やらかしの50
ある日、陸王タービ、灰燼アラン、そして戦王リキードが、孤児院の庭で作業をしている俺のところに来て言った。
「ケイジ様、申し付けられたダンジョンの設定が終わりました。」
「ほぉ、あれから一月もたっていないのに、凄いな。」
「元々我らが作ったものだ、何の問題もない。」タービが答える。
「おぉ、感心するよ。」
「お言いつけ通り、3階層までは各階に、階層レベル×2倍のゴブリン、コボルド、オークを出現させ、フロアボスは階層×3+1のバハローを配置した。」
「おぉ、それぞれの階層ボスは一階層がレベル4、2階層がレベル7、三階層がレベル10って事か?」
「はい、その通りです。」
「うん、そしてドロップは?」
「オークは、40分の1の確率で、オーク肉10kgをドロップするよう調整しました。」
「あぁ、少しは市場に出回るかな?」
「3階層にはダミーコアを配置し、それが破壊されたら3日後に元通りになる。ように調整しました。」
「うん、それで良い。」
「低レベルの冒険者の処遇は如何すれば宜しいのでしょう?」
「はぁ? そんなの自己責任じゃん、お前達の糧にすれば良い。」
「おぉ。」
「何だ?」
「同族故、助けろと言うと思っておりました。」
「助けてやる理由が無いな。」
「ふふふ、ケイジ様は我らの上に立つ資格がお有りになられますな。」
「あ? 何で見ず知らずの奴を気にかける必要があるんだ?」
「ふふふ、お見事です。」
「褒められる意味が解らん。」
「ふふふ、では続けます。」
「4階層以降は、4階層がレベル20のオークの群れ、5階層がレべル40のオークロード数体、6階層がレベル60のバハロー数体、7階層はレベル100のマスターバハロー数体、8階層はレベル130のミノタウルス数体を配置しています。」
「おぉ、まさしく理想の肉ダンジョンだな。」
「お褒めいただき光栄です。」
「そう言えば、お前たちは普段何処にいるんだ?」
「私は、陸王ダンジョンの最下層に居住しております。」タービが言う。
「俺はシハリクの最下層に同じように居住場所を作った。」アランが言う。
「俺は、カウソに新しいダンジョンを作り、その最下層に居を構えている。」リキードが答える。
「そうか、俺が提供する必要はないか?」
「はい、大丈夫です。」
「と、言う事で、ベカスカの陸王ダンジョン、シハリク、マヤオ、ガコ、カウソの各ダンジョンは、俺の配下の魔王が管理するので、レベル10の冒険者5人パーティーなら3階層まで踏破可能で、踏破後3日後には復活する仕様になったんで報告しとく。」
「はい?」アイリーンが俺の言葉で目を白黒している。
「ん? もう一度言うか?」
「いえ、ケイジ様、此の周辺のダンジョンをケイジ様が管理すると聞こえたのですが?」
「あぁ、間違ってないな。」
「はぁ。」
「ん? なぜアイリーンがため息をつく?」
「いえ、流石ケイジ様だなと。」
「因みに、4階層以降の情報もいるか?」
「え~っと、人のレベルで踏破できるのですか?」
「4階層は、レベル20のオークが数体らしいぞ。」
「其れなら、獣人のレベル15パーティーなら攻略できそうですね。」
「5階層が。レベル40のオークロードらしい。」
「ケイジ様。」
「ん?なんだ?」
「そこは、我々が行けない所です。」
「レベル10の人間が100人で挑めば行けるんじゃないか?」
「出来ません、そんな事。」
「レイド戦ならいけるんじゃないか?」
「報酬が割に合わないです。」
「オークロードの肉じゃダメか?」
「確かに、1kgで500Bになりますが、せいぜい取れて150kgです。」
「あ~。」
「100人だと一人750Bですよ、誰がそんなもの受けますか?」
「受けないなぁ。」
「だからオークロードの肉は市場に出回っていないんだ。」
「そうです。」
「その割に、バハローの肉は出回っているな。」
「バハローは、マシクフのダンジョンの一階層で狩れますから。」
「あぁ、だからオークロードの肉の方が、バハローより高いんだ。」
「はい。」
「俺的には、オークロードよりバハローの方が美味いと思うんだがな。」
「希少性を考慮した結果でしょう。」
「ふ~ん。」
「ケイジ様?」
「ギルドでは、マスターバハローの肉はいくらで買うんだ?」
「は? マスターバハローの肉ですか?」
「あぁ。」
「買い上げたことは無いですね。」
「は?」
「直接肉屋に降したという話しか聞きません。」
「あ~、因みに幾らになるんだ。」
「キロ2Gとか、」
「あ~、成程。」
「ケイジ様は、何か心当たりが?」
「その辺の肉屋で一頭6000Gで買い取ってくれるぞ。」
「一頭から150の肉が採れるとして、ギルドだと300G、相場の20分の1だな。」
「成程。」
「買い取り価格が適正じゃないな。」
「そう言えば、此処数十年見直しをやっていませんでした。」
「見直した方が良いんじゃないか。」
「そのようですね。」
「アイリーン。」
「はい、ケイジ様。」
「今晩はマスターバハローの肉で、焼肉パーティーをヤミノツウの孤児院の庭でやろうと思う。」
「え? 私は?」
「来ても良いぞ。」
「その言い方は、自力でこいと言っているように聞こえますが?」
「ふふ、紫炎とどの程度通じているかだな。」
「え?」
「紫炎に頼めば繋いでくれるぞ。」
「え?ケイジ様?」
「じゃぁな。」そう言って俺は潜った。
やっと折り返しだ。
拙い作品を呼んでくれる方に感謝!