やらかしの83
暑い、溶けそう。。
ログマは、俺を豪華な民家に案内した。
「ここだ。」そう言いながら、ログマが家に入る。
俺はそれに続いた。
「おぉ、ギルマスだけあって、立派な家に住んでいるな。」
「おかえりなさいませ、旦那様。」メイドが出迎えてくれた。
「おぉ、どんな状態だ?」ログマがメイドに聞く。
「お変わりありません。」
「そうか。」ログマは普通に答える。
「あまり部屋に近づくなよ。」ログマがメイドに言う。
「心得ております。」メイドが深く礼をする。
「あぁ、ケイジ、こっちだ。」ログマは部屋の一つに案内する。
ログマが、ドアを開いてその部屋に入る。
「お帰りなさい、お父さん。」その部屋にいた少女が声を出す。
「おぉ、チマハ、おとなしくしていたか?」
「ごほっ、ごほっ、おとなしく以外、無理だよ。」咳き込みながらチマハが言う。
「あれ? お客様?」チマハはベットから起き上がって礼をしようとする。
「げはっ、ごはっげはっ。」そのまま咳き込んだ。
「おい、無理するな。」ログマがチマハに駆け寄る。
「ごほっ、でもお父さん。」チマハが俺を見る。
「あぁ、チマハと言ったか、俺はケイジだ、宜しくな。」俺はチマハの傍に行き声をかける。
「ごほっ、ケイジ様、こんにちは。」チマハが苦しそうに言う。
「すまんな、ケイジ。」
「いや、問題ない。」
(紫炎。)
(結核の末期です、ログマへの二次感染はありません。)
(おぉ、それは僥倖だ。)
「そう言えば、奥さんは?」
「あぁ、奥の部屋で寝ている。」
「え?」
「娘と同じ病気で、余命は数日だ。」
「何だそれ?」
(紫炎?)
「はい、結核末期、余命1日、今夜が山です。」
「おいおいおい。」
「ログマ、彼女達の治療を1Gで請け負うぞ。」
「あ?」
「どうする?」
「ケイジ、俺をからかっているのか?」ログマが俺の胸ぐらをつかむ。
「落ち着け、俺なら治せると言っているんだ。」そう言いながらログマの手を力づくで離す。
「痛たたた。」ログマが声を上げる。
「ケイジ様、お父様をおゆる、げは、げは、げは。」チマハがベットでもがく。
「チマハ、大丈夫か?」そう言いながらログマはチマハの背中をさする。
「もう一回聞くぞ、1Gでチマハとお前の妻を治してやる、どうする?」
「たった、1Gでか?」
「え? なら10Gにしようか?」
「いや、すまない、1Gで頼む。」
「それは、了承と言う事で良いんだな?」
「あぁ、頼む。」
(紫炎?)
(ラキュアの後で、ライフ、その後でラデイを唱えてください、各呪文の間隔は3秒です。)
「ログマ、奥さんをこの部屋に連れてこい。」
「え?」
「早くしろ!」
「あぁ、判った。」そう言ってログマは奥の部屋に行き、一人の女性を連れてくる。
「コヒュー、コヒュー。」やばそうな呼吸をしながらその女性が現れる
「よし、彼女の横に寝かせろ。」俺はログマに言う。
「おぉ。」そう言って、ログマは奥さんをチマハの横に寝かせる。
「よし。」俺はそう言うと、呪文を唱える。
「ラキュア!」
「ライフ!」
(発動に失敗しました。)
(え? ライフを唱えられない?)
(クールタイム1秒です。)
「あぁ、んじゃ。」
「ライフ。」
(今度のクールタイムは?)
(1秒です。)
「ラディ!」
(成功しました、対象は正常な状態になりました。)
俺はその場で座り込む。
「マジできつい!」
「おい、今の魔法は、聖女様が唱える魔法だよな?」
「あぁ、そうかもな。」俺は深呼吸しながら言う。
「って、聖女様いるのか?」
「これが1G?」
「あぁ、最初にそう言ったからな。」
「ケイジ様、その対価は1000Gに匹敵するよ。」ログマが言う。
「あっ、そう。」俺はそう言いながらそこを見る。
そこには、全快したログマの奥さんが、チマハを抱きしめる姿があった。
「あぁ、チマハ。」
「お母さん!」
「おぉ、依頼は半分完了か?」
「いや、待ってくれ、娘の回復依頼は受理されていない。」ログマが言う。
「おぉ、回復して良かったな。」俺が言う。
「何をやった?」ログマが俺に聞く。
「あぁ、ラキュアで菌の浄化、ライフで菌に侵された細胞の復活、ラディで体力の回復だ。」
「なっ。」ログマが固まる。
「最初が生命異常の回復魔法、ライフでなかったのは、菌を死滅させるためだな。」
「あぁ、もう一つ忘れていたな、クリーン。」清潔化魔法で、家全体を除菌する。
「これで、二次感染はしないだろう。」
「ケイジ様、貴方は。」ログマがその場で泣き崩れる。
「ログマ、泣いてないで、食堂に案内しろ。」
「ぐすっ、あ、あぁ。」
「貴方達も付いてきてください。」俺はベッドの上の二人に言う。
「は、はい。」
俺達は、食堂のドアを潜る。
「さて、依頼のもう半分だな。」
俺はそう言いながら、そこにコカトリスの唐揚げ2種類と、コカトリスのもも肉の照り焼き、ローストミノタウルス、2種類を取り出す。
勿論、出来立ての熱々だ。
「あの、このお料理は?」母親が俺に言う。
「あぁ、ログマが俺に依頼した料理だ。」
「領主前婚、20000Gの料理だ。」俺が言う。
「うわぁ。」チマハが其れを見て目を輝かせる。
「なぁ?」ログマは固まる。
まぁ、そうだよな、現代の日本円で2億の料理だ、今ここにある分だけでも数百万円の価値がある。
「あの、食べても良いの?」チマハが潤んだ目で言う。
「おぉ、どうぞ。」
「但し、一度食っちゃうと戻れないかもなぁ?」俺はエスを思いながら言う。
「戻れない?」
「あぁ、そういう人もいるかもな。」
しかし、チマハは自分の欲望に逆らえないようだ。
「あぁ、これがあこがれの。」そう言いながらチマハが唐揚げを口にする。
「つぅ!」
奥さんも同じように唐揚げを口にする。
ログマも、何かを決心して同じように唐揚げを口に入れる。
「あぁ。」
「うおぉ。」親子して、いやな悲鳴を上げる。
チマハと母親は、今まで食べたことのない味に対して。
ログマは、その対価に対して。
「お父様、とっても美味しいです。」チマハが言うが、ログマは顔面蒼白になっていた。
「え? お父様?」
「ふふふ、チマハは何も悪くない、悪くないのだよ。」ログマが言う。
え? 俺が悪者になるの? そう思いながら、俺が口を開く。
「唐揚げは、添えてあるマヨネーズやレモンを付けると、味が変わって良いぞ。」
そう、レモンは苗をヤミノツウの孤児院の裏の森を少しだけ(・・・・)伐採して植え、グロウ(成長)で成長させたら、300個ほどの実をつけた。
そして、その実から種を取り出して植えて、同じようにグロウ(成長)で成長させたら、見事に数十本のレモンの木に成長した。
気が付いた時には、虚無の部屋のレモンの数が減っていた。
(きっと、ダンサが使っているんだろう。)
「美味しかったか?」ログマがチマハの頭を撫でながら言う。
「え? あの、お父様?」
「ふふふ、すべては俺が請け負うのだ。」
「あぁ、すべて対価で賄えるな。」俺が冷たく言う。
「ログマ、この料理全部で300Gで良いぞ。」
「なぁ、 300Gだと?」
「おいおい、同じ料理を20000Gで請け負ったんだぞ。」
「高くないか?」ログマが言う。
「ほぉ、そう言う?」俺が答える。
「え?」
「んじゃ、今後一切、お前から料理の依頼は受けない、其れで良いなら200Gにしてやるよ。」俺が最後通告で言う。
「え?」ログマが固まる。
「今すぐ決めてくれ。」俺は真顔で言う。
「う~、解った、300G払うよ。」
「良い判断だな。」
「明日、カオズシのギルドに来てくれ。」
「あぁ、んじゃ俺は帰る。皿は、お宅で使ってくれ。」
「おぉ、って、これミスリルだろう?」
「そうだ。」
「ははは、確かに300Gは安いな。」
俺が帰ろうとすると。
「あの、何方かいらっしゃいませんか?」玄関の方でドアをノックしながら誰かが叫んでいる。
「おや、こんな時間に誰だ?」ログマが玄関に行くので、帰ろうと俺はそれに付いて行った。
「はい、どちらさん?」ログマがドアを開けると、全身白装束、いや、所々に金の装飾を施した女性と、同じように白装束の男がその前にいた。
「初めまして、私、聖帝国、神聖協会所属、オリアナ・ポセイダル・エルガイムと申します。」白装束の女が挨拶する。
何だろう、嫌な予感しかしない。




