トゲトゲの依頼たち
たっぷり10分ほどの休憩で回復したので目的地に向かう。
目的の岩場はすでに目視していたため迷うこともなく到着した。
「おお〜、なんか一気に地形が変わったね〜。」
「うーん、結構高低差もあるし崩れてきたりしたら怖いな。気をつけないと。」
草木がほとんど見えない地面にはゴロゴロと大小様々な岩が転がっている。中には誰かが積み上げたのでは、と思わせるような大きな岩同士が積み上がっていたりするものもある。
そして地面は所々が隆起したように盛り上り、丘のようになっていたりしている。
つまりは障害物や遮蔽物が多すぎる。
ここでの活動は魔物の襲撃に今まで以上に気を払うことになるだろう。
「ここは私の活躍どころだね!」
「今までも散々活躍してくれてるけどね。もちろん俺も警戒はするけど、ここではさらにイオル頼りになっちゃうかな。」
「うん、任せて!」
「頼りにしてるよ。岩場に隠れてる魔物もいるだろうし、特に依頼で受けたツノトカゲって魔物は捕獲して帰らないといけないからなんとか見つけたいね。」
ギルドで受けた依頼の1つ目はツノトカゲという魔物の捕獲だ。
ツノトカゲは岩場や乾燥したところに住んでいて名前の通り全身にトゲトゲのツノがあるトカゲらしい。
「うん! それにもう一個の方の依頼の仙人掌の実も集めないとね。ちょっと時期的には早いらしいからそんなに取れないかもだけど出来るだけ多く欲しいって話だったし。」
「そうだね。仙人掌の葉っぱの方は回復薬の材料にもなるらしいからそれも採取したいね。これも葉っぱがトゲだらけだから怪我しないように気をつけよう。」
もうひとつ受けた依頼の方は仙人掌の実をなるだけ多く採ってきてほしいとのこと。
仙人掌、つまりはサボテンのことだ。
実は甘く、そのまま食べたり、潰して果汁をジュースにしたりするらしい。
葉っぱは栄養価が高くそのままでも食べれるが回復薬の材料としても優秀とのことだ。
「了解! よ〜し、やるぞ〜」
やる気満々のイオルが頼もしい。
というわけで周囲の警戒をしながら依頼と採取を並行してやっていくことにした。
「んー、障害物多いからわかりにくいけど、とりあえず近くに魔物はいないっぽいかな。ちょっと多めに能力使いながら行くね。」
「負担かけてごめんね。休憩しながらで良いからゆっくり行こう。」
「うん、ありがと。あ、あそこに生えてるのって仙人掌じゃない⁉︎」
そう言ってイオルが指さした先には肉厚な葉っぱの生えた仙人掌が岩の影から生えていた。
「おお、たしかにそれっぽい。ちょっと待ってて」
そう言って仙人掌らしき植物が生えている場所までやってくる。
うんうん、まさしく仙人掌だ。
俺は背負っていた背嚢を下ろすと中から皮製の手袋を取り出して手に嵌める。
それから傷のない葉を選ぶと手で掴み、葉の根本をナイフを使って切り落とす。
切り取った葉を分厚い皮で出来た皮袋の中に入れる。これの繰り返し。
葉自体が結構大きいものが多いのですぐに皮袋がいっぱいになった。
残念ながら実はついていなかったが上出来だろう。
採取した仙人掌入りの皮袋と手袋を外して背嚢に入れて背負うとイオルの元に戻る。
「お待たせ、皮袋がひとついっぱいになったよ。でも実は成ってなかったね。」
「そっか。でもすぐ見つかったわけだし結構すぐに実の付いてるのも見つかりそうだね。」
「そうかもね、じゃあ次行ってみようか。」
それからしばらく探索を続けると仙人掌は結構な数が生えていることがわかった。
初めは見つけるたびに採取していたのだがあまり仙人掌ばかり採るのもどうかと思ったのでとりあえず皮袋4つがいっぱいになったところで葉の採取は一旦やめにして見つけても実の採取をするだけにした。
実の方はまだ時期が早いということもあり数は少ないがそれでも10数個ほどは見つけることが出来ている。
そして今見つけたのは
「これ絶対毒キノコだよな…」
「えー? でも綺麗な色してるよ? 意外と普通に食べられるんじゃない?」
「いやいや、だって真っ赤だよ? カサにイボみたいなの生えてるし、完全に危険なやつでしょ。」
「そうかなぁー? とりあえず調べて見よっか。えっとー…。あ、これっぽい。アカイボタケ!」
「ん、どれどれ? えっと、『アカイボタケ。食べてしばらくすると周囲が眩しく感じるようになり、お酒を飲んだ後のような酩酊状態を引き起こす。』って毒キノコじゃん!!」
「あ、あれ? ホントだ…。えー、こんなに綺麗なのにー?」
「いや綺麗だからって食べれるとは限らないでしょ。むしろ明るい色したキノコは危険な印象の方が強いよ。」
「むむぅ…、あ、でもほら、薬の材料にはなるみたいだよ。えっと、『薬の材料として調合すると暗い場所での暗視効果を得られる薬ができる』だって。」
「本当だ。じゃあ一応採取しておこうか。」
「じゃあ採っちゃうね〜。お、よく見たら3つもあるよ。…よし、採取完了! じゃあ次行って見よー。」
「おおー」
テンション高めのイオルと共にしばらくは魔物にも遭遇せず、平穏に採取を続けた。




