。」
「はい、裏メニュー、承り。」
ドレースさんが狼狽えるが、今は無視だ。
「ふふふ、私から逃げられると?」
「聖女様、お気を確かに!」
「ぐふふ、私は正常です!」




