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烈海の艨艟 対米戦勝利の方程式  作者: 鳴木疎水
灼光の戦譜
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79/100

イギリス海峡海戦2

連日の遅刻でござる

イギリス海峡海戦2


 ドーバー周辺の空は、夜明け前から連合国枢軸国双方の爆撃機と戦闘機が入り乱れる大混戦が続いていた。

 海峡には未だ燻ぶり続ける双方の損傷艦が沈没艦から流出した燃料で黒く染まった海面のそこここに漂泊し、その周囲では数多くの溺者救助の小艇が重油に塗れた漂流者たちを敵味方に関わらず収容していた。 


 10分にも満たない短時間のうちに遣欧艦隊の各艦から近距離で放たれた250本余りの魚雷が、一時間半を超えて続いていた大乱戦に決着をつけた。

 退却する枢軸艦隊を追い詰めドーバー橋頭保突入迄あとわずかに迫っていた連合軍艦隊は、側面の敵にあまりにも無警戒すぎた。

 遣欧艦隊は撃沈された7隻の水雷襲撃艦、3隻の駆逐艦と引き換えに、3隻の戦艦、巡洋艦4隻、駆逐艦4隻を撃沈、さらに4隻の戦艦、巡洋艦3隻、駆逐艦2隻に大損害を与えていた。

 一瞬の間に半数の主力艦が戦力外になった連合軍艦隊は、それ以上の戦闘の続行を断念しイギリス海峡を西に向かって退却していった。

 一方の枢軸艦隊もここまでの戦いで連合軍艦隊に叩きのめされ喪失艦や損傷艦が続出しており、敗走する敵艦隊を追撃するだけの戦力は残されていなかった。

 

 ドーバー橋頭保をめぐる両軍の戦いは、新しいフェーズに移っていた。

 連合軍機動部隊から遅れて英国に向かった護衛空母から発艦した300機を超える戦闘機部隊は、英国中部の飛行場を中継してドーバーの戦闘に投入された。

 ケルト海から南下した連合軍機動部隊はイギリス海峡の手前まで進出し、ドーバー海峡の枢軸軍艦船に向けて攻撃隊を送り出した。

 オランダ沿岸で待機していた枢軸海軍機動部隊の6隻の空母も南下し、退却する連合軍艦隊へ向けて攻撃部隊を発艦させた。

 偵察機の報告で枢軸機動部隊の南下を知った連合軍は、米軍飛行部隊の攻撃目標を枢軸機動部隊へと変更する。


 退却する連合軍戦艦部隊を追った枢軸機動部隊の攻撃は、連合軍機動部隊が送った直掩戦闘機の迎撃を受けて大損害を被り、数隻の艦艇に損傷を与えただけで撃退されてしまった。

 同時刻に連合軍の攻撃を受けた枢軸機動部隊は、商船改造空母3隻を撃沈されるなどの大損害を受け北方に退却していった。

 ドーバー海峡方面の攻撃を担当した英軍空母航空隊はドーバー上空で続いていた両軍の航空戦の真っ只中に突入する形となり、次々と来襲する枢軸戦闘機との戦闘で部隊は分断され組織的な攻撃が叶わず些少な戦果を挙げたにとどまった。


 枢軸機動部隊を撃破した連合軍は、帰投した攻撃部隊を再編し再度ドーバーに向け出撃させる。

 夜明け近くまで続いた海戦で損傷を受けていた枢軸軍艦艇と輸送船団はすでに北方に退避しており、機動部隊の攻撃は橋頭堡周辺の上陸部隊や集積された物資に向けられた。

 ドーバーの上空は英国各所から来襲する連合軍航空隊と対岸の北フランスやオランダベルギーの飛行場から飛来する枢軸軍戦闘機による終わりの見えない消耗戦が続き、連合軍機動部隊もまたその戦いの中で損害を重ねていく。


 復旧なったブルターニュ半島の航空基地から飛び立った300機を超える日本海軍の攻撃隊は、14時過ぎコーンワル半島沖でドーバーに向け第3次攻撃隊を準備中の連合軍機動部隊に襲い掛かった。

 米海軍の新型戦闘機F6Fと日本海軍の疾風、零戦五三型の空中戦はほぼ互角の戦いとなり、攻撃隊は制空隊をすり抜けた迎撃戦闘機との戦闘で少なからぬ損害を受けた。

 連合軍の迎撃網を突破した攻撃隊を迎え撃つ機動部隊の護衛戦力は、戦艦部隊に多くの戦力を割いていたため十分なものとは言えなかった。

 断続的に続いた日本軍の攻撃は1時間余りで終わり、連合軍機動部隊の戦闘力は半減する。

 戦闘の継続を断念した機動部隊は戦艦部隊と合流し、英国北部の根拠地スカパフローへと向かった。


 連合軍機動部隊が退却したことにより、英国南部での航空戦は枢軸側の優勢に傾いた。

 21日中にドーバー周辺の枢軸軍が確保した数箇所の飛行場に航空部隊が進出したことで、枢軸側の優位は決定的なものとなった。

 






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