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やらかしの72

「まず、酵母を作る。」

「はい。」


「エス、酵母は媒体に糖を与えて発酵させるんだ。」

「え~っと、なんとなく理解しました。」


「いろいろ駄目だ、とにかく俺に確認しろ!」

「は~い。」



「酵母は、本来何処にでもある物だ。」

「え?何処にでも?」エスが言う。


「だけど、其れを効率よく集める方法がある。」

「集める?」


「いろいろ試してみよう。」俺はそう言って、虚無の部屋から集めたものを取り出す。


「バクの皮の粉」

「リゴという果実の皮。」

「ブドの皮」

「バク粉」

「今回買ったコボ。」


「そして、栓のできる瓶。」そう言いながら俺が作った(クリエイトした)瓶を出す。


 その瓶は透明なガラスで出来ており、蓋をスクリュウで回し止めるものだ。


「その瓶の中に、材料と砂糖と水を入れて、温かな場所に置いておく。」

「はい、ケイジ様!」

「そして、毎日2~3回、蓋を開けてガスを抜き、蓋を閉めて瓶を振るんだ。」

「はい、ケイジ様!」

「蓋を開けた時に、プシュって空気が抜ける音がしたら正解だ!」


「完全に出来上がるのは5日後だな。」俺が言う。

「ムーニャ、虚無の窓を使って、毎日ここに来て確認してやってくれ。」

「はいにゃ!」


「エス、ここからは大変だけど頑張ろうな!」

「はい、ケイジ様。」

 

「紫炎、ヤミノツウの華厳の店の前に。」

「御意。」

「ムーニャも来い!」

「はいにゃ。」


「アイリーンがいろいろ駄目になっていたから、今日は温泉に行く!」俺が宣言すると、華厳がおずおずと言う。」

「あの、ケイジ様、孤児院の風呂は温泉ですが。」

「あぁ、そうじゃないんだ、自分で何もしなくていい温泉だ。」

「あぁ、理解しました。」


「主、どこに行くにゃ?」

「う~ん、いつものラバオシの温泉で良いだろう?」

「にゃ、あそこは極楽にゃ。」

「ほほほ、私は初めてです。」ヒドラが言う。

「お肌がツルツルになりますよ。」アヤが備品を管理しながら言う。

「いや、孤児院の温泉も効能はすごいと思うんだが。」


「おもてなし感が違います!」アヤがタオルを用意して言う。

「ははは、アヤは温泉が好きだな。」


「えぇ。」

「紫炎、嫁達に連絡してくれ。」

「はい。」


「ケイジ様の嫁様に連絡完了しました。


「ははは、流石紫炎だ。」

「ケイジ様、全員参加確認しました。」

「よし、紫炎、皆をラバオシに来させてくれ。」

「はい。」


「んで、紫炎、ラバオシに。」

「はい。」


 俺はヤミノツウにいた嫁さん達を連れて、ラバオシの温泉宿に潜った。


「いらっしゃいませ!」いつものおやじがカウンターの奥で言う。



 俺は宿のカウンターで露天風呂の貸し切りを申し込み、男二人、女10人の料金と、お子様3人、9人分のお楽しみの料金を支払う。


「ふいー。極楽だ。」俺は温泉に浸かる。

 

「初めてのアイリーン、モーマ、ヒドラ、ヨイチも何の抵抗もなく混浴の露天風呂に入ってきた。」

「おほほ、ご主人様、この燗というものを温泉で飲むのは至高ですね。」

「ケイジ様、このようなイベントを秘密にしているのはずるいです!」アイリーンが言う。

「ケイジ様ぁ、最早ご褒美が欲しいレベルですぅ。」


 風呂を堪能した俺達は風呂を出て、ロビーにいる。


「さて、今回は晩飯と朝食込みで泊まるか。」俺はそう言うとカードを差し出す。

「16G250Bですが、250Bはサービスします。」おやじが決裁して俺にカードを返す。

「よし、嫁さん達、晩飯を堪能しよう。」


「その晩御飯は豪勢だった。」山海の珍味、王道の刺身や焼き肉。

 更に、熊鍋なんてものも出てきた。


「いや~、旨かったな。」

「旦那様が作られるものの方が美味しいです。」

「いや、カリナ、十分だと思うぞ。」

「でも。」

「おほほ、そうですね、ご主人様が作られるものの方が、インパクトがありますね。」

「あ~。」(刺激が強いものが多いね。)

 俺は、納得した。


「今日はここで泊まりだ。」

「で、嫁が増えたから、今までの寝方は無しな。」

「え? 主、何でにゃ?」

「いや、暑くて寝れないんだよ!」

「にゃ~。」

「俺の両脇は許すから、じゃんけんでもして順番を決めろ!」

「う~、分かったにゃ!」

「んじゃ、じゃんけんにゃ!」

「ちょっと待て、メームは対象外だ!」

「な、兄者、其れは酷い!」

「俺は男色の趣味はない!」

「くっ。」

(いや、悔しそうな顔をするな、メームはその気があるのか。だったらダンサの良いネタだ。)


「チッケッタ!」

「チッケッタ!」

「チッケッタ!」

「やりました、カリナが嬉しそうに叫ぶ。」

「チッケッタ!」

「チッケッタ!」

「チッケッタ!」

「勝ち抜きました!」ヨイチが言う。

「く、ヨイチ、私に100Gで譲りませんか?」

「ふふふ、ヒドラ様、譲りません。」

「くぅ。」ヒドラが悔しそうな顔をする。


「よし、決まったか。」

「はい旦那様。」


「んじゃ、これから俺の横で寝るのは順番制な。」そう言いながら寝室部屋に入る。

 カリナとヨイチが俺に続いた。

「くっ!」嫁の誰かが声を上げる。

 しかし、俺が宣言した。

 それを破る者はいないだろう。

(よし、安眠が確保できた。)俺は思った。



(そう思った時期がありました。)

 俺は、カリナとヨイチの攻撃を受け、早朝まで寝れなかった。

 俺の横には、つやつやの顔をしたカリナとヨイチ。


「俺のHPは一桁だよ!」誰にでもなく呟く。

「これ、罰ゲームだな。」

「いえ、ご褒美です。」紫炎の声が聞こえる。

「マジかぁ。」そう言いながら意識が消えた。


**********


 眠りから覚めた俺が言う。

「今何時だ?」

「ケイジ様の世界で、午前6時です。」

「おぉ、間に合った。」

 俺は身支度を整えると、ダンサの店の前に虚無の窓を繋げ、潜る。

「ぐふふ、おはようございます!」ダンサが俺に挨拶する。

「おぉ、おはよう!」

「んじゃ、行くか。」

「ぐふふ、楽しみです!」

「紫炎、港町に。」

「はい。」


 俺達はそこを潜る。

「ぐふふ、潮の香りが心地良いです。」

「あぁ、イーカを扱う店はそこら中にあるからな。」

 そう言いながら、目の前の店に行く。

「おぉ、ケイジ様。」

「モスクワの雪は赤い。」

「おぉ、ニューヨークの雨は金色。」

「ぐふふ、何ですかその中二?」ダンサが言う。

「いや、合言葉が必要かなと思って設定したんだが、要らないな。」

「ぐふふ、要りませんね。」


「はぁ、おやじ、もう合言葉は良いや。」

「おぉ、其れはありがたい、来る客に言うたび、変な顔をされたからな。」

「んで、イーカを全部くれ。」

「おぉ、2Gだぞ。」

「おやじ、大丈夫なのは判ってるだろう?」

「あぁ、そうだったな。」

「ダンサ、他に必要なものは?」

「ぐふふ、ありません。」


「イーカは30あるけど、もっと必要か?」

「ぐふふ、十分です。」

「んじゃ、次の店だな。」イーカを虚無の部屋に入れて、俺は味噌の店に行く。


「ぐふふ、お供します。」

 俺達は味噌の店に着いた。

「ぐふふ、これがソース。」

「おぉ、味噌もそれなりだと思うぞ。」


「ぐふふ、ソースを全種類欲しいですね。」

「あぁ。」俺はソースを全種類虚無の部屋に入れて会計する。

 在庫が増えただけなのは無視しよう。


「ダンサ、バグ粉の店とブッタの店はどうする?」

「ぐふふ、行きたいです。」


そして、バク粉とブッタの在庫を虚無の部屋に入れてダンサの店の前に出る。

「さて、色々買ったが、収納は?」

「ぐふふ。」ダンサが笑いながら俺に口づけする。

「な。」

「ぐふふ、ご主人様、私にはそんなスキルはありません。」

「なに?」

「ご主人様が、私を嫁認定していただければ一気に解決です。」


「な、計ったな?シ〇ー」

「ガ〇マ、君の生まれの不幸を呪うがいい。」ダンサが言う。


「ちっ、今回は俺の負けだ、烏賊リングを食わせろ。」俺は不貞腐れて言う。

「はい、ご主人様。」ダンサが俺の腕に手を回して店に連れていく。


「紫炎様、イーカをお願いします。」

「はい。」

(はぁ、本当に使いこなしているよ。)そして気づく。

(烏賊リングって、自分で作れるじゃん!)


 まぁ、ダンサは色々残念なところもあるが、顔は奇麗だし、スタイルも良いし、黙ってればそれなりなんだけどな。

 なにより、あっちの記憶があるのが良い。

「ダンサ。」

「何ですか、ご主人様?」

「ライシーは何処で手に入れた?」

「おや、普通に米屋で売ってますよ。」

「なんだと?」

「あぁ、北の方ではあまり流通していないと言っていました。」

「あと、コボは何処で手に入れた?」

「手作りです。」

「あぁ、やっぱりそうか。」

「種は?」

「リゴです。」


「だから、ピザやオムライスが出来たのか。」

「ぐふふ、そうです、はい出来ました、烏賊リングです。」そう言ってカウンターに座る俺の前に烏賊リングの乗った皿が置かれる。

「おぉ。」その皿には、烏賊リングが6個、キャベの千切り、そしてポテトサラダ。

「いや、なぜポテトサラダが乗ってる?」

「え? 虚無の部屋にありましたから。」

「おい、其れは孤児たちがサンドウイッチを作るためのものだ。」


「え? それはすみませんでした。」

「マヨネーズの作り方は教えるから、虚無の部屋の材料以外は使わないでくれ。」

「はい、ご主人様。」


「とりあえず、ご堪能下さい。」

「どれ?」そう言って虚無の部屋から箸を取り出し、ソースをかけて烏賊リングを食べる。

 カシュ! 良い音がして噛み切る。

「おぉ、パン粉が違う、柔らかいパン粉だ。」

「ぐふふ、リゴのコボはピザ生地にも、柔らかいパンにも使えるんです。」

「うわぁ、ダンサ、その情報もっと早くくれよ。」

「ぐふふ、ご主人様がもっと早く私を受け入れてくだされば、お知らせできたのですが。」

「俺のせい?」

「ぐふふ、そのようで。」

「まぁいいや、コボの研究は続けよう、どんな結果が発生するか判らないからな。」

「ダンサ、レモンは?」


「え? ケイジ様が持っているかと?」

「マジか?」


「まぁ、良いや、探しておくよ。」

「あぁ、ダンサ、虚無の部屋にある肉類は自由に使って良いぞ。」

「おぉ、ご主人様、本当ですか?」

「あぁ、その代わり使用料をよこせよ。」

「当然ですね。」

「あと、鶏肉は何処で手に入る?」

「え?」

「オムライスにも入っていたよな。」

「えぇ、特殊な肉ダンジョンの肉を扱う店です。」

「特殊な肉ダンジョン?」

「ワシカのダンジョンが鳥系の肉をドロップするダンジョンだと聞いています。」

「ふ~ん。」


「んじゃ、今後も宜しくな。」

「ぐふふ、ケイ×バラの新刊は冬の祭典までに間に合わせます。」

「あれ?そう言えば、カスリーが見えないな?」

「ぐふふ、今後の参考のために次の間にいたのですが、流石ヘタレご主人様。」

「つまり、覗き見をしていたと。」

「ぐふふ。」


「カスリー、カトルと同じ場所に送ってやろうか?」そう言った瞬間に、目の前でカスリーが土下座をしていた。

「申し訳ありません、ケイジ様、尊いネタの為、我を忘れておりました。」

「お叱りは受けます、でも兄様あにさまを見送らせて下さい!」


「もの〇け姫かよ!」

「ぐふふ、流石ご主人です。」


「はぁ、今回は見逃してやるよ、次は。」俺は首の前で親指を横に振る。


 カスリーは土下座のまま僅かに首を縦に振る。


「うん、美味かった、んじゃ奥さんたちを見送ってくる。」

「ぐふふ、行ってらっしゃいませ、ご主人様。」

(うん、メイド喫茶だったな此処。)そう思いながら虚無の窓を潜った。


ぐふふ、やりました!

応援していただき、ありがとうございます。


はぁ、もうここで打ち止めにしてほしい。


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