やらかしの35
「そう言えば、ケイジ兄ちゃん、ヤミノツウでパオとかシャオマって言う食べ物があるんだって。」
「あたしも聞いたことある。それって美味しいのかな?」
すでに机の上の唐揚げや串焼きはなくなっている。
「なんでもパオは、ルズイで新しい調理法が開発されたとか。」寮母たちも話に加わる。
「ミーニャ姉ちゃんたちは食べたことある?」
「あるにゃ。」
「え~、ずるい~。」
「だって、主が作ったにゃ。」
「え?ケイジ兄ちゃんが?」
「マジで?」
「食べた~い。」
「おいおい、お前ら。」そう言いながら人数を確認する。
(子供が15人に、寮母さんたちが4人か。)
「紫炎。」
「はい、ケイジ様。」ヤミノツウの華厳の店に繋いでくれ
「はい。」
「華厳。」
「おわぁ、け、ケイジ様ですか?」
「あぁ、23人だが大丈夫か?」
「はい、二階が空いてます。」
「よし、ガキども行くぞ。」
「何これ?」
「ケイジ兄ちゃん凄い。」
「早く入れ。」
「押すなよ。」
「寮母先生たちもどうぞ。」
「え?私達も良いのですか?」
「もちろん。」
「ほら、お前ら、そこの階段で2階に行け。」
「は~い。」
「華厳、シャオマとパオを人数分な。」
「パオは、どうしましょう?」
「全種類で良いよ、あ~数は半分に減らすか。」
「はい、仰せのままに。」
「あと、ラメーンは出来るか?」
「はい、大丈夫です。」
「じゃ、それも人数分な。」
「はい。」
「これ、代金な。」そう言って虚無の部屋からビットが入った袋を出す。
「おぉ、必要ありません。」
「前にも言ったが、受け取れ。」
「しかし。」
「受け取れ。」
「はい。」
俺は二階に上がる。
「ケイジ兄ちゃんだ。」
「あたしの隣に座って。」
「いや、俺の隣だよ。」
「こらこら、喧嘩するな、俺はミーニャとムーニャの隣に決まってるからな。」
「ちぇ、つまんないの。」
「お前たち、パオは4種類来るが、量は半分だ。」
「え~?」
「その代わり、シャオマとラメーンも来るからな。」
「やった~。」
「ムーニャ、サラン、各テーブルで俺式のパオとシャオマの付けダレを作ってくれ。」
「はいにゃ。」
「マスター、任せてくれ。」
「このテーブルは、俺が作るか。」
俺は、いつもの通り3種類の付けダレを作る。
「パオの作り方は、ルズイで広めたんだけどな、付けダレは広めてないから、此処にいる奴らしか知らない事だぞ。」
「流石、ケイジ兄ちゃんだな。」
「俺、ケイジ兄ちゃんの弟でよかったよ。」
「あと、シャオマは辛子醤で食べろよ。」
「辛子を入れすぎると、泣くから気をつけろ。」
「辛子酢醤でもいいかもな。」
暫くすると、アヤを筆頭に、孤児たちがパオを持ってくる。
「ケイジ兄さま、お待ちどうです。」
「おぉ、アヤ、手伝いご苦労だな。」
「いえ、妻の務めです。」
「え? ケイジ兄ちゃん、此処にも奥さんがいるのかよ。」
「なんか知らんが、なし崩しに増えていくんだよ。」
「なんか、ずるい!」
「いや、俺も何だか判んないよ。」
「え~。」
「いや、良いから食え!」
「パオは各種類、一人3個な、全部食べた後でなら、お代わりを認めるぞ。」
「いただきま~す。」
「おぉ、これ美味い!」
「よかったな。」
「あぁ、寮母先生たち、ラガー行きますか?」
「え? あの、良いのでしょうか?」
「アヤ、ラガーを6個と、全員に蜜柑ジュースな。」
「はい、ケイジ兄さま。」
「華厳様、オーダーですぅ。」
「ラガー6、ミカジュウ25ですぅ。」
ちゃっかり自分達の分まで入れやがった。
アヤはこっちを向いて、ペロッと舌を出した。
(可愛いじゃないか、くそ。)
暫くすると華厳がラメーンを持ってきた。
「おぉ、焼き豚と煮卵も再現したのか?」
「はい、自分でもうまくいったと思っています。」
「どれ。」俺は焼き豚を口入れる
「おぉ、良くできてるな。」
「ありがとうございます。」
「どれ、玉子は?」箸で割ると、中からとろりと黄身が流れ出る。
俺はそれをスプーンですくい、玉子の半身と一緒に口に入れる。
「うん、合格だ。」
「ありがとうございます、ケイジ様のおかげです。」
「いやぁ、華厳の努力だよ。」
「もったいないお言葉。」
「もう、売り出してるのか?」
「いえ、まだです。」
「いいぞ、売ろう。」
「は!」
「ラメーンって、どうやって食べるの。」
「ムーニャをマネするにゃ。」
「この棒使いにくい。」
「おぉ、それは箸と言ってな、慣れれば小さい物も摘まめるようになるぞ。」俺はそう言うと麺を一本だけ箸でつかむ。
「おぉ、すげぇ。」
「あ~、そうだ、華厳。」
「はい、ケイジ様。」
「スープを飲むのにスプーンじゃ味気ないな。」
「私もそう思いました。」
「レンゲを作るか。」
「レンゲ?」
「紫炎。」
「はい、ケイジ様。」
「俺って、魔法で物とか作れる?」
「可能です。」
「どうやるんだ?」
「クリエイトです。」
「素材に対して、作りたいものをイメージし、この呪文を唱えます。」
「どれ、華厳、小皿を何枚か貰うぞ。」
「え?ええ、どうぞ。」
「よし、この皿を重ねて・・クリエイト!」言った瞬間に小皿が発光し、そこにレンゲが2個転がっていた。
「今の光でごまかして、誰かが交換したんじゃないよな。」
「ケイジ様の魔法です。」
「まぁ、いいや。どれ使ってみるか、華厳も使ってみろ。」
「は。」
「お~、これだよ、このくらいの量を飲まないとな。」
「なるほど、これは良いですね。」
「皿の材質と同じだから、作れる職人もいるだろう。」
「ここにはいませんが、この皿を作った者が、ケイジ様の部下におります。」
「おぉ、じゃぁ、そいつに50個ぐらい作らせれば良いな。」
「はい。」
ベカスカの孤児たちの何人かは、無言でパオやシャオマを食べていた。
そして、ラメーンを食べ終えるころ、俺の前に来て言う。
「ケイジ兄ちゃん。」
「おぉ、何だ?」
「この店で働いてる、何人かは孤児だよね。」
「おぉ、そうだ。」
「俺もここで働きたい。」
「ケイジ兄ちゃん、俺もだ。」
「あの、私も。」
「わたしも良いですか?」
「これだけか?」
「僕も出来れば。」
「私も!」
「と言う事なんだが、華厳どうかな?」
「おぉ、ケイジ様縁の者なら大歓迎です。この店で修業をして、故郷で店を出すのもよいでしょう!」
「その場合は、俺が出資してやるよ。」
「ケイジ兄ちゃん、マジ神。」
と言う事で、ベカスカから6人がヤミノツウの孤児院に移ることになった。
(孤児達も、まじめに働く意思があるのは良いことだ。)そう思いながら、俺はラガーを飲んだ。
全員の腹が満たされたことを確認し、俺達がベカスカに戻ることを華厳に告げる。
「ケイジ様、これは余った分です。」華厳が、ビットの入った袋を渡してくる。
「いや、モブに渡して、孤児院の資金にしろと伝えてくれ。」
「はい、判りました。」
「ここに来たい孤児たちの荷物をまとめさせて、連れてくるから、モブに言っておいてくれ。」
「御意。」
俺たちは、来た時と同じように虚無の部屋を通り、ベカスカの孤児院に着く。
「んじゃ、お前たち、ヤミノツウに行く奴らは、明日の朝までに荷物をまとめて用意しておけよ。」
「「「「「「はい。」」」」」」
「ケイジ兄ちゃん、美味かった~。」
「また連れてって下さい。」
「おぉ、寮母先生の言う事を聞いて、手伝いをしたらな。」
「「「「「「「「は~い。」」」」」」」」
「では、寮母先生、俺達はこれで。」
「ケイジ様、この度は色々ありがとうございました。」
「いえ、なんでもありません、また来ます。」そう言うと、俺は紫炎に言う。
「紫炎、カリナの屋敷の前に繋いでくれ。」
「それでは。」そう言うと、俺達は虚無の部屋に入った。
ドライブレコーダーが壊れていることが発覚。
映像が2年前で記録されてる。
23日の関越雪道ノーマルで強行も見ようと思ったら、上書きされてる。
今日の近所の映像とか、平和すぎる。><




