やらかしの99
「いや~、飲んだなぁ。」
「そろそろお暇いたしましょう。」ザードが言う。
「では、ザードの家へ。」
紫炎がそこに繋ぐ。
「此度の宴、感謝する、そしてバラン殿、貴方とは友好を願う。」ザードがそう言いながら礼を取る。
「その願い受けよう、ザードよ、お前は我が友として我に相対せよ。」
「は、ありがたき幸せ。」ザードは礼をして虚無の窓を潜る。
「で、我をヤゴナまで送れるか?」バランが言う。
「対価は?」
「ヤゴナの城に着いたら考える。」
「あぁ、問題ない。」
「では、頼む。」
「紫炎。」
「はい。」バランが消える。
「ヤゴナに一番近いところは?」
「カオズシのギルド前です。」
「そこからヤゴナまでの距離は?」
「145Kmです。」
「え~っと、、3跳躍?」
「はい。」
「一刻かからない?」
「はい。」
「はぁ、まあ良いか。」カオズシのギルド前に潜った俺は、ため息をつきながら跳ぶ。
「わははは。」
「のほほほ。」
「むははは。」
一刻後、俺はヤゴナの門の前に着いた。
「おぉ、流石王都だ、人の流れが違う。」そう言いながら、バランを虚無の部屋から出す。
「おぉ、ヤゴナだ。」バランが驚愕する。
「因みに、一刻程過ぎているぞ。」
「たった一刻?」
「あぁ、その通りだ。」
「我が、お前の所まで飛んでいくのに、4刻掛かっているのだぞ。」
「へぇ~。」
「またその反応か。」
「いや、他にどう言う反応をしろと?」そう俺が言った時に、俺たちの番になった。
「身分を証明するものは?」
「ん!」俺はベカスカのギルドカードを見せる。
「おぉ、Aランクの方ですか、初めて見ました。どうぞお通り下さい。」
「おぉ。」俺はそこを通る。
「身分を証明するものを。」門番がバランに言う。
「あ? この顔だ。」バランが言う。
「申し訳ありません、それは身分の証明になりません。」
「ほぉ、良い度胸だ、お前の名前は?」
「私の名前は、身分の証明に関係ありません。」
「よく言った、ではその身を「おい、お前の上司を呼んで来い。」俺はその会話に割り込んだ。
「え?」
「俺のギルドランクを信じて、お前の上司を呼んで来い。」
「わ、判りました。」その男が部屋の奥に走っていく。
「ちっ、邪魔をしおって。」
「その程度で滅していたら、部下がいなくなるぞ。」
「むぅ。」
「俺を呼ぶのは誰だ。」部屋の奥から屈強な男が現れる。
「我だ。」バランが言う。
「げぇ、バラン様。」
「おぉ、我がバランだ。」
「はひぃい。」先程バランを止めた男がその場で跪き、その足元が生暖かい液体で濡れる。
「申し訳ございませんでした~。」そしてそのままひれ伏す。
「ふん。」バランはその男を無視して、門を潜る。
俺は、バランの後に続いた。
そして、そのまま城の前に着く。
バランは気にせず、城の門に近づく。
「門を開け。」バランに気が付いた門番が叫ぶ。
音もなく門が開いていく。
バランは、そのまま門を潜る。
俺もバランの後に続いた。
「貴様、何の真似だ?」
「この門を通れるのは、バラン様のみ。」
「その行為、万死に値する。」そう言いながら騎士たちが俺に刃を向ける。
「バラン、これがお前の意思か?」俺が前に行くバランに問う。
「愚か者、その男は我が明友ケイジだ、その男に害する者は我を害する行為だと知れ。」バランが叫ぶ。
其の途端、俺に刃を向けていた者たちが平伏する。
「さぁ、こっちだ。」バランが俺を招く。
「おぉ。」俺はそれに続いた。
「でかい城だな。」そう思いながらバランの後について行くと、そこに強大なプレッシャーを放つ魔族がいた。
「おぉ、ボルカ、そこにいるのは我の明友のケイジだ、持て成してやってくれ。」
「おぉ、バラン様、仰せのままに。」
と言いながら、俺への殺気が凄い。
「あぁ、俺はケイジだ、宜しくな。」
「ちっ、ごみ虫が私に口をきくとは。」
「あ?」
「人間のごみ虫が私に口を利くなど、1000年早い。」
「お~い、バラン、お前の教育が駄目な奴がいるぞ。」
「ボルカ、ケイジは我の明友だ、それなりの扱いをしろ。」
「ふふふ、バラン様、たかが人間にそのような。」
「待て、ボルカ、お前ではケイジに敵わないぞ。」
「わははは、バラン様ともあろうお方が、人間に肩入れするとは、落ちたものですね。」
「え~っと、こいつ俺の敵ってことで良いか?」
「いや、待ってくれ、ケイジ、ちょっとした行き違いだ。」バランが言う。
「おぉ、そうか。」
「良いか、ボルカ、ここにいるケイジは我らが束になっても敵わないお方だ。」
「はぁ、たかが人間が?」
「お前に、ケイジのレベルが見えるか?」
「いや、見えないが、隠ぺいに優れた奴なんだろう。」
「お前は、ケイジに勝てるのか?」
「楽勝だろう。」
「その根拠は?」
「たかが人間だ。」
「良いか、我でもケイジには勝てない。」
「ふははは、バラン様、日和りましたか。」
「ちが「ケイジ、我の鉄槌を受けろ!」ボルカが己の最大の技を繰り出す。
「あふぅ。」俺はあくびをしながら、その技を受け流す。
俺は、一切影響を受けずにそこにいた。
「な?」
「ギルティ!」俺はそう言いながら一瞬でボルカの前に跳び、その額にデコピンをくらわす。
「ふぎゃぁぁあぁあっぁ、」ボルカが回転しながら飛んでいく。
「命があればいいな。」俺が言う。
「いや、あれは無理だな。」バランが言う。
「部下に対して、薄情だな。」
「いや、我はいつでも独りだからな。」
「お前、本当に独りなんだな。」
「あぁ、そうらしい。」
「そうか。」俺はそれ以上追及するのをやめた。
「うぐぐ、これほどまでとは。」
「お、生きてた。」
「ボルカ、認めろ、ここにいるケイジは、我ら以上の存在だ。」
「ぐぬぬ。」
俺はボルカの前まで歩いて行き、しゃがむ。
「お前が俺を気に食わないなら、試しをするか?」
「試しだと?」
「あぁ、お前は既に俺に攻撃をしているが、もう一回俺を殴ることを許そう。」
「お前を殴る?」
「あぁ、全力で良いぞ、俺は防御しない。」
「なめるな!」ボルカが俺を正拳で打つ。
「ひぎゃぁぁぁ。」ボルガの右腕が肘まで崩れる。
「ヒール。」
「うがぁぁ、あれ?」ボルガの腕は瞬時に治っている。
「つ。」
「ボルカ、身の程をわきまえたか?」バランの言葉で、ボルカが俺の靴に額を当てる。
「大変失礼をいたしました、このボルガ、ケイジ様に忠誠を誓います。」
「お前たち魔族って、本当に面倒くさいな。」
「ははは、認める。」
「んで、俺をここに呼んだ理由は何だ?」
「あぁ、国王前婚は、爵位が必要なんだ。」
「初めて聞いたぞ。」
「あぁ、前回の開催から何年だ?」
「69年です。」ボルカが言う。
「で、ケイジに爵位を与えなければならない。」
「いらないなぁ。」
「国王前婚をしたいのだろう?」バランが良い顔で言う。
「くっ。」
「まぁ、ケイジなら簡単だな。」
「何が欲しい?」
「カラーボアで伯爵、ハイコカトリスで侯爵、マスターボアで公爵だな。」
「公爵はいらないな。」
「え~、我はマスターボアを食いたい。」
「知らん。」
「イエローボアで良いか。」
「え~、もっと上の奴を出せよ。」
「爵位に興味ない。」
「バラン様、いったい何の話をしているのですか?」
「おぉ、ボルカ、そこにいるケイジはマシクフのダンジョンを踏破して、マスターミノタウルスの肉を所持しているんだ。」
「なぁ、マスターミノタウルス?」
「あぁ。」
「それを国王に献上すれば、私と同じ宰相の地位が手に入ります。」
「興味ない、俺がその気になれば、お前らは一瞬で消えるからな。」
「ケイジ様が、それに興味を示さないことを幸運に思います。」ボルカがひれ伏す。
「マスターコカトリスの首と羽そして爪なら?」
「公爵だな。」
「あ~いらないなぁ。」
「おい、ケイジ、お前欲なさすぎだろう?」
「だって、領土を持ったらそれを管理するんだろう、面倒くさい。」
「お前と言う奴は。」バランが顔を覆う。
「んじゃ、マスターボアの皮と肉を納品、爵位は侯爵で良いな?」俺が言う。
「ケイジ、お前本当に欲がないな。」バランが頭を振りながら言う。
「俺がその気になれば、この世界の王に簡単になれる。」
「否定できないな。」
「だが、それは詰まらない。」
「ふふふ、それでこそ我が明友だ。」
「んじゃ俺は帰る、国王前婚頼むな。」
「任された。」
「で、ここまで送った対価は?」
「爵位を。」
「ほぉ。」俺は人差し指を親指で抑え、バランのおでこの前に出す。
「いや、冗談だ、すまん、考えておく。」
「きっとだぞ。」そう言うと、城を後にした。
「さて、王国の道具屋に行くか。」
「ケイジ様、ナビします。」
「ははは、便利な機能だ。」
「ここです。」少し歩いて、店を見つけた。
「おぉ、邪魔するぜぃ。」
「いらっしゃいませ、どのような御用で?」
「ちっ。」
「初めてのご来店ですね。」
「あぁ、買い取りを頼む。」
「はい、ではこちらにどうぞ。」俺は買取カウンターに案内される。
「で、どのようなものを?」
「あぁ、ここに出していいか?」
「はい、どうぞ。」
俺は、そこにコカトリスの首と羽そして爪を取り出す。
「げぇ、コカトリス!」
「あぁ。」
「首も、羽も、爪も傷一つない一級品です、私の鑑定で50万Gです。」
「あぁ、それでいいや。」
「おぉ、それでは決済を。」
「まだあるんだ。」
「え?」
「出していいか?」
「はい。」
俺は、イエローボア、ブルーボア、レッドボアの毛皮をそこに出す。
「こ、これは、伝説にある。」その男がぶるぶる震える。
「これを買い取らせていただけるのですか?」
「あぁ。」
「国王様に献上すれば、領土と爵位を貰えるものです。」
「国王には、もっと良いものを献上する。」
「それは?」
「マスターボアだ。」
「其れも伝説級です。」
「で、買い取りは?」
「それぞれ100万Gで。」
「其れで良い。」
「はい、ではお支払いを。」
「もう一つあるんだ。」
「はい?」
「出していいか?」
「はい、どうぞ。」
俺はハイコカトリスの首、羽、爪を取り出す。
「ななな、こ、これは、ハイコカトリス?」
「おぉ、一発で解るんだ。」
「数十年前に、買い取りをしましたが、その時の買い取り価格が2000万Gでした。」
「へぇ、んじゃ其れで良いぞ。」
「え? 今はそれ以上になりますが?」
「いいよ、2000G万で。」
「ありがとうございます。」男がひれ伏す。
ブルーボアとレッドボアの皮は2枚あったので、全部で500万Gになった。
合計で2550万Gだ。
「元の世界で2550億か、グレートマスターボアや、マスターミノタウルスを売ったらどうなるんだろう?」俺は思う。
「決済終わりました。」
俺はカードを受け取って、ベカスカに潜った。
**********
「まだ時間も早いから、行ってくるか。」そう言って商業ギルドに向かう。
俺は、扉を潜り、商業ギルドのカウンターに行く。
「これはこれは、ようこそいらっしゃいませ。ケイジ様、ジアゲーでございます。」
「おぉ、またよろしくな。」
「はい、で、この度はどのようなご用件で?」
「孤児院の裏の森を伐採して、屋敷を建てたい。」
「はい、承ります。」
「あそこの森は、何坪あるんだっけ?」
「はい? ツボとは?」
「土地の広さの単位だ?」
「申し訳ございません、聞き覚えがありません。」
「あぁ、よその土地から来たからな、単位が違うんだな。」
「はい、長さの単位はこれです。」ジアゲーはそう言って1Bを取り出す。
「ほぉ。」
「この1Bの端から端までが1ナガです。」
(つまり、3cmが1ナガって事か。)
「これを10個並べると1テナガになります。」
(30cmが1テナガね。)
「1テナガを6個並べると1ハバナガです。」
(つまり180cm、1.8mね。)
「1ハバナガ、の縦横が1ヒロです。
(およそ1ヒロが一坪らしい。)
「で、孤児院の庭は1000ヒロ、その奥の森は3000ヒロです。」
「あぁ、あそこ広かったな。」
「俺はそう思う。」
「で、3000ヒロの森の伐採ですが、
「およそ3000Gです。」
「ふ~ん、で、そこに家を建てたい。」
「どのような?」
「普通の家で良いよ、部屋数は20ぐらいで、風呂は温泉かけ流し、各部屋には魔石で動く温度管理装置付き。」
「おほほ、素晴らしい。」
「家の周りは一応石作の塀を立ててくれ、出入り口は孤児院側と大通り側で。」
「はい。」
「家の排水は浄化して、裏の川に流すように。」
「はい。」
「装飾や家具は、ある程度の工事が進んだら、奥さんと決める。」
「ケイジ様、概算で2万Gです。」
「今回の職人さんは?」
「前回と同じ15人です。」
「おぉ、では決済してくれ。」
「あぁ、職人のボーナス100Gももちろんな。」
「おほほ、流石はケイジ様です、依然と同様、皆励みます。」
伐採代3000G、建築費2万G、職人15人分の、1500Gが消費される。
「どの位かかる?」
「前と同じ、およそ一か月で。」
「おぉ、楽しみだな。」
次の日に、孤児院裏の森が無くなった。
伐採した木は、魔法で乾燥させて、新居に使うらしい。
その分、材料費は安くなるそうだ。
因みに、孤児院側の土地1000ヒロを畑用地とすることにした。
暫くは土地を休ませ、カリーの材料を栽培しようと思っている。
おぉ、ついに次回で大台だ。
読んで頂いている皆様に、感謝を!




