やらかしの53
「いやぁ、ケイジ君堪能したよ。」
「えぇ、ケイジ様、美味しかったですわ。」
「ケイジ様、又来ますので、その時は違う世界を教えてください。」
「あの、美味しかった。」
「ご期待に添えてよかったです、で、お土産は買いましたか?」
「おぉ、ケイジ君、海老パオとシャオマ、もつ煮と、チャーシュの塊、ガツは抑えたよ。」
「おぉ、それではお気をつけて。」
「おぉ、ケイジ君、いつでも家の方に遊びに来てくれよ。」
「ケイジ様、お慕いしております。」
「あの、私も、です。」
「ドレース様、さぁ、お早く。」不穏な気配を感じた俺は急がせる。
「あぁ、すまない、さぁ、お前達行くぞ。」そう言いながら、ドレース一家を乗せた馬車がベカスカに帰っていく。
「ふぅ。」俺はため息をつく。
**********
あくる日の朝、モブに声をかけられた。
「ケイジ様。」
「おぉ、モブ、どうした?」
「オークの骨が無くなりそうです。」
「お前、俺を仕入れ担当にしてるよな。」
「な、いえ、正規のルートで仕入れても良いのですが。」
「ですが?」
「少しでも孤児たちの為に、還元したいので。」
「ほぉ。」
「え?」
「毎月渡してる、運営費30Gの収支、帰ったら見るぞ。」
「な、は、はい。」
「よし、では、ガコのダンジョンに行ってくるか。」そう言って俺は紫炎の繋げた部屋を潜る。
ダンジョン前は、結構にぎわっていた。
「昨日は、オーク肉がドロップしたんだ!」
「ち、旨いことやりやがったな。」
「あぁ、少し美味かった。」
「どんだけ出た?」
「おぉ、20kgだ。」
「な、畜生、羨ましい。」
「へへへ、オークはkg当たり500Bになるからな。」
「3日前はバハローの肉がドロップしたんだ。」
「バハローは、5kgしかドロップしないよな。」
「あぁ。」
「いくらになった?」
「キロ1Gだ。」
「な、倒すのに苦労するのに、たった5Gか?」
「オークの10Gの方が遥かにいいな。」
「おぉ、盛況だな。」俺はそう思いながら、討伐の列に並ぶ。
「おぉ、兄ちゃん、単独で討伐する気か?」ガラの悪い男達が俺に絡んでくる。
「あ?」俺は男たちを睨みつける。
「がはは、兄ちゃん一人じゃ、厳しいだろう? 俺達が一緒に潜ってやるよ。」
「おい、あんた、相手にしない方が良いぞ。」隣にいた冒険者の一人が俺に耳打ちする。
「あ?そこの奴、余計なこと言うんじゃねえよ。」
「あんた、忠告感謝するよ。」俺は隣の冒険者に言う。
「で、お前ら、一緒に潜った場合の取り分を聞かせてくれ。」
「がはは、兄ちゃん判ってるな、兄ちゃんが4で俺らが6だ。」
「ほぉ、それで良いんだ?」
「がはは、出血大サービスだぜ。」
「おい、あんた、止めとけ。」
「おぉ、大丈夫だよ。」
「んじゃ、あんた達同行頼むよ。」
「がははは、兄ちゃん、得したな!」
「おら、どけどけ。」そう言いながらそいつらは、俺を連れてダンジョンに入っていく。
「おい、順番は?」
「俺らは、優先順位が高いからな。」
「ほぉ。」
そう言うと、順番を抜かしてダンジョンに入っていく。
そして、数人を抜かし、1階層の入り口に着く。
「んじゃ、先に入ってくれ、俺達はその後すぐ入って、兄ちゃんを助けるぜ。」
(あぁ、こいつら、俺の装備狙いの噂のゴロツキか。)俺は思う。
「あぁ、判った。」
(紫炎、入ったら即、ドロップを回収できるか?)
(問題なく。)
(よし!)
俺は一階層に入る。
途端に響く悲鳴。
「紫炎、すべて回収しろ。」
「御意。」
「がははは、助けに来たぜ。」
「おぉ、助かった。」俺は振り返って言う。
「あれ?」
「何もなかったのか?」
「あぁ。」
「な、そうか。」
「あそこに次の階の階段があるぞ。」俺はわざとらしく言う。
「おぉ、じゃぁ、また先を譲るぜ。」
「おぉ、悪いな。」
そして一階層の繰り返し。
「がはは、助けに・・・」
「又何も居なかったのか?」
「おぉ、珍しいな。」
「つぅ。」
「おぉ、あそこに3階層の入り口があるぞ。」俺は棒読みで言う。
「又、何も居ないかもなぁ。」
「まぁ、どっちでも良いんだけどな。」
「おぉ、やっと本性を現すか?」
「何言ってるんだ、兄ちゃん?」
「うわさに聞いてるぜ、ルーキーや、ソロの冒険者に声をかけて、ダンジョンに潜り、装備を剥いで置き去りにする輩がいるってなぁ。」
「何だ、俺達も有名になったもんだな。」
「がははは、まったくだ。」
「んじゃ、その刀から渡してもらおうか?」
「お前たちに言っておくよ。」
「あぁ、命乞いか? 別に俺達は命までは取らないぜ。」
「ぎゃははは、ダンジョンの魔物はどうか判らないけどなぁ!」
「まぁ聞けよ、俺に敵対心を持つなよ。」
「はぁ? お前のような雑魚に敵対心?」
「ぎゃははは、面白れぇ!」
「持たねえよ、蔑むだけだ。」
「あと、刀は抜かない方が良いぞ。」
「あぁ、ガタガタ言ってないで、さっさと腰の刀を渡せ!」
「ほらよ。」俺は、腰の刀を手前の男に放る。
「おぉ、殊勝な心がけだ。」その男は刀を受け取ると、鞘から抜いた。
「あ~あ、抜きやがった。」俺が言う。
「おぉ、中々良い、ぐぎゃぁ!」その男の全身が刻まれる。
「おっと。」俺はその男が手に持った刀と鞘を虚無の部屋に入れ、取り出して刀を鞘に納めた。
「落とされたら、傷がつくからな。」
「なぁ、貴様何をした。」
「あっ、いつの間にか刀を奪ってやがる!」
「てめぇ。」
「この野郎。」
「だから敵対心を持つなって。」
「ふざけ、ぐふ!」
「な、このやろ、ぐばぁ。」
「てめ、ごばぁ。」
「きさま、げぼぉ。」
「この刀の力は人間にも効くのか。」
「マスター、こいつらはどうします?」サランが指輪から出てきて、俺に問う。
「一人は重傷だが、他の4人はもう駄目だな。」
「うん、3階層に全員放り込もう。」
「判った、マスター。」そう言うとサランは5人全員を掴み、3階層へ放り投げた。
「ひぎゃぁぁぁ。」全身を刻まれた男の断末魔が聞こえる。
「マスター、静かになった。」
「おぉ、掃除が終わったか。」
「んじゃ、オークの肉を採りに行くか。」そう言いながら3階層に潜る。
「はぎゃやややあや。」途端に響く魔物の声。
「通常営業だな。」
「紫炎、ドロップ回収ヨロ。」
「先ほど死んだ冒険者の装備はどうしますか?」
「あ?そんなもん放置だ。」
「御意。」
「とりあえず、オークのお肉が大量に採れる4階層を周回するぞ。」
「御意。」
「10回ぐらい回せば良いか?」
「肯定します。」
「おし、サクサク行くぞ!」
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とりあえず、半月は持つ量が確保できた。
「無双しすぎたな。」
「宜しいのではないですか?」
「考えたら負けだと?」
「はい。」
「まぁ良いや、帰ろう。」俺は紫炎が繋いだ処を潜り、ダンジョンを出た。
「おぉ、あんた、無事だったか? あいつ等はどうしたんだ?」先ほど、俺に忠告した男が声をかけてきた。
「3階層で先走って、全滅したな。」
「はは、自業自得って奴だな。」
「あんたは、よく無事に帰った来られたな。」
「あぁ、楽勝だったよ。」
「あれ? 3階層のコア、壊しちゃった?」
「いや、壊してないぞ。」
「あぁ、それなら三日待たなくていいのか。」
「あぁ、頑張ってくれ。」
「おぉ、ありがとうな。」
「紫炎、華厳の、いや、港町の乾物屋の店の前に。」
「御意。」
俺はそこを潜った。
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「おや、また来てくれたのかい?」店の者が俺を見て声をかけてくる。
「あぁ、前回忘れてた物があってな。」
「おぉ、何だい?」
「カツオ節ってあるか?」
「ん?カツオ?初めて聞くな、それはどんな奴だ?」
「大きな魚を3枚におろして、背と腹に分けて熱湯に浸けた後、何回か燻して。」
「カビを付けて、天日干しを繰り返した奴だ。」
「あぁ、あるぜ、枯れ干しって言うんだ。」そう言って、店の男は大きな缶からそれを取り出す。
「男節か?」
「おぶし?」
「あぁ、背中側か?」
「あぁ、有るぜ。」そう言って、別の物を缶から出す。
「あと、それを削る奴もあるか?」
「あぁ、そこに。」と言って俺の後ろを指差す。
「あぁ、これだ、引き出しが付いている奴が使いやすいんだよな。」
「二つでいくらだ?」
「枯れ干しが1G、その手に持った奴は2G500Bだが、この間大量に買ってくれたから、全部で3Gで良いぜ。」
「おぉ、悪いな、決済頼む。」
「まいど。」
「あと、この辺りでパンが買える店はあるか?」
「パンってなんだ?」
「小麦粉を練って、発酵させて焼いた奴だ。」
「う~ん、言ってることが良くわからないが、バゲの事かな?」
「バゲ? あぁ、バゲットとか言う奴だ。」
「それなら、この店の2軒隣だ。」
「おぉ、行ってみるよ、ありがとうな。」
「また来てくれよ。」
俺は、店の男に教えてもらった、店の前に行く。
「おぉ、まさしくパン屋だ。」
「そう言えば、こっちに来て食べたものに、パンってなかったな。」
「マイナーなのかな?」
「ダンナーさんの夕食に呼ばれた時も、パンはもちろん、ライシーや麺類は出なかったな。」
俺は、色々なことを考えながら、その店に入った。
「いらっしゃいませ。」
「おぉ、こんにちは、俺はケイジだ、宜しくな。」
「ははは、店に入って自己紹介をする方は初めてです。」
(はっ、今までやらかしてたのか?)
「ははは、いらっしゃいませ、ケイジ様、私はこのバゲ工房の店主、トースイ・ネロコと言います。」
「おぉ、此処は何を扱っているんだ?」
「はい、バゲと言いまして、バクの実を粉状にしたものを練って、膨らませてから焼いたものです。」そう言いながら、店主が出してきたのは、まさしくフランスパン。
「おやじさん。」
「はい、何でしょう?」
「もう少し柔らかめの奴はないか?」
「おぉ、ケイジ様、ございますよ。」そう言いながら出してきたのはまさしく食パン。
「少し、試食して良いか?」
「はい、どうぞ。」おやじさんは俺に手に持ったパンを差し出す。
俺は、端っこを少しむしって口に入れる。
「おほ、旨い。」
「おやじさん、いくつある?」
「え?」
「今手に持っている奴だ。」
「あ~、これは試作品で、10個程ですが。」
「買う、全部買う。いくらだ?」
「値段ですか? 考えてなかったです。」
「じゃぁ、バゲは一個いくらだ?」
「バゲは、一個20Bです。」
「よし、バゲはいくつある?」
「今は30個あります。」
「よし、バゲと、試作品を全部で2Gでどうだ?」
「いえいえ、そんなにいただけません、1G500Bで良いですよ。」
「買った!」
「あと、バクの粉ってどこで買える?」
「この店の数軒隣に、穀物専門の店がありますから、そこなら有ると思います。」
「バターは?」
「バターとは?」
「あ~、バハローに似た動物の乳の油だ、バゲを作るときに使うだろ?」
「あぁ、ブッターですか、穀物専門の店の隣にありますよ。」
「おぉ、ありがとう。」
「あとさ、少しで良いから「イースト」をくれないか?」
「イーストとは?」
「バゲを発酵、膨らませるのに使うだろ。」
「あぁ、コボですか、少しなら。」
「じゃぁ、これに。」俺は虚無の部屋から小皿を出す。
「おや、今どこから?」
「おぉ、気にするな。」
「はぁ、今持ってきますね。」と言って、おやじさんが店の奥に引っ込む。
「お待ちどうさまでした。」そう言って小皿に入ったコボを渡してくる。
「おぉ、ありがとうな。」俺はそれを虚無の部屋に入れる。
「そちらはサービスしますね。」
「あと、おやじさん、定期的に柔らかい方を買いに来るよ。」
「ほぇ?」
「一個90Bで良いのか?」
「えぇ。」
「毎日、朝がたに、俺か、俺の仲間が買いに来る。」
「お仲間ですか?」
「おぉ、俺の顔は覚えたか?」
「はい、ケイジ様。」
「じゃぁ、俺の仲間が来るときは、合言葉を言うようにする。」
「合言葉?」
「あぁ、おやじさんと、俺達しか知らない言葉だ。」
「成程。」
「では、合言葉は。」
「合言葉は?」
「木星の衛星は79個ある。」
「は? モクセイ? エイセイ? 何ですかそれ?」
「いや、合言葉だ。」
「意味が解らないのですが。」
「おいおい、意味が解ったら合言葉にならないだろう。」
「おぉ、そう言えばそうですな。」
「モクセイのエイセイは79個ある、ですな。」
「あぁ、オッケーだ。」
「桶? 桶がどうかしましたか?」
「いや、なんでもない。」
「じゃぁ、宜しく頼むな。」
「はい、ケイジ様。」
俺は、バゲ屋を出て辺りを見渡す。
「おぉ、昨日はやっていなかった店が隋分開いているな~。」
「バクの粉は数軒先、おぉ、この店は。」俺はその店の中に入る。
「おぉ、いらっしゃい。」
「おやじさん、これは魚のすり身を調理したものか?」
「おぉ、兄ちゃん、この町でもうちだけがやってる物だ。」
「さ、さつま揚げ、ちくわ、はんぺん、揚げボール。」
「いや、全然違うが、どこかに同じようなものがあるのか?」
「おやじさん、中にごぼうや、イカ、小さい卵を茹でたのを入れた物は無いのか?」
「いや、無いが、中に違う素材を入れるのか。それ良いな、その作り方売ってくれ。」
「いや、使って良いよ。」
「おぉ、じゃぁ、ここに有る奴を好きなだけ持って行って良いぞ。」
「イワシのすり身だけで作った奴は無いのか?」
「イワシ?」
「これだ。」俺は虚無の部屋から取り出す。
「おぉ、弱魚か。」
「これを、内蔵と頭を取って、骨ごとすり潰して、団子、丸めてお湯で煮るんだ。」
「おぉ、それも真似して良いか?」
「つみれ、と呼ぶなら。」
「おぉ、兄ちゃん、他にもあったら教えてくれ。」
「俺は、ケイジだ。」
「おぉ、ケイジさん、頼むよ。」
「今日は、此処までだ。」
「え~、まぁしょうがないか。」
「じゃぁ、此処に出ている奴、全部持って行くぞ。」
「おぉ、問題ない。」
「紫炎。」
「御意。」
「おぉ、何時の間に全部?」
「じゃぁ、また来るよ。」
「あぁ、また来てくれ。」
「これは、八百屋にもいかないとな。」
「ん?ここは!」俺は隣の店に入る。
「醤や噌の店か?」
「いらっしゃいませ~、何かご入用で?」
「ほぉ、噌の種類が凄いな。」
「はい~、全国各地を店主が周り、味に納得した物だけを扱ってます~。」
「気に入った、単位はいくつでいくらだ?」
「え~っと、たんい?いくつ?いくら全部わかりません。」
「あぁ、噌はどのぐらいの量をどのくらいのBで売ってるんだ?」
「あ~、はい、理解しました、噌はこの杓子山盛りが30Bです。」
「んじゃ、全種類3杓子分くれ。」
「はい~、しばらくお待ちを。」
「あと、野菜を煮込んだ、醤に似た物は無いか?」
「はい、ございます~、そちらに。」
「おぉ、味見はできるか?」
「はい、黄色い色に塗られた奴でお試しください。」
「おぉ、これか。」俺は、黄色に塗られたボトルを味見する。
「はは、ソースだ。」
「とりあえず、全種類10本ずつ買うか。」俺は、そこにあった物を合計30本、会計の台に置いた。
「あの、全部で4G800Bですが。」
「おぉ、カード使えるか?」
「はい。」
「んじゃ、決済ヨロ。」
「はい、げぇ、Aランク?」
(アイリーンに、個人情報保護を叩き込もう!)
「あ、ありがとうございました。」
「おぉ、また来るな。」
「お、お待ちしております。」
その店を出て、また目移りした。
その店先には、俺が求める物があった。
「おぉ、これは。」
「おぉ、いらっしゃい、是非見て言ってくれ。」
「この形状、三浦大根。」
「おや、お兄さん、よくご存じで、それはバーチのミーウラと言う地方で採れる煮物に適したダイコです。」
「おほほ、これはメークイーンとトマトか?」
「はい、煮崩れに強いメイクー種のジャガととまつーです。」
「男爵は無いのか?」
「ダンシャは此方に。」
「おぉ。」
「これは、シイタケ?」
「えぇ、それは出汁が良く出るシータです。」
「これはレタスか?」
「はい、レタです。」
「全部買う。」
「え? いやいや、ここに有るの全部で5Gですよ。」
「カード決済、出来る?」
「はい。」
「決済して。」
「はい、よろこんで。」
「よし、次はバク粉だな。」
俺は、その店に行く。
「いらっしゃいませ、何をお探しで?」
「おぉ、バク粉の強力粉と薄力粉を探してる。」
「はぁ、バク粉は扱っておりますが、きょーりきこ、とかはくりきことは、何のことか?」
「あぁ、どんな風に売ってくれるんだ?」
「はい、此方にあるバクをあちらの機械で粉にいたします。」
「おぉ、種類があるんだな。」
「はい。」
「これは、どんな料理に使うんだ?」
「はい、これは水に溶かして焼いて食べるものです。」
「こっちは?」
「バゲ用です。」
「うん、わかった、粉にするとき出る皮の部分は?」
「捨てます。」
「買う、量はどう言えばいいんだ?」
「はい、そこにあるカップ一杯が30Bです。」
「あぁ、なるほど。」
「じゃぁ、水に溶かして焼くのと、バゲ用とそれぞれカップ20杯と、捨てる皮の部分もくれ。」
「はい、1G200Bです。」
「カードは使えるか?」
「はい。」
「んじゃ、決済ヨロ。」
「最後はブッターか、ふふ、お釈迦様みたいだな、それともドイツ語読みか?」
「えと、この店の隣だったな。」
「はい~、いらっしゃいませぇ。」おっとりとした女性が出迎えてくれた。
「おぉ、ここにブッターがあると聞いてきたんだが。」
「はい~、ありますよぉ~。」
「売っている量はどのぐらいだ?」
「りょうは判りませんが、此方に有るもので、ひと塊が40Bですぅ。」
「おぉ、固形で売ってるんだ。」
「はい~。」
「これ、何の乳で出来てるんだ?」
「おや、ブッターを知っているのに?」
「田舎者なんでな。」
「これは、チチバハローのお乳から作られているのですよ。」
「なるほど。」
「いくつお買い上げですかぁ?」
「20塊くれ。」
「はい~、800Bですぅ~。」
「ここに置くぞ。」
「はい~、ありがとうございますぅ~。」
「今回は、この位で良いか。」俺は虚無の部屋のリストを見て思う。
「紫炎、ベカスカの孤児院に。」
「御意。」
俺はそこを潜った。
おやぁ、グルメの方に向かうのかなぁ?