やらかしの70
「さて、8階層か。」俺はそう言いながら、階段を下りる。
「いますね。」
「ぐふふ、凄まじい。」
「紫炎?」
「レベル150の鳳凰です。」
「あ~、瞬殺?」
「はい。」
「もう黙って通してくれないかなぁ。」
「ダンジョンですから、無理かと。」
「ぐふふ、蹂躙で良いのでは?」
「はぁ、まぁ良いや、行こう。」
「「「「ぎゃぁぁぁ。」」」」」
「おや、7階には小物はいなかったのに、この階には居るのか?」
「魔石20、上魔石10、鉄500重、ミスリル200重、アダマンタイト50重、ヒヒイロカネ10重を虚無の部屋に入れました。」
「しかし、相当な重さの鉱物がドロップするんだな、500kgとか、どうやって持って帰るんだ?」
「ぐふふ、マジックバックですね、私も持ってます。」そう言いながらダンサがポケットから袋を出す。
「ぐふふ、これは特上品なので、時間停止付きで、1トンまで収納可能です。」
「へぇ。」
「ぐふふ、しかし、ご主人様の収納は規格外ですからね。」
「紫炎のおかげだよ。」
「さて、待たせたな。」
「い~や、全然、何しろこのダンジョンが出来てから数十年、今まで誰もここまで来なかったからね。」
「あぁ、普通の人間じゃ絶対に無理だな。」
「ははは、君はすごいね、勝てる気がしないや。」
「さっきの玄武もリポップするみたいだから、お前も楽になるか?」
「う~ん、それも良いけど、一度本気で戦ってみたいと思っていたんだ。」
「あっそう、良いよ。」
「え?」
「あぁ、サラン、ダンサ、壁まで下がっとけ。」
「はい、マスター。」
「ぐふふ、お優しい、惚れ直しました、結婚してください。」
「却下だ。」
「ぐふふ、もはや癖になる拒絶、快感です!」そう言いながら二人は壁まで下がる。
「あぁ、一応聞いておく、どうやって死にたい?」
「え?」
「水で死ぬか、氷で死ぬか、風で死ぬか、火で死ぬか。」
「火?」
「あぁ、全身をミンチでも良いぞ。」
「あの、僕鳳凰だよ。」
「あぁ、だからなんだ?」
「炎属性だよ?」
「あぁ、だから?」
「火で僕を殺せるの?」
「可能だ。」
「そんなことが可能なの?」
「ん? 前にイフリートを炎で滅したぞ。」
「な、本当にそんなことが可能なの?」
「俺は、1500万度まで出せるぞ。」
「はぁ、何それ?」
「お前、せいぜい1万度だよな。」
「ななな、看破されているのか。」
「見たいか?」
「ふふふ、それが本当なら。」
「よし、ちょっと待っててくれ。」そう言いながら俺は壁に向かう。
「ぐふふ、壁ドンですか、どうぞそのまま手籠めに。」戯言を言うダンサを虚無の部屋に入れる。
「サラン、指輪に。」
「はい、マスター。」
「よし、お待たせだな。」
「さぁ、僕にそれを味合わせてよ。」
「あぁ、準備は良いか?」
「ははは、楽しみだ。」
「ヌクリア・フュージョン!」俺が魔法を発動する。
純粋な核融合。
そう、太陽の中心温度がその正体だ。
「あは・」鳳凰が一瞬で消える。
「うぉ、あちあちあち。」俺はその炎を消し去った。
「ツンドラ、ツンドラ、ツンドラ!」俺は中位の氷魔法を重ね掛けする。
数回唱えて、やっと常温に戻る。
「あ~あ、ダンジョンが溶けた。」俺は周りを見渡して言う。
「鳳凰の鉾、特上魔石1個、アダマンタイト70重を虚無の部屋に入れました。」
俺は、ダンサを虚無の部屋から出す。
「ぐふふ、原爆でも落ちましたか?」ダンサが周りを見ながら言う。
「いや、太陽を召還した。」
「ぐふふ、流石ご主人様です、結婚してください。」
「断る!」
「ぐふふ、沁みますね。」
「最早プレイだな!」
「で、サランはなぜ出てこない?」
「嫌です、死にます、バスターの時にも感じましたが、炎属性が火で焼かれるのは心に来ます!」
「いや、サランは焼かないぞ。」(俺に造反しない限り!)
「心の声が聞こえます!」
「おぉ、凄いなサラン。」
「マスター、私達は繋がってます!」
「あれ? そうだっけ。」
「マスター、わざとですか?」
「え? お前が宝箱の罠を俺に発動したことは、なんとも思っていないぞ!」
「マスター、ひどい!!!」
「さっさと出てこい。」
「あぁ、次は龍か虎か?」
「虎です。」
「まったく、このダンジョンを作った奴は、何考えているんだか。」
「さて、9階層か。」
俺はゆっくりと階段を下りる。
そして、現れるのは安全地帯の広場と扉。
「マスター、この先にいるのは。」
「白虎だろう? レベルは幾つだ?」
「180です。」
「最早誰も来れないよな。」
「マスターのためのダンジョンでは?」
「数十年前にそれを作る奴なら、むしろ会いたいよ!」
「生きていれば良いですね。」サランが言う。
「あぁ、本当に、生きていないかな。」そう言いながら目の前の扉を開ける。
「「「「「「「ひぎゃぁぁぁぁぁ。」」」」」」
「あれ、こんな階層にも低レベルの魔物がいるんだ。」
「上魔石30、特上魔石2虚無の部屋に。」紫炎が告げる。
「なんで?」
「刀のレベルが上がりました、ケイジ様に害なす物の討伐レベルは60です。」
「この刀が有れば世界征服できるんじゃね?」
「肯定します!」
「否定してくれ~。」
「階層主がいます。」
「あぁ、白虎180レベルだよな。」
「はい。」
「あぁ、俺は魔王決定だな。」
「いえ、まだかろうじて、勇者と魔王の見習いレベルです。」
「いや、勇者がいるの?」
「います。」
「いや、俺、勇者とかなるつもりないし。」
「ですから、魔王認定されています。」
「え?俺が?」
「勇者の対局は魔王。」
「いやいやいや、無いわ。」
「自ら、魔王認定を認めているではないですか。」
「知らん、攻略を進めるぞ!」
しばらく進むと、存在が現れた。
「ははは、初めましてだね、我は白虎、このダンジョンを守る四獣の一人だよ。」
「おぉ、俺はケイジだ、宜しくな。」
「お前は、今から討伐する相手に名乗るんだ?」
「ん? 普通だろう?」
「いやいや、多分違うかな?」白虎が言う。
「え?名乗っちゃ駄目なの?」俺は呟く。
「マスター、一般的ではなく、つわものの符丁だろう。」
「ぐふふ、本来はお互いが名乗りあって、勝った方が其れを広めるのですよ。」
「ほぉ。」
「我は、×××を屠った!と。」
「その場合、×××が民衆に知られるほど強い存在でないと意味ないよな。」
「ぐふふ、ケイジ様を屠れば良い宣伝になるかと。」
「ほぉ、ダンサ、そう言う事か?」
「ぐふふ、まさか。」
「私は、ケイジ様に手籠めにされる未来しか想像できません。」
「ぶっこんで来るな! だが、絶対ない!」
「ぐふふ、そろそろ情が移ってきてませんか?」
「よし、殺そう。」俺の瞳から光が消える。
「ちょ、う、ウソです! ははは、軽い冗談ですよ!」ダンサが俺から距離を取る。
「ど~でも良いけど、夫婦漫才は止めて。」白虎が言う。
「誰が夫婦だ。」
「ぐふふ、流石は白虎様。」
「ふぅ、んで、お前の名前は?」
「うん、さっきも言ったけど白虎だよ。」
「いや、其れはお前の種族だろ。」
「へ?」
「そのくくりで言ったら、俺は人間だ。」
「ぐふふ、自ら人間と名乗りますか。」
「ズビシ!」俺のデコピンがダンサに決まる。
「ふをぉぉ、これが愛の力。」そう言いながらダンサが数メートル飛んでその場で悶える。
「個体の名前はないのか?」
「ん~、考えたこともないや。」
「んじゃ、俺が名を与えようか?」
「え?」
「お前に名前をやるよ。」
「今から殺しあう、いや、蹂躙する相手に?」
「ん~、白い虎・・ホワイトタイガー・・ビャッコ・・ハク、うん、ハク!」
「な。」
「お前は、今からハクだ。」
「おぉぉ、我は、ハク・・」その身体が光に包まれる。
「ぐふふ、流石はご主人様です、そこの個体がダンジョンから切り離されました。」
「え?」
「あぁ、気持ち良い、ケイジ様、私は貴方の盾になりましょう。」そう言って、白虎が巫女装束の様な物を身に纏う女子高生っぽい体形になった。
「ケイジ様、今後とも良しなに。」
ハクがその場で三つ指をついて礼をする。
「え~っと、玄武と鳳凰もこうなったのか?」
「ぐふふ、そうだったのかもしれませんね。」
「ん~、まぁ良いか、リポップするって言ってたから、もう一回くれば良いか。」
「まぁ、ケイジ様は、私だけでは物足りないのですか?」ハクが品を作りながら言う。
「誰も死なないのが一番なんだ。」俺はそう言いながら、次の階への階段を下りる。
「ここが最下層なのか?」
「マスター、コアはこの階にある。」
「で、ここには龍か?」
「はい、我らの最強、青龍がいます。」ハクが言う。
「やっぱり蹂躙か?」
「いえ、きっと私と同じようにケイジ様に下ります。」
「そうかな?」
「きっと。」
此処も、ドアの前は安全地帯なんだな。
「ダンジョンの基本です。」ハクが言う。
「へぇ。」
「さて、進みましょう。」ハクが言う。
「青龍はお前の仲間じゃないのか?」
「はい? 申し訳ありません、種族が違うので何の思い入れもありません。」
「あ、っそう。」
「はい。」
「んじゃ、行くか!」そう言いながら俺は目の前の扉を開ける。
「お読みいただき、ありがとうございます。とマスターが言っております。」
「ぐふふ、次回で私が貞操を奪われると思う方は、ぜひ清き評価を。」
「やめろ、お前ら。」
「ケイジ様、評価とは?」
「ハクも気にするな!」
「はぁ?分かりました。」




