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やらかしの64

「おぉ、カッター、あの騒動以来だな。」

「がはは、今日はケイジに頼みがあってやって来た。」


「立ち話もなんだ、飯でも食いながら話そう。」

「あぁ、だが前にも言ったが、今俺は実入りがない。」

「安心しろ、俺が奢るよ。」

「そうかぁ、ゴチになるぜ、流石俺のマブだ。」


「華厳、2階借りるぞ、あと焼き肉をお任せで10人前と、ラガーを人数分な!」

「はい、ケイジ様。」


「よし、2階に行くぞ、モズラも来い。」

「あぁ、分かった。」


「ケイジ兄さま、お通しとラガーです。」アヤが器用にジョッキとお盆を持ってくる。

「おぉ、アヤ、ありがとうな。」

「妻の務めです。」アヤが顔を赤くしながら言う。


 俺は、テーブルのつまみを回し、魔石をセットしながらコンロを起動する。

「まずは、乾杯と行こうか?」俺はそう言いながらジョッキを持つ。

 ヒドラ、ヨイチ、がはは改めカッターもジョッキを持つ。

「サランに奉納を!」

「ありがとうマスター。」サランもジョッキを持つ。

「どうした、モズラ、奉納が必要か?」

「いや、要らない。」

「要らないが、私も宴に加わっていいのか?」

「あ?俺に下ったんだろう?」

「あぁ。」

「んじゃ、問題ない。」俺はニカっと笑う。

「ほほほ、モズラ、ケイジ様は懐が広いお方なのですよ。」ヒドラが言う。


「ふっ、俺は徹底的に負けたのだな。」そう言いながらモズラがジョッキを手にする。

「んじゃ、乾杯!」俺達はジョッキを合わせる。


「お待たせしました、焼き肉盛り合わせです。」華厳が大皿を2枚持ってくる。

「おぉ、マスターバハローか?」カッターが驚愕する。

「あぁ、いくらでも狩れるから、遠慮するな。」俺が言う。

「け、ケイジ。」

「何だ? カッター。」

「奢りだよな?」

「あぁ、そう言っただろう。」


 俺がそう言うと、カッターはトングで肉をコンロの網に乗せていく。

「んで、カッター、頼みってなんだ?」

「いや、ケイジ、今は肉と対話させてくれ。」真顔でカッターが言う。

「おぉ。」

 





「がはは、食ったぜ~。」

 カッターは奢りを良いことに、100G分の肉を食いやがった。

(くくく、これ以降普通のバハローじゃ満足できない身体になったなぁ、カッター。)そう思いながら、俺はカッターを見る。

「なぁ、ケイジ、凄く悪い顔で俺を見るのは何でだ?」

「くっ、くっ、くっ、いや、何でもない。」


「気になる笑いだな。」

「気にするな、で、頼みとは何だ?」


「あぁ、最近、ベワカタキのギルドに依頼が来ないんだ。」

「へぇ。」

「な、他人事か?」

「あぁ、他人事だな。」


「ベカスカ、シハリク、マヤオ、ガコ、カウソのダンジョンに人が流れてベワカタキにヒトが来ないんだ。」

「ふ~ん。」

「ケイジ!」

「なんだ?」

「お前、この辺のダンジョンを管理しているんだろ。」

「あぁ、俺の部下がな。」

「頼む。ベワカタキにダンジョンを作ってくれ!」

「はぁ?」

「マジで、じり貧なんだ! このままではベワカタキのギルドは潰れる。」

「カッター。」

「なんだ?」

「それで、俺に何の得があるんだ?」

「へ?」

「へ、じゃないよ、それで俺に何の得があるんだ?」

「俺たちはマブだよな?」

「おいおい、その程度で俺に手を貸せと?」

「マスター、この男はマスターを舐めています。」

「ほほほ、ご主人様に何の手土産も持たず、ただ己の願望を叶えるだけのために頼みに来るなぞ万死に値します。」

「カッターと言ったか、私が言う事でもないが、甘すぎるな!」モズラも言う。

「ただ、只飯を食いに来ただけの存在です。」アヤが止めを刺す。

「ぐはぁ。」カッターがその場でへたり込む。

「と言う事だ、何か言い分は?」


「・・・3。」

「ん?」

「3割でどうだ?」カッターが指を3本立てながら俺に言う。

「意味が解らん。」俺が言う。

「そのダンジョンから出る品物を、ギルドが売った利益の3割をを支払う。」

「ほぉ。」俺は目を細める。

「カッター、抜け目がないな。」俺は口元を緩めながら言う。


「がはは、どうだ?」

「4割だ。」

「な?」

「それなら、4階でマスターバハローのドロップも考えてもいいぞ。」

「な、4階層でマスターバハロー?」

「あぁ、本体とはいかないが、固まり肉5kgでどうだ?」

「おぉ、其れで良い。」


「よし、決まりだ、モズラ。」

「はっ。」


「ベワカタキの近郊にダンジョンを作れ。」

「はい。」

「少し緩く、3階層までは各階に、階層レベル×1倍のゴブリン、コボルド、オークを出現させ、フロアボスは階層×2+1のバハローを配置しろ。」

「おぉ、それぞれの階層ボスは一階層がレベル3、2階層がレベル5、三階層がレベル7って事ですね?」

「おぉ、その通りだ。」

「そしてドロップは?」

「オークは、40分の1の確率で、オーク肉5kgをドロップするよう調整しろ。」

「御意!」

「バハローは50分の1でバハローの肉5kgのドロップ。」

「御意。」

「4階層は、レベル10のオークのみで、フロアのボスはマスターバハローレベル10だ。」

「御意。」


「マスターバハローの踏破後は、宝箱の出現、そしてその中にマスターバハローのバラ肉5kgドロップな。」

「御意。」

「4階層以降は、オークやバハロー、マスターバハローが、そのまま残る肉ダンジョンにすれば好きに作って良いぞ。」

「御意。」



「俺が気まぐれで討伐に行くからな。」

「げぇ。」

「けけけ、ケイジ様、我を討伐するのですか?」

「いや、俺に敵対しない限りそれはないぞ。」

「では何で?」

「は? 肉の調達に決まっているだろう。」

「え?」

「肉ダンジョンだと言っただろ。」

「はい。」

「華厳の店で売る肉の調達のためだ。」


「理解しました。」

「あぁ、他の魔王がやっているように、最下層に自分の居住を作っても良いぞ。」

「おぉ、解りました、早速取り掛かります。」そう言いながら、モズラの存在が消える。


「あぁ、送ってやろうと思ったのに、気の短い奴だな。」


「と言う事だ、カッター、お前の頼みは達成したぞ。」

「がはは、すまないなケイジ。」


「4割、忘れるなよ。」

「がはは、心に止めておくぜ。」そう言いながらカッターは帰っていった。


さて、可能であれば、平成でもう一回更新したいですね。

ストックを放出しましょうか?

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