やらかしの65
「司祭様、精霊様の御加護を受けた男が現れたそうです。」
「ふふふ、騙りですね。」
「司祭様?」
「敬虔な真精霊教会の司祭である私にさえ与えられない精霊様の御加護、他の人間が受けられるはずがありません。」
「しかし、その者はヤミノツウの疫病や、ルズイの水汚染などを解決していると聞き及んでおりますが。」
「たまたまでしょう。」
「はぁ。」
「ふふふ、その男、私が自ら確かめに行ってやろうではありませんか。」
「おぉ、司祭様自ら。」
「で、その男は、何処にいるのですか?」
「ヤミノツウの孤児院の横の店に良く現れるようです。」
「では、見極めに行きましょうか!」
「司祭様、お供させていただきます!」
「ふふふ、許可いたします。」
「私も、お供を。」
「我も。」
「来たい者は来なさい。」
「「「は!」」」
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「精霊様の御加護を受けたと、偽証する男がいるのは此処ですか?」華厳の店に数人の男たちが入ってきて言う。
「え~っと、お客様でしょうか?」華厳が厨房から顔を出して言う。
「我等は、真精霊協会の者だ!」
「つまり、ここで飲食をするのではないと?」
「はっ、偽証する男がいる店で、飲食するつもりはない!」
「そうですか。」華厳が微笑みながら厨房から出てくる。
「おぉ、その男を差し出せ!」
「客でないのなら、容赦はしませんぞ。」華厳は、その男たちの襟首を掴み、店の外に放り出す。
店の前には、その男の仲間とみられる者達が、数十人立っていた。
「ぐはぁ。」「うがあ。」「でぶぅ。」放り投げられた男達が、地面に叩き付けられてうめき声をあげる。
「誰か、塩を撒いておきなさい!」
「はい。」店員が塩の入った壺を持ってきて、転がった男に塩を投げつける。
「邪魔だから、帰って二度と来るな!」
「くそ。」男は地面に拳を叩き付ける。
「何処にいるんだ、精霊様の御加護を受けたと偽証する男は?」
「あんた達、大丈夫か?」孤児院の庭で作業していた俺は、声をかける。
「お前、精霊様の御加護を受けた男を知らないか?」
「は? そいつに合ってどうするんだ?」
「嘘を吐く者だからな、我々が粛正する。」
「へぇ?」
「前にも、似たような事があったなぁ。」俺が思っていると。
「ご主人様、どうされました?」孤児院から出てきたヒドラが俺に問う。
「おぉ、ヒドラ、こいつ等が俺を粛正するんだと。」
「え?」
「おやおや、ご主人様に仇なす愚か者達ですか。」
「あ、あ、あ、貴方は、ヤミノツウのご領主様ですか?」
「いえ、今は此方にいらっしゃる、ケイジ様に添い遂げて、統治は元の部下に任せておりますわ。」
「おぉ、そうなのですか。」
「其れよりも、貴方方は、ご主人様に仇なそうとするそうですね。」
「え? では、そこにいる男が、精霊様の御加護を受けたと自称する奴なのですか?」
「スパン!」ヒドラがその男に張り手を入れる。
「ふぎゃ!」その男はその勢いで地面に突っ込む。
「ご主人様を侮辱いたしましたね。」
「なぁ。」鼻から血をぼたぼたと垂らしながら、その男は俺を見る。
「おい、ヒドラ、やり過ぎだぞ。」
「い~え、ご主人様、ご主人様を侮辱する者はゴミ以下です。」
「くそ。」鼻血を拭きながら、その男が俺に向かって何かの魔法を発動する。
「真精霊教の司祭たる我が名をもって命じる。彼の元に紅蓮の炎の鉄槌を!」
「ご主人様!」
「ヒドラ、避けて良いぞ。」
「え? でも。」
「ゴミだ!」
「あら、くすくすくす。」ヒドラは笑いながら横に移動する。
「マスター、消して言いか?」
「何もしなくて良いぞ、そのまま受けてやる。」
「偽証者め、正義の鉄槌を受けろ!」そう言って、その男は俺に魔法を放つ。
「うははは、精霊様の真の御力をその身に受けろ!」
それなりの炎の塊が、俺に向かい飛んでくる。
俺は、その魔法を左手で握りつぶす。
「うははは、はぁ?」俺が握りつぶした炎を見て、その男が固まる。
「おぉ。」
「なんと。」
その男の周りにいた、男達がうろたえ始める。
「司祭様、あのお方は、本当に精霊様の御加護を受けられたのでは?」
「あの御力は、正しく精霊様の御加護です。」
「何を言うのです、真精霊協会の司祭である私が、精霊様の御加護を頂いていないのですよ。」
「どこの馬の骨か解らない者が、その御加護を受けられる筈がないでしょう?」
「しかし、あの御力は。」
「最早、事実かと。」
「くははは、有り得ません!」
「司祭様?」
「有ってはならないのです。」
「は?」
「私以外の者が、精霊様の御加護を賜るなど。」
「司祭様?」
「お気を確かに。」
「くははは、我こそが精霊様の御加護を受けるべき者!」
「おい、お前らそいつから離れた方が良いぞ。」俺が司祭の取り巻きに言う。
「ひぃ。」
「あわわ。」数人が司祭から離れると、司祭の身体が黒い霧に包まれる。
「マスター、あの男に影族が憑依した!」
「ご主人様、堕天するようじゃ!」
「精霊様に、敵対する影族が放った刺客ですね。」サランがぼそりと言う。
「はぁ、俺は、どんな存在に目を付けられたんだ?」
「小物です。」ヒドラがにっこりと微笑んで言う。
「うがぁぁぁぁぁ。」その男が咆哮する。
「ご主人様、私が潰しても?」
「いやマスター、我が引導を渡す!」
「主、あれ、壊しても良い?」
「いや、ミーニャ、何時現れた!」
「たった今にゃ、お昼寝から目覚めたら、いやな存在を感じたにゃ。」
「はぁ。今回はヒドラに任せる。」
「はい、仰せのままに、ご主人様。」ヒドラは満面の笑みを浮かべると、その男に対峙する。
「そこの者、今すぐ我がご主人様に下るなら、その命永らえましょう。」
「ぐははは、私以外が精霊様の御加護を受けるなど。」
「おい、聞く耳持たないぞ。」
「あぁぁ、司祭様。」
「おい、お前達、あいつを呼び戻せ!」
「あ、あ、あ、私の声が聞こえますか?」司祭の仲間が声をかける。
「ぐははは、我こそが絶対!」
「司祭様。」
「あぁ、もはや司祭様ではありません。」
司祭に仕えていた男達が、祈りのポーズをとる。
「おい、お前達で処理してくれないか?」
「申し訳ございません、我等には敵の討伐は許されておりません。」
「はぁ? 何だそれ?」
「司祭様に安息を。」
「お前ら!」
「ふふふ、我が鉄槌を受けるのだ。」司祭だった者が言う。
「ほほほ、貴方達、ご主人様に寄進なさい。」
そう言いながら、ヒドラは司祭を名乗る存在の前に出る。
「ほほほ、そこな偽物!」ヒドラが声をかける。
「ブぎゃぁあ、我に仇なすもの!」
「おいおい、自分の意識あるか?」
「ほほほ、ご主人様、瞬殺で宜しいでしょうか?」
「あぁ、出来れば死ぬ一歩手前でな。」
「ほほほ、承りました。」そしてヒドラが一歩前に出る。
よし、平成最後の更新、間に合った!
「その代わりに、うちらの更新無視したね。」
「涼音さん、貴女は違う世界の存在。」
「最近、こっちの更新、滞ってない?
「ははは、ごめん、こっちの方が、更新楽しい。」
「貴方はぁ!」




