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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第三章 新たなる旅、ザルツ王国
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第四十話 デート宣言

 あの死闘から幾日か過ぎ、療養も終わりに近づいてきた。

 相変わらず看病合戦は続いているが、リリィの存在が大きく少し落ち着いてきたようだ。



「・・・トシ兄・・・元気・・・なった・・・?・・・」


「ん?かなりマシだよ?大丈夫。もう平気さ。」



 屋敷の庭で、剣を振り体が訛ってないか素振りを繰り返す。

 起床後、朝食を済ませ鍛錬をするのが最近の日課だ。

 無心に剣を振るい、体を確かめる。


 リリィのお陰で、こうして稽古に励む時間も出来たというもの。

 リリィには看病を含め感謝で一杯になる。


 しかし、そんなリリィに遠慮するほどイシュタル達は大人しくない。

 多少は遠慮もするだろうが、ここぞとばかりに世話を焼く機会は見逃してはくれていない。

 だが、そのイシュタル達が今朝から妙に静かなのだ。

 リリィとこんな風にゆっくりと過ごす事が出来るのが逆に静か過ぎて怖い。


 多分この後トンでもが起こりそうだが・・・

 嵐の前の静けさとはよく言ったものだと思う。

 そんな事が解っていても、この時間は有効に使いたい。


 リリィに見守られながら慎重に剣を振るい型をなぞる。

 教えられた訳では無いが、自然と動く体に合わせて剣を振るっている。

 仮想の敵を想像しながらイメージに合う動きを模索する。

 ここ数日は、バヴェルを仮想敵として考えている。


 この世界に来て唯一俺と対抗できた魔物。

 ルビさん以外で、俺に死を実感させる事の出来た力。

 それらを思い起こし、現状出来うる限りの剣技で挑む。

 魔法も連携させるが発動はして居無い。

 まだ、イメージトレーニングに留めている。

 

 気迫を込め一振り一振り振りぬく姿にリリィは嘆息している。



「トシ兄・・・凄い・・・気迫・・・怖い・・・かも?・・・」


「ん?そうか~ちょっと感情が入り過ぎたかな?いい機会だから休憩しようか。」


「ん・・・お茶・・・」


「ありがとう。」



 怖いといわれちょっと凹んだ俺は、リリィに嫌われたくないので稽古を止める。

 リリィが用意してくれたお茶を受け取り一息つく。

 ん~~~美味い!

 絶妙な湯加減に渋みの効いた緑茶が体に染み渡る。



「美味いな~リリィの入れたお茶は。」


「ん・・・良かった・・・」



 稽古場に使っていた庭にはベンチがあり、そこに2人して腰掛ける。

 2人して、お茶を飲む姿は実に和やかだ。

 チャー○ーグリーンのCMが懐かしく蘇る。

 仲良き事は良きかな良きかな。


 少し暑くなっている日差しも心地よく、ベンチでほっこりする2人。

 リリィとの距離感はこれで問題ない。

 無理に会話する必要も無く、ただ2人ゆっくりするだけで居心地良いのだ。

 心休まる穏やかな時間が流れていく。

 

 こんな時間をもう少し味わいたいなーっと考えてはいるがそうもいかない。

 稽古途中から既に気づいてしまっていたから・・・


 邸の内部で忙しなく動く3つの名前。

 この休憩途中に乱入してくるであろう姦しき3人。

 厄介事があると直感も告げる。

 そして、次第に喧騒と共に近付く3つの人影。


 ああああああ・・・

 来たか・・・


 諦めて3つの人影に向かい顔を向ける。

 厄介事を持ってくる筈の3人だが、視線を向けた先の光景はそうは告げていない。


 歩いてくる3人は、周りの風景を背景に輝きを放っていた。

 そこには、芸術の粋を極めた絵画のような美しい光景があった。

 

 中央に居るのはイシュタル。

 その姿は神々しく、そよ風に靡く金髪が更に美を高める。

 歩く姿はまさに天使。

 まあ元々天使だったけどね~

 そして相変わらず形も大きさも迫力のあるメロンカップ。

 揺れる胸元は最近色気も付いてきて困っている。


 次に俺から向ってイリュタルの右側にはシルビア。

 その姿は凛々しく、見る者の目を釘付けにする。

 揺れる銀髪はサラサラと泳ぎ、日の光に照らされ宝石を撒くように輝く。

 更に頭には耳がピコピコと動き、尻尾は歩調に合わせて左右に揺れる。

 その揺れる尻尾は俺を見つけるとピクっと上に向く。

 ポーカーフェイスからは想像付かない喜びが尻尾から伝わる。

 本当に憂い奴じゃ。


 最後にアリス。

 シルビアの反対側を颯爽と歩いてくる。

 黒く艶かしい褐色の肌は、太陽の下で健康的な美を醸し出す。

 大人の色気を振りまくスタイルも素晴らしいが、それ以上に甘えた笑顔が可愛らしい。

 イシュタルやシルビアに引けを取る事のない美貌の笑顔。

 唯一無二の存在だけに許す笑顔が、男心う擽る事間違いない。

 

 3者3様の美しさがそこに纏まり、見慣れている俺ですら固まってしまうほどだ。



「あら~トシヤったらもう~フフ♪見惚れてるなんて~♪」


「トシヤ様、鼻の下が伸びてますよ、もう♪」


「お兄ちゃんったら♪」



 俺が固まっていると近付いてきて声を掛ける3人。

 厄介事を持ってくると解って、げんなりしていた筈の俺も、彼女達の魅力には勝てないようだ。

 気付かずにデレていたみたいだ。

 どれだけ一緒に過ごしても、こうやって俺の懸案は有耶無耶になってしまうのだろう。



「いや・・・まあ綺麗だからな・・・」


「きゃああああああああトシヤがデレたあああああああ♪♪」


「ト・・・トシヤ様・・・そんな♪」


「お兄ちゃん!アリスの事惚れ直したよね?♪惚れ直したよね!♪」


 

 もう好きにしろ・・・

 イシュタル達の歓喜に満ちた黄色い声に耳を塞ぎながら照れる俺。

 仕方ないだろう?本当にそう思っちまったんだから。



「ところで、3人してどうしたんだ?」



 俺は覚悟を決めて3人に聞く。

 どうせ厄介事は決まっている。

 なら、さっさと聞くのが一番だ。

 それに喧嘩する事無く俺の周りにいる3人に違和感を覚えて仕方が無いのだ。


 すると、3人が目配せをし合い代表してイシュタルが俺に向って口を開く。



「デートをしましょう!!」


「ふぇ?」


「トシヤは私達4人とそれぞれ2人っきりでデートをするのです!」


「ふぁい?」


「・・・私・・・も?」


「そうです!トシヤが元気になったので、今更ながら私達の関係を深める機会を作る事にしました。」


「はぁ?」


「もちろん此れにはちゃんと理由があります。だからトシヤは皆とデートをするのです!」



 こうして、イシュタルの説明のもと、4人とのデートが宣言される。

 俺としては今更デートなんて何だろうと思い、その理由を知りたくなった。



「っていうか何でデートなの?つかデートって解ってるの?」



 この異世界でデートと言う行動を知っているか?その方が甚だ疑問だ。

 異世界において、日本の様なデートという習慣が根付いていないと思っているからだ。



「そこは、ちゃんと皆に教えておきました♪」



 そう言って胸を張るイシュタル。

 やっぱり貴方でしたか・・・

 だが、どの様に教えたかは気になるが。

 

 イシュタルの自信に満ちた姿に不安を覚えながら、今デートをする必要性について聞かされる。



「良く考えて欲しいのトシヤ。今まで私達って流されるまま此処まで来たじゃない?」


「ん~~まあ、そうかな?」


「特にね、トシヤの側に居る女性が問題なの。」


「へ?」


「トシヤの側にはシルビア、私、リリィ、アリス、この順番で増えてるじゃない。」



 ハハハハッハ・・・

 増やした自覚は無いが、確かに言われてみればその通りだ。



「今までは私とシルビアが、ちゃんと仲良くしていたから上手くいってたけど。アリスが来てからグダグダじゃない?それに私達ってトシヤと二人っきりで過ごす時間が思うように取れていないと思うの。」


「まあ、そっかなー?」



 リリィやアリスは最近良く2人っきりになっていたと思うんですけど・・・

 俺の顔色を見て片眉を吊り上げるイシュタル。



「トーーーーシーーーーヤーーーー!」


「あ、ごめんなさい・・・」



 説明も途中に怒りのオーラを待とうイシュタル。

 どうやらイシュタルとシルビア、2人のご不満が溜まっての提案ぽいな。



「イ・・・イシュタル、そこで怒っては話が進みませんよ。」


「でも・・・シルビア・・・」


「もう、イシュタルは本当にトシヤが絡むと後先見えないんですね。」


「っふ、ふ~~~ん。」


「トシヤ様、私達は相談しましたの。アリスを向え入れてしまった事は良いのです。トシヤ様の決めた事ですから。でも、その・・・お世話というか・・・夜と言うか・・・その!新しい秩序が必要なのです!」



 あ~~~そういうことか。

 シルビアの真っ赤に染まった顔を見て理解する。

 多分アリスも共に夜の営みに参加させてしまうのか不安なのだろう。


 更に、アリスだって狙ってきている。

 俺が誘惑に負けアリスを抱き、二人を蔑ろにする可能性を排除したいというところか。


 

「お兄ちゃんとデート楽しみだな~♪」



 イシュタルとシルビアの不安を他所に、アリスは屈託なく言い放つ。

 しかも2人を挑発する様にだ。


 アリスの獲物を狙うような美しい顔を見て、気を取り直すイシュタル。



「っ!トシヤ!兎に角私達と2人っきりの時間を過ごして欲しいの!」


「ま・・・まあそこは良いよ。」


「それでね、4人とデートして決めて欲しいの。4人の扱いをね。」


「決めるって?」


「そ!そこは解ってるでしょ!言わせないで!」



 イシュタルまで顔を真っ赤にしている。

 乙女の恥じらいは難しいのな~



「トシヤの決めた事に従うわよ私達は。だってそう約束したもの!」


「そうなのですトシヤ様。私達は決めましたの!」


「アリス、絶対お兄ちゃんを落とすから♪」


「っ決めるのはトシヤよ!」


「っふ!落とせなかったら、解っておる。今後兄上には色仕掛けはしない。が落とせたら解っておろうな?」


「当たり前よ!意地でも落とせないように私とシルビアの魅力でメロメロにしちゃうから!」


「フ・・・精々頑張るがよい。お兄ちゃん♪絶対ものにしちゃうからね♪」



 妖しく下舐め攣りするアリス。

 雌豹の如く獲物を見る姿は、まさに肉食系女子!

 俺は耐え切れるかなーっと不安になっていた。



「トシヤ!なにもうすでに飲まれてるの?!」


「トシヤ様!なに怯んでるんですか!」



 直ぐに飛んで来る叱咤の罵声。

 そっかーアリスの事は認めていても閨の話は別なのか。

 喧々諤々言い争っている側でリリィが小首をかしげて聞いてきた。



「イシュ姉、シル姉・・・私・・・相談知らない・・・」


「「「あ・・・」」」


「ふぇ?」



 どうやら3人で相談しているうちに白熱して、リリィの了解は取っていなかったようだ。

 なにやら女性陣が困った顔になり、リリィを交えて改めて話し合いがもたれた。


 結果。

 夜の営みは暈しながら、説明をしてリリィにデートの参加を説明したようだ。

 リリィも妹ポジションについて張り合っている為、このデートで差を付けたいのだろう。

 4人が揃って俺に言ってくる。



「「「「デートをしましょう♪」」」」



 こうして俺は4人と初めてデートをする事になった。

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