やらかしの49
「お義父さん、お義母さん、最初に言っておきますが、この店のメイドはなんちゃってメイドですので、作法云々は無視して、場の雰囲気に流されてください。」
「うむ、ケイジ君、何度聞いても理解できないのだが。」
「と、とりあえず、当家のメイド達とは違うと言う事なのですね。」
「はい、ここは、一部の大きいお友達が特異な空間を楽しむ場所なのです。」
「うむ、解らないが理解するよう努める。」
「私も覚悟を決めました。」
「はぁ、では、お義父さん、お義母さん、入りますよ。」
「お帰りなさいませぇ、ご主人様、お嬢様。」
「な。」
「お、お嬢様?」
「お義母さん、ここでは女性はすべてお嬢様なのです。」
「あら、嬉しい事。」
「ご案内いたしますぅ。どうぞこちらへ。」俺達は奥のボックス席に案内される。
「ご注文をお受けいたします。」
「おぉ、萌え萌えオムライスと、セットの恋するオレンジジュースを人数分頼む。」
「はい、ご主人様、喜んで。」
「お義父さん、お義母さん、これから起こることはスルーして下さいね。」
「あぁ、解った。」
「おほほ、楽しみです。」
そして、萌え萌えオムライスがテーブルに並べられる。
「メイドの萌えを注入致しますね。ご主人様、お嬢様も、御一緒に、萌えを注入してくださいませ。」
「萌え、萌え、愛情注入!」
「「「萌え、萌え、愛情注入。」」」
「ほほほ、何ですか今のは?」
「儀式です。」
「まぁ、儀式、おほほ愉快です。」
「で、これがオムライスですか?」
「えぇ、お母様、これがそうですわ。」
「おぉ、これが、楽しみですね。」
「初めて食べた時は、感動いたしました。」
「おぉ、それはそれは。」
「ほほ、ではいただきましょう。」
二人はスプーンを持って、オムライスを口に入れる。
「むぐ!」
「はう。」二人とも固まった。
(普段、味が薄い物しか食べていないなら、ケチャップライスはガツンとくるだろうなぁ。)
「おぉ、確かにこれは初めての味だ。」
「カリナの言う事を理解しました。」
「お口に合ったら良かったです。」
俺はテーブルの隅にいるヒドラを見る。
「ヒドラ、さっきからずっと黙っているのは何でだ?」
「えぇ、ご主人様、圧倒されていましたわ。」
「まぁ、気にせず、ヒドラも食べろ。」
「ほほほ、えぇ、いただきますわ。」
「あら、これはこれは、刺激的な味です。」
今回は、カリナ、カリナの父母、ヒドラだけがここラバハキアに来ている。
実際には、サランも指輪の中にいるが、今回は出てこないみたいだ。
「おぉ、御主人様、ご来店歓迎いたします。」
「ケイジ様、ご機嫌麗しゅう。」
「おぉ、ダンサにカスリー、息災か?」
「えぇ、おかげさまで、ケイ×ラドの話も・・・。」
「はぁ?」カスリーがヒドラを見て固まった。
「おや、カスリー、お久しぶりですね、私とご主人様がどうなるのですか?」
「あの、ラド、ヒドラ様、何時からそのような御姿に?」
「おぉ、カスリー、私は此処にいるご主人様に添い遂げました。」
「な。」
「その時から、この姿です。」
「おぉ、男のお姿だったから、ケイジ様との絡みが貴かったのですが。」
「おい、カスリー。」俺がカスリーに視線を向ける。
「ほほほ、私は、自分の意志で性別を変えられるのですよ。」
「な?」カスリーが凄く残念そうな顔をする。
「ダンサ様、冬の祭典の出し物を変えないといけません。」
「カスリー、3日ほど徹夜をすれば修正は可能です。」
「えぇ、ダンサ様、頑張りますわ。」
「それでは、御主人様、ダンサは貴い作業に戻りますので、これにて失礼いたします。」
「ケイジ様、ヒドラ様、カスリーも同じくです。」
「はぁ。」俺はため息をついた。
俺達は食事を済ますと、ベカスカのゴーショーノ家の前に潜った。
「いやぁ~、ケイジ君、美味しかったよ。」
「おほほ、本当に堪能させていただきました。」
「お義父さん、お義母さん、それは良かった。」
「それで、ケイジさん。」セリナが俺に言う。
「はい?」
「もつ鍋って何ですか?」
「は?」俺は、カリナを見る。
カリナはにっこりと笑いながら目を逸らす。
「ケイジさん、とりあえず家の中に。」セリナさんが俺の肩を掴んで門の中に引きずり込む。
俺の力なら振り払えるが、俺はおとなしく引き吊り込まれた。
「お義母さん、俺が料理長に伝授すれば良いですか?」俺が言う。
「ほほほ、お願いいたします。」
「カリナ、俺を調理場に案内しろ。」
「はい、旦那様、こちらです。」
「では、お義父さん、お義母さん、失礼します。」俺はそう言って調理場に行った。
「これは、これは、ケイジ様、宜しくお願いいたします。」料理長が俺に言う。
「大きな物を解体できる処は?」
「はい、こちらに。」
「おぉ、これなら申し分ないな。」
「料理長、バハローの解体は?」
「え?そんな高級食材、やったことないです。」
「あっ、そう。」
(ふむ。)俺は紫炎に頼み、ムーニャに繋いでもらった。
「ムーニャ。」
「にゃ?主様?」
「今何してる?」
「にゃ、孤児院の掃除にゃ。」
「あぁ、其れなら良いか、紫炎繋いで。」
「はい。」
「あれ?主様?」
「ムーニャ、こっちに来て手伝ってくれ。」
「はいにゃ。」そう言いながら、ムーニャは慣れたように潜ってきた。
「おぉ、転移ですか。」
「流石ケイジ様だ。」
そこにいた、料理長と料理人がざわつくが無視だ。
「ムーニャ、バハローを解体してくれ。」
「にゃ、分かったにゃ。」
「な、バハローの解体?」
「そんな高級食材を獣人が?」
「お前らも、見て覚えろ。」そう言うと俺はマスターバハローをそこに出した。
「な、マスターバハロー!」
「は、初めて見た。」
「にゃ、行きますにゃ!」ムーニャがごつい包丁を手にしてバハローを解体していく。
俺も希少部位の切り取りをこっそりと行う。
(いや、価値が解んない奴らに食わせたくないからな。)
「で、此の内臓の処理だが。」俺は料理長たちに、前にやった事を実演した。
「おぉ、そんな方法が。」
「成程、納得しました。」
俺が内臓の掃除を終えるころ、ムーニャがやり遂げた顔をして言う。
「主様、終わりました。」
「おぉ、ムーニャ、ご苦労さん。」
「にゃ、朝飯前にゃ。」
そこには、部位ごとに肉の塊が分けられていた。
「ムーニャ、タンを下処理してくれ。」
「にゃ、了解にゃ。」
「ケイジ様、何を?」
「とりあえず、お前達(料理人)に色々食わせるが、一緒にお義父さんとお義母さんにも食べてもらうからな、適当なところで呼んで来てくれ。」
「はい、仰せのままに。」
俺は、虚無の部屋から先日買ったコンロを取り出す。
「確か、此処に魔石を入れると動くんだったな。」
俺は、コンロに屑魔石を灌ぐ。
「ブオン!」聞きなれない音と共にコンロが起動する。
「う~ん、熱源の温度がどの位か分らないから、つまみの位を半分ぐらいの処で使ってみるか。」
暫くすると、コンロの鉱石が熱を帯び始めた。
「おぉ、良い調子だ。」
「主様、タンの下処理終わりました。」
「おぉ、ムーニャ、葱も用意してくれるか?」
「はいにゃ。」
俺はムーニャから受け取ったタンを厚めに切っていく。
「おぉ、コンロも良い具合だな。」俺はそう言いながら、タンをコンロの網の上に乗せる。
ジュワ~
タンから出た油が、コンロの鉱石に落ちて良い臭いを漂わせる。
「おほ、良い具合だ!」俺はそれを見て言う。
前と同じように、タンを焼いた後、裏返して刻んだ葱をのせ、塩胡椒を振りかける。
「料理長から食ってみろ。」
「おぉ、ケイジ様の仰せのままに!」料理長がタンを食って固まる。
「マスターバハローの舌がこんなに美味いとは。」
「あんまり外部に広めないで、ゴーショーノ家で秘匿した方が良いんじゃないか?」
「は、そういたします。」
「で、もつ鍋だ。」
「おぉ、そうでした。」
「掃除したモツを食べやすい大きさに切って、鍋でキャベツと韮を入れて煮るんだ。」
「其れだけですか?」
「おぉ、モツから良い出汁が出るんだ。そこに塩や、醤で味をつけるんだ。」
「おぉ、それはそれは。」
「キャベツからも良い出汁が出るぞ。」
「おぉ。」
「大蒜は多めにスライスして鍋に入れると良いぞ。」
俺は、自分の記憶にある情報を惜しげもなく提供した。
「ついでにすき焼きも作っておくか。」
「すき焼きですか? それはどの様な?」
「ムーニャも興味あるにゃ。」
「食材を見せてくれないか?」
「はい、こちらです。」
「おぉ、これは白菜か。」
「おぉ、シイタケみたいなキノコもあるな。」
「其れと葱。」
「生で食べられる卵は?」
「こちらです。」
「おぉ、其れも頼む。」
「白滝とか豆腐は無いよなぁ。」
「白滝って何ですにゃ?」
「コンニャク芋を粉にして、固めたものを突き出した細いこんにゃくだ。」
「これかにゃ?」ムーニャが虚無の部屋から取り出す。」
「おぉ、其れだよ。」
「ヒモニャクにゃ。」
「ケイジ様、豆腐とは?」
「おぉ、大豆と言う豆を煮て、すり潰したものを布でこして、塩を作るときにできるにがりを入れて固めたものだ。」
「ケイジ様、これでしょうか?」料理長が暗い部屋から持ってくる。
「どれ?」俺はそれを口に入れる。
「おぉ、正しく木綿豆腐。」
「これは、煮固豆です。」
「あと、春菊ないかな? えのきだけも欲しいな。」
「春菊? これかにゃ?」またムーニャが虚無の部屋から取り出す。
「おぉ、正しくこれだ。」
「食用菊にゃ。」
「ムーニャ、俺が前にいた所では、それは食べられる花の名前だったな。」
「へぇー、主様の処でも、お花を食べるにゃ?」
「あぁ、一部の地域だけだったけどな。」
「ケイジ様えのきだけとは?」
「あぁ、白くて細長いキノコだ。」
「これでしょうか?」
「おぉ、うん、臭いもそれっぽいな。」
「これは、幽霊茸と呼ばれているにゃ。」
「よし、材料が揃ったな。」そう言いながらさっきの部屋に戻ると、ゴーショーノさんとセリナさんがもつ鍋とタン塩を貪っていた。
「おぉ、ケイジ君、これは美味いな。」
「ほほほ、カリナったら、なぜもっと早く教えないのですか。」
「お義父さん達が喜んでくれて何よりです。」
「料理長さん、5cm位の鍋は無いですか?」
「え?5cmとは?」
「中指の2関節分の長さです。」そう言いながら俺は右手の指を左手で示す。
「あぁ、これですか。」そう言いながらフライパンを持ってくる。
「あぁ、違いますけど、これで良いです。」
「ムーニャ、バハローのバラを薄切りにしてくれ、あと脂身を少し、これに入れてくれ。」俺は手に持ったフライパンを示す。
「はいにゃ。」そう言うと、ムーニャは解体したバハローから脂身を切り出して、俺の持つフライパンに投げ入れた。
そして、バラ肉の塊を凄い速さで薄切りにしていった。
「おぉ、ムーニャ凄いな、負けてられないか。」そう言うと俺は、具材をそろえ始めた。
「白菜は縦に4分の一にして、5cmで切り分ける。」
「葱は鍋の深さと同じ長さに切る。」
「白滝は一度湯でこぼしておいて。」
「シイタケっぽいキノコは足を切って飾り切りっと。」
「豆腐は、魔法で焼いて焼き豆腐に。」
「春菊は洗って、5cm位で切るっと。」
「準備オッケーだな。」
「まず、フライパンに、酒と味醂を半カップ入れ、沸騰させる。」
「主様、半カップって何ですにゃ?」
「このコップの半分だ。」
「沸騰させるのは何でにゃ?」
「アルコールと言う、酒の成分を蒸発させるんだ。」
「成程にゃ。」
「そして、そこに半カップ分の醤を入れる。」
「にゃ?」
「そして、砂糖を大匙3入れる。」
「大匙って何にゃ?」
「あー、計量できるスプーン?」
「スプーンの大きさで分量を量るって事にゃ?」
「ムーニャ、本当に賢いなぁ。」俺はムーニャの頭を撫でる。
「にゃ、主様、凄く嬉しいにゃ。」
「アルコールが飛んだら、それを別の容器に移す。」
「にゃ?」
「そして、ここからが本番。」
「にゃ?」
「フライパンを熱する。」
「はいにゃ。」
「温まったら、脂を入れる。」
「はいにゃ。」
「脂が良い具合に溶けたら。」
「溶けたら?」
「薄切りにした肉をその油で焼く!」
「暫く、焼いた肉の具合を見て、半生の状態になるったら、さっきの液体を入れる。」
「じゅわ~。」
旨そうな音が聞こえる。
「そして、白菜で仕切りを作って、キノコや豆腐、葱を入れて、肉の反対側に白滝を入れるっと。」
「なんで、肉から離すんにゃ?」
「近くで煮ると、肉が固くなるんだ。」
「へぇ~。」
「最後に春菊をかぶせて、蓋をして少し煮る。」
「お椀あるか?」
「これで良いでしょうか?」
「おぉ、これに卵を割り入れて・・」片手で卵を割りお椀に入れる。
「これを溶いて。」虚無の部屋から出した箸で卵を溶く。
「さて、もう良いかな?」俺は蓋を開ける。
途端に、良い香りの湯気が上がる。
「で、肉や野菜を溶いた卵に入れて、ほい。」俺はお椀を料理長に渡した。
「では。」料理長は、フォークを取り出してそれを口に入れる。
「ふわぁ。」
「毛、ケイジ君、私にもくれないか?」
「はい、お義父さん。」そう言って数個のお椀を用意すると、先程と同じように卵を溶き、具材を入れて皆に渡す。
「おぉ。」
「ほほほ。」
「にゃ~。」
「これは。」
「美味い。」
「なんと。」
「あと、たれも作るか。」そう言って、醤油をコップに半分入れ、砂糖大匙5、ごま油らしきもの小さじ1/2、大蒜のすりおろし少し、生姜のすりおろし少し、胡椒一振り、唐辛子みたいなもの少しを入れて混ぜる。
指に漬けて舐めると、コクが足りなく感じる。
「料理長、大きな豆を加工して作った調味料ないか?」
「むぐ、ごほごほ、あります。」すき焼きを喉に詰まらせながら、料理長が棚から取り出す。
「どれ?」俺はそれを箸で少し摘まみ口に入れる。
「おぉ、豆板醤っぽいな。」それを小さじ1/2入れる。
「あと、ゴマがあれば完璧なんだが・・」そう言いながら虚無の部屋を覗くと、似たようなものを発見した。
「おぉ、これで良いか。」俺はそれを魔法を使って熱して、香ばしい匂いを出し、作ったたれに入れた。
「そして、肉。」俺はロースの部分を少し厚めに切って、網に乗せる。
「ジュワ~。」良い音を出して肉が焼け始める。
「小皿あるか?」
「はい、此処に。」
「おぉ、俺は小皿に、さっき作ったたれを入れる。
「肉が焼けたので、お義父さんからどうぞ。」俺はダンナーさんに小皿を渡し、焼けた肉を小皿に入れる。
「おぉ、どれ?」ダンナーさんが肉を口に入れ小躍りした。
「うみゃい!」
「さぁ、お義母さん、料理長も。」俺は焼けた肉を小皿に乗せていく。
「ほほほ!」
「ななな。」
「ほれ、ムーニャ。」
「にゃ~。」
「後は、好きに食べて良いぞ。」と言うと、料理人たちが思い思いに肉を切って、網に乗せて焼いていく。
「お前達、私にもよこすのだ。」ダンナーさんが肉を要求しているが、3回に一回ぐらいしか供給されていないな。
「ほほほ。」お義母さんが小皿を差し出すと、すぐに焼けた肉が載せられてる。
「この家のカーストが解るな。」俺はそう言いながら、さっきちょろまかした希少部位を隅っこでこっそりと焼いて堪能していた。
「主様、それは?」
「しぃ、ムーニャ騒ぐな。」
「はいにゃ。」
「ほれ、ムーニャにもやるから。」そう言って俺は三角と呼ばれる部位を焼いたものをムーニャの皿に乗せてやる。
「うにゃ!」ムーニャはそれを食って尻尾を膨らませた。
「ん、ケイジ君、どうしたんだ?」
「いや、辛いのを食べたみたいです。」
「おぉ、そうか、誰か水を持ってきなさい。」
「いえ、お義父さん、大丈夫です。」
俺は、コップに魔法で水を出す。
「其れよりも、お食事を。」
「あぁ、ケイジ君楽しんでるよ。」
「それは良かった。」俺はにこりとほほ笑む。
「主様、凄く美味しかったにゃ。」ムーニャが俺にこっそりと言う。
「希少部位だからな。」
「他にもあるにゃ?」
「トンビ、ミスジ、イチボがそうだ。」
「うにゃ、紫炎それを虚無の部屋に。」
「了。」
「おい。」
「後で皆で食べるにゃ。」
「まぁ、良いか。」
「ケイジ君、此のコンロを譲ってくれないか?」お義父さんが俺に言う。
「申し訳ありませんが、孤児院に寄付するつもりなのです。」
「な、そうなのか、残念だ。」
「ベカスカの道具屋で購入したので、予約しておけば手に入ると思いますが。」
「おぉ、誰ぞあるか。」
「はい、旦那様。」
「今すぐ予約するのだ。」
「はい、仰せのままに。」
「ケイジ様、捌いた部位が減っているような気がするのですが。」
(ギクッ!)
「え? 自分たちで食ったんじゃないか?」俺は目を泳がせながら答える。
「あぁ、そう言えば部下が色々試していましたな。」
「今回はこんなところで良いですか、お義父さん。」
「むぐっ、え? ゲホゲホ、あぁ、ケイジ君、堪能したよ。」
「ほほほ、まだありますよね!」
(セリナさん、怖いです。)
「ははは、お義母さん、一度に全部は無理がありますよ。」
「ほほほ、今回はこれで勘弁して差し上げますわ。」
「ははは、痛み入ります。」
「ほほほ、次はこれ以上の者を期待していますよ。」
「ははは、私の引き出しはそんなにありませんよ。」
「ほほほ、ケイジ様に限って、そのような。」
「ははは、御冗談を。」
「ほほほ。」
「ははは。」
「なんか、笑い声だけで会話が成立しているにゃ。」
「では、お義父さん今回はこれで失礼させていただきます。」
「おぉ、ケイジ君、大儀であった。」
「では。」俺とムーニャはヤミノツウの華厳の店に潜った。
え? カリナ? 勿論置いてきた。
セリナさんに俺を売った罰だ。
一週間ぐらい無視するつもりだ。
可哀そう? 何それ? 美味しいの?
何だろう、グルメ小説になってる気がする。
いや、違うんだ、冒険譚の筈なんだ。
きっとそうなんだ。




