変身
秋葉原から戻り、またいつも通り学校生活に徹する光。
その一方で、力声を含め、spiritはなにやら準備を進めていた。
秋葉原から戻ってきた二人だったが、光は学校があるので、力声が準備に徹することになった。
具体的なことを聞かされていないが、放課後手伝いに行くと言ったのだが、大丈夫と言われてしまった。
だから、力声の元へいくのは、少なくとも金曜日の放課後となる。
謎が多いが、今は任せるしかない。
学校に着くと、当然のようにいつも座っているハジメがいた。
「よっ!おはよう光」
片手を上げて軽く挨拶してきた。
「なんで毎度毎度いるんだよ」
「なにそのめーわくそうな顔〜」
「迷惑」
「はっきり言ったぞこの男!」
いつものように無理やりにでもどかすと、光はカバンを置く。
「和也は?やっぱ今日もギリそう?」
違うクラスのハジメはともかく、いつも先にいるはずの和也が見回してもいない。
最初たまにはそういうこともあるだろうと思っていたのだが、最近は時間ギリギリになることが多いのだ。
「うーん……」
ハジメは携帯を取り出し操作する。
「昨日送ったやつにも既読ついてないし、忙しいのかな……?」
ハジメはメッセージアプリを開いて確認していた。
「向かってるとは思うけど……」
和也のことを心配していると、ガラッと教室の扉が開き、皆その音を聞いて一瞬目を向けると、和也が入ってきた。
軽く肩が上下し、頬には少し汗が滲んでいる。きっと走ってきたのだろう。
「お、おはよー……」
いつものように軽く挨拶をしてきた。
「「おはよー」」
向かってくる和也に二人は返す。
「え、なに、走ってきたん?」
不思議に思ったハジメが和也にそう問いかけた。
光もそれは思った。自転車通学のはずの和也が軽くでも息を切らしている。運動神経の良い和也が自転車置き場から走ってきたにしても、そこまで距離があるわけではない。
「え?あ、うん……急いでたら自転車の存在忘れてきちゃった」
「うわまじか、家から意外と距離あるだろ……」
ハジメは和也の家からの距離を想像しながら言う。
「和也がそこまでなるなんて珍しいな。ていうか、初めて?」
「あ、あはは……僕だってそれくらいのことはあるよー」
笑顔で軽く流した。
「ていうかハジメ、そろそろクラス戻らないとじゃないの?」
和也は時計を見て、ハジメに戻るよう声かける。
それを聞いたハジメは咄嗟に時計を見ると、慌てて声を上げる。
「うわっやば!もう先生きちゃうじゃん!じゃ、また昼休みなー!」
そう言ってそそくさと自分の教室へと戻って行った。
そんなハジメの姿を見送ると、二人は見合わせて、和也が言った。
「僕たちもそろそろ座ろうか」
「そうだな」
こうして、何事もなく一週間が過ぎた。
金曜日の放課後に様子を見に行くことにする。
後もう少しだがまだ終わっていないと言われ、荷物運びを少し手伝った。
そして、本当にすぐ準備が終わると、いつもの移動方法で六階まで案内される。
そこは武器など、道具を作る際に機能を試したりする実験室だと言う。
実はこの部屋を片付けるために時間を取ったのだ。今はすっかり綺麗でほぼ何もないと言ってもいい。あるにしても長机に椅子が数個あるのみ。
「それで、俺は何をすれば——」
光が力声にそう言いかけたがもう一人入ってくる。
「悪いね、学校終わりに帰宅だというのに呼んでしまって」
そう言って近づいてきたのは萩待晶子だった。
「あ、晶子さ——」
すると一人だと思われた晶子の後ろから、ゾロゾロと黒子姿の者たちが入ってくる。
「早速で悪いが、おめかししようか」
ニコリとなぜか不気味に感じる笑顔が向けられる。
「お、おめかし……?」
光はわからないことだらけの状況にそう口にする。
すると後ろにいた黒子たちが、素早くやってきて光の両方をがっちり固められた。
「え」
光がそんな声を漏らすと、いつの間にか、同じような状況の力声が隣にいた。
「光…………こういう時は——」
下を向いていた力声が顔を上げると、今までに見たことがない清々しい顔と声でこう言ってきた。
「——諦めろ」
「へ?」
するとそれを合図にずるずると奥の扉に引きずられていく。
「え、え、えちょ……えぇぇぇぇ!」
誰の助けもなく説明もなく、パタンと静かに扉は閉まった。
久々の投稿となりました。今回も短くてすみません。
次の話はなるべく間を開けないようにしたいです…




